「太川蛭子のローカル鉄道寄り道旅・箱根編」が放送されました。2019年夏にロケをしたものの、放送を見合わせていた回が、ついにオンエアされました。本記事は多少のネタバレを含みます。
番組終了後も未放送に
「太川蛭子のローカル鉄道寄り道旅」は、テレビ東京系列の旅番組「太川蛭子の旅バラ」の企画の一つ。過去9回が放送されました。
ただ、ロケをしたもののオンエアされていない回が一つあり、それが「箱根編」。小田急小田原線の伊勢原駅から、伊豆箱根鉄道大雄山線、箱根登山鉄道の3路線を乗り継いで強羅駅を目指す旅です。
ロケ後の2019年10月に台風19号による災害で箱根登山鉄道が不通になり、オンエア見合わせとなっていたところ、蛭子さんの引退宣言で「旅バラ」が終了し、この回だけが未放送のまま残されていました。
その箱根登山鉄道が、2020年7月23日の全線復旧を決定。テレビ東京は全線運転再開記念と銘打ち「太川蛭子のローカル鉄道寄り道旅 箱根編」として、復旧前夜の22日に放送をしました。
太川蛭子のローカル鉄道寄り道旅 伊勢原~箱根
【放送日時】2020年7月22日(水)18時25分~21時00分
【出演】太川陽介、蛭子能収、久松郁実
【放送】テレビ東京系列
二つの意味
前述したように、今回は伊勢原から小田急で小田原に至り、大雄山線を往復してから、箱根登山鉄道の強羅を目指すという内容です。小田急が「ローカル鉄道」なのかという突っ込みはさておき、出演者がルーレットを回して出た目の数だけ駅を進み、降りた駅で「名所・名物」を探していきます。シリーズ放送開始時に比べてルールが洗練されてきて、無理のない演出になってきました。
内容的にはいつもの旅バラエティなのですが、今回の番組には二つの意味がありました。一つは、箱根登山鉄道の運転再開です。同鉄道は2019年10月の台風で被災して長らく運休が続いてきましたが、7月23日、約9ヶ月ぶりに全線で運転再開となりました。「お蔵入り番組」が、運転再開を祝う形で封印解除されたわけです。めでたいことでしょう。
蛭子さんが番組引退で
もう一つは蛭子さんの番組引退です。蛭子さんは、2019年12月放送の「太川蛭子のバス旅2019 郡山~銀山温泉」で、ルイルイとコンビを組む「太川蛭子の旅バラ」から引退しました。
そのため「太川蛭子のローカル鉄道寄り道旅・箱根編」は、「ローカル路線バスの旅」から連なるルイルイ・蛭子コンビの旅シリーズの、最後の新作オンエアになる可能性があります。
蛭子さんは、2020年7月9日放送の「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系列)でレビー小体型認知症を公表。早朝や夕方、夜の仕事が制限されることが明らかにされたので、今後、出演するにしても、日帰りのロケ番組になりそうです。
蛭子さんは冴えていた
オンエアされた登山電車は観光客であふれていて、外国人観光客の姿も多く、「コロナ前」の様子が映し出されていました。いまとなっては懐かしい光景で、その点でも時代が一区切りしたことを感じさせました。
番組では、蛭子さんがいつもの通り、意表を突くボケを披露し、ぼやきながらも長い距離を歩いていました。筆者が感じたのは、蛭子さんが思った以上に元気で冴えているな、ということ。1年前のロケということを差し引いても、「主治医が見つかる診療所」で心配されたほどの衰えを感じさせません。
初日の夜にはさすがに疲れた様子ですが、あの年齢で丸1日歩き回るロケをこなしたのですから、当然のことでしょう。
肝となるルーレットでは、ルイルイが「らしからぬ」不調で番組を盛り上げ、マドンナの久松郁実が意欲的な「食レポ」で好演してくれました。
なんであれ、これにて「ルイルイ・蛭子」の旅は一段落になりそうです。終わり方も「ルイルイ・蛭子」らしい形でした。長い間、楽しませてくれてありがとうございました。(鎌倉淳)