多摩都市モノレールの町田方面延伸のルートが決まりました。多摩センターから町田駅に至る路線で、途中、陸上競技場前や小山田桜台団地を通ります。
93kmの全体構想
多摩都市モノレール(多摩モノレール)は、多摩センター~上北台間約16kmを結ぶ路線です。
全体構想は約93kmに及び、上北台~箱根ヶ崎間、多摩センター~町田間、多摩センター~八王子間などの延伸計画があります。このうち、上北台~箱根ヶ崎間7.2kmの延伸計画については導入空間の道路がほぼ完成し、事業化に向けて作業が進んでいます。
多摩センター~町田間に関しては、都道47号線を中心に約7kmで導入空間が確保されています。ただ、残りの区間についてのルートは未確定で、2019年に東京都都市整備局に設置された「多摩都市モノレール町田方面延伸ルート検討委員会」で議論が進められてきました。
その検討結果がまとまり、2022年1月28日に公表されました。その内容をみてみましょう。
ルート案検討内容
委員会が検討した、多摩センター駅~町田駅のルート案は4案です。
A案は小山田緑地を横切り、小山田桜台団地、桜美林学園経由するルート。B案は町田市立陸上競技場(町田GIONスタジアム)まで南下し、小山田桜台団地から日大三高と桜美林学園を経由するルート。B’案はその短絡ルート。C案は陸上競技場まで南下し、小山田桜台団地などには寄らずに町田駅に向かうルートです。
総延長はA案とC案が約13km、B案とB’案が約16kmです。1日の利用者数はA案が8万人、B案が75,000人、B’案が74,000人、C案が73,000人と見込みました。
費用便益比(費用対効果)はA案とC案が1.4、B案とB’案が1.1となっています。
ルート選定
ルートの選定にあたっては、費用便益比とまちづくりの観点から検討されました。
A案はルートが短く速達性に優れ、費用便益比も高いものの、小山田緑地をトンネルで通過するため、沿線開発などの余地が少なく、環境への影響が懸念されます。
B案は速達性がやや劣るものの、費用便益比は1以上を確保し、現存する道路を経由するため新駅周辺で開発が期待できます。町田陸上競技場や高校など需要の見込める拠点も経由します。
C案はルートが短く速達性に優れていて、現存する道路を経由するため新駅周辺で開発が期待できます。ただ、小山田桜台団地や桜美林学園など現時点で確実に需要が見込める拠点を経由しません。
需要が確実に見込める拠点を経由
検討では、費用便益比が確保されていること、まちづくりとの相乗効果が見込めることを重視しました。その結果、最終的に採用されたのはB案でした。
すでに道がある地域を経由することや、新駅周辺で新たな沿線開発等が期待できることも長所に挙げられています。
上記の図ではわかりにくいので、Googleマップに概略をトレースすると以下のようになります。
多摩センターから都道156号線を南下し、キャノンスポーツセンター付近までは導入区間確保済みです。そのまま156号線に沿って町田GIONスタジアム周辺に至ります。
スタジアムの西を経由した後、都道57号線芝溝街道に沿う形で、西向きへ転じます。図師大橋で北西方向に転じ、都道155号線に沿い、日大三高の横を通過。桜台通りに沿って南西に向かい、都道47号八王子町田線に入ります。桜美林大学付近から本町田小学校付近までは導入空間確保済みで、その先、町田市民病院までも道路工事中です。
町田市民病院からは町田市民球場付近や町田高校付近を通る道路を新たに建設。芹ヶ谷公園付近で南西に向かい、原町田大通りに入り町田駅に到達します。
開業はいつ?
今後は、B案を基本に、需要を創出できるようなまちづくりを検討しながら、駅位置などの条件も含め収支採算性の精査をおこないます。
完成すれば、現在の多摩モノレールの営業キロに匹敵する新線区間が誕生し、全体として箱根ヶ崎~町田で約39kmに達する大型路線になります。
開業時期については未定です。ようやくルートが決まった段階で、町田駅周辺の道路用地が確保できていない状況ですし、開業まではこれから少なくとも10年以上かかるでしょう。(鎌倉淳)