JR東日本が「高輪ゲートウェイシティ」のまちづくり概要について発表しました。内容をみてみましょう。
高さ160mのツインタワー
「高輪ゲートウェイシティ」(仮称)は、文字通り高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発エリアの総称です。JR東日本の品川車両基地跡に4つのビルを建設します。
複合棟I、複合棟II、文化創造棟、住宅棟の4エリアで構成します。高輪ゲートウェイ駅前のエリアが複合棟Ⅰで、「North」「South」の2つの高層ビルからなるツインタワーがそそり立ちます。
マリオットの超高級ホテル
ツインタワー「North」は地上29階(高さ161.43m)、「South」は地上30階(高さ158.68m)。複合棟Ⅰエリア全体の敷地面積は3万8281平方メートル、延床面積は46万177平方メートルに及びます。主な用途は多国籍企業の本社を想定したハイグレードオフィスで、低層部には商業施設を設けます。
South棟の22~30階には「JWマリオット・ホテル東京」が入ります。約200室を備えた超高級ホテルで、レストラン、バー、ラウンジ、スイミングプール、フィットネスセンター、スパなどを備えます。North棟高層にはルーフトップレストランを設けます。
地下2階~地上1階は国際会議にも利用できるコンベンションホールとなり、約1700平方メートルに最大2000人を収容します。そのほか、中小の会議室も備えます。
複合棟Ⅱの前に高輪築堤
泉岳寺駅に隣接するのが複合棟Ⅱ。地上31階(高さ166.86m)で、オフィス、商業施設、クリニック、フィットネスなどが入居します。敷地面積は1万4996平方メートル、延床面積は20万8164平方メートルです。
こちらは「フレキシビリティの高いオフィス」が入るそうで、日本企業をターゲットにした標準的なオフィスビルのようです。
ビルの正面には高輪築堤の一部が保存されます。高輪築堤の保存・活用方法は今後、検討します。
文化創造棟には展示場
複合棟Ⅱの北側にあるのが文化創造棟。公園と一体になった低層建物で、展示場、ホール、飲食施設などを備えます。敷地面積は7977平方メートル、延床面積は2万8952平方メートル、地上6階(高さ44.98m)です。
街のシンボルとなる施設との位置づけで、外装デザインアーキテクトに隈研吾氏を起用しました。緑と木によって形作られたスパイラルが特徴的です。
約1200席のライブホール、約1500平方メートルの展示室、約300平方メートルのオルタナティブスペース、約200平方メートルの畳空間、足湯と水盤のある屋上庭園などを備えます。
住宅棟は高級レジデンス
最も北側にあるのが住宅棟。地上44階建て、高さ172mの高層マンションです。敷地面積1万2705平方メートル、延床面積14万8294平方メートルという大規模共同住宅です。
高級賃貸住宅として用いられ、「外国人ビジネスワーカー」を想定したレジデンスです。低層部にはインターナショナルスクールも入居します。商業施設も入るそうですが、おそらくスーパーマーケットでしょう。
住宅棟のインテリアデザインは、ハーシュ・ベドナー・アソシエイツというアメリカ系の企業が手がけます。世界各地のホテルなどのインテリアを手がけている国際的な建築デザイン会社です。
商業施設はルミネ
全体の商業施設の運営はルミネです。施設名が「ルミネ」となるのかは不明です。オフィスはジェイアール東日本ビルディング、住宅はジェイアール東日本都市開発、フィットネスはJR東日本スポーツが担当します。
開業時期は複合棟Ⅰ・高輪ゲートウェイ駅周辺エリアが2024年度末(2025年3月)、その他の棟・エリアは 2025年度中を予定しています。
外国人がターゲット
ホテルはマリオット、オフィスは国際的大企業の向けのハイグレードオフィス、国際会議場も設けて、住宅は海外デザイン会社が手がける高級レジデンス、さらにはインターナショナルスクールも入居するという具合で、はっきりと外国人を意識した再開発といえます。
環境に配慮した先進型の都市開発となるようで、その点も外資系企業に対するアピールポイントになるのでしょう。
オフィスの入居企業は明かされていませんが、プレスリリースの文面を見る限り、外資系企業の日本本社をターゲットにしているようです。
総事業費は5800億円で、JR東日本で過去最大の再開発事業です。JRとしてはなかなか振り切った再開発に感じられます。(鎌倉淳)