ヒマラヤ山脈をトンネルで貫き、中国とネパールを結ぶ鉄道を建設する計画があるそうです。中国国営英字紙チャイナ・デイリーが報じました。
2020年に国境までの鉄道が開業
チャイナ・デイリー2015年4月7日付によりますと、中国政府は、現在シガツェまで開業している中国の鉄道(ラサ・シガツェ鉄道)をネパールとの国境地帯であるキドンまで延長する計画を立てているそうです。建設距離は540kmで、5年以内の完成、つまり2020年までに開業させる予定です。
さらに4月9日付同紙は「鉄道路線はネパールとその先へ向かう」と題する記事を掲載し、ラサ・シガツェ鉄道のネパール国境への延伸は「ネパール側の要請で」行われていると報じています。さらにネパール側の報道として、中国の王毅外相が2014年12月にネパールを訪れた際、鉄道をネパールの首都カトマンドゥやその先まで延伸することの実現可能性調査について話し合われたとしています。
同紙では中国工程院の専門家の話として、「路線はチョモランマ(エベレスト)を通り抜けることになる。作業員たちは非常に長いトンネルを掘ることになるだろう」というコメントまで掲載しています。
バックパッカー憧れのルート
さて、ラサからシガツェを経てネパールへ抜ける、というのは、バックパッカーの憧れのルートです。しかし、チベットは旅行者に対して閉鎖されることが多く、とくにネパールへの国境通過はなかなか行きづらいところでした。
政治的な理由を別にしても、中国・ネパール国境地帯は高度もあるうえに、公共交通機関が乏しく旅をするには大変なところです。そこに鉄道ができて往来がラクになる、ということは素晴らしいことでしょう。
とはいえ、ちょっと残念な気もしないでもありません。
チベット横断鉄道が完成へ
それにしても、この区間に鉄道ができれば、青海省西寧からキドンまで、広大なチベットを横断する鉄道が完成し、北京からネパール国境まで線路がつながることになります。まさに大構想といえます。
2020年までに本当にできるかはわかりませんが、近年の中国の建設能力の高さを見るにつけ、そう遠くない将来に完成するのでしょう。完成したら、西寧~キドンが約2750km、北京~キドンは約4500kmの距離になります。仮に直通列車が走ったら、2泊3日というところでしょうか。
2020年に国境までの鉄道が開業
では、さらに延伸してカトマンドゥまでの鉄道となるとどうでしょうか。中国工程院の専門家は、「チョモランマの下をトンネルで掘る」と言っているそうですが、おそらくこれは比喩でしょう。キドンとチョモランマはずいぶん離れているからです。
ただ、中国・ネパール国境に鉄道を通すとなれば、ヒマラヤ山脈を貫く長大なトンネルをいくつも掘らなければならないのは間違いありませんし、当然、難工事が予想されます。
それが本当にできるのか。できるとしたらいつになるのか。それについては全くわかりません。