JR西日本が「スーパー早特きっぷ」「スーパー早特21」の値上げを発表しました。値上げ率は12~15%で、お手頃感が乏しくなります。
山陽・九州新幹線の割引きっぷ
JR西日本は、2024年春に、割引きっぷなど特別企画乗車券を見直します。「スーパー早特きっぷ」「スーパー早特21」については、値上げすることを明らかにしました。
「スーパー早特きっぷ」は、山陽・九州新幹線の割引きっぷで、利用日の14日前までに購入することで、価格が大幅に安くなります。新大阪~熊本や、新大阪~鹿児島中央などに設定があります。
「スーパー早特21」は、利用日の21日前までに購入することで、さらに割引率が高くなるきっぷです。新大阪・新神戸~熊本・鹿児島中央間に設定があります。
4月1日から値上げ
JR西日本は、「スーパー早特きっぷ」「スーパー早特21」について、2024年4月1日利用開始分から値上げします。値上げ率は12~15%です。
新大阪発着の場合、これまでの割引率は23~27%でしたが、新価格では13~18%に下がります。
新大阪~博多間を例に取ると、「スーパー早特きっぷ」はこれまで11,690円でしたが、新価格は13,100円となり、約12%値上げされます。通常価格に対する割引率はこれまで27%だったところ、新価格では18%になります。
「スーパー早特21」については、大阪~熊本間が12,470円のところ、新価格では14,340円となります。大阪~鹿児島間は14,700円が16,900円になります。ともに、値上げ率は15%で、通常価格に対する割引率は36%から27%に下がります。
スーパー早特きっぷの新旧価格比較
「スーパー早特きっぷ」の新旧価格を表にまとめてみました。旧価格は2024年3月31日利用分まで、新価格は2024年4月1日利用分からです。新神戸発着は、新大阪発着と同価格です。
設定区間 | 通常価格 | 旧価格 | 新価格 | 値上率 | 割引率 |
---|---|---|---|---|---|
新大阪~小倉 | 15,140 | 11,690 | 13,100 | 112% | 13% |
新大阪~博多 | 16,020 | 11,690 | 13,100 | 112% | 18% |
新大阪~熊本 | 19,620 | 14,390 | 16,540 | 115% | 16% |
新大阪~鹿児島中央 | 23,050 | 16,970 | 19,510 | 115% | 15% |
新大阪~長崎 | 20,640 | 15,850 | 18,220 | 115% | 12% |
新大阪~大分 | 19,120 | 14,010 | 16,110 | 115% | 16% |
岡山~熊本 | 17,740 | 13,850 | 15,920 | 115% | 10% |
岡山~鹿児島中央 | 21,500 | 15,800 | 18,170 | 115% | 15% |
広島~熊本 | 14,110 | 11,710 | 13,640 | 116% | 3% |
広島~鹿児島中央 | 18,530 | 14,560 | 16,740 | 115% | 10% |
※割引率は新価格の対通常価格。
「スーパー早特21」の新旧価格比較
「スーパー早特21」の新旧価格もまとめてみました。旧価格は2024年3月31日利用分まで、新価格は2024年4月1日利用分からです。新神戸発着は新大阪発着と同価格です。
設定区間 | 通常価格 | 旧価格 | 新価格 | 値上率 | 新割引率 |
---|---|---|---|---|---|
新大阪~熊本 | 19,620 | 12,470 | 14,340 | 115% | 27% |
新大阪~鹿児島中央 | 23,050 | 14,700 | 16,900 | 115% | 27% |
※割引率は新価格の対通常価格。
「EX早特7」との比較
山陽・九州新幹線には、スマートEXの割引きっぷ「EX早特7」も設定されています。購入期限は7日前です。「EX早特7」については、価格改定は発表されていません。
「EX早特7」と「スーパー早特きっぷ」「スーパー早特21」の新価格を比較してみたのが下表です。新神戸発着は新大阪発着と同額です。
設定区間 | EX早特7 | スーパー 早特きっぷ |
スーパー 早特21 |
---|---|---|---|
新大阪~小倉 | 13,140 | 13,100 | – |
新大阪~博多 | 13,140 | 13,100 | – |
新大阪~熊本 | 16,820 | 16,540 | 14,340 |
新大阪~鹿児島中央 | 20,000 | 19,510 | 16,900 |
14日発売のメリット小さく
ご覧のとおり、「EX早特7」の新大阪~熊本間の価格は13,140円で、「スーパー早特きっぷ」新価格との差は40円です。
14日前予約と7日前予約の違いで差が40円となると、「スーパー早特きっぷ」の存在価値は、かなり減じることになるでしょう。
「EX早特7」は、新大阪・新神戸~小倉・博多・熊本・鹿児島中央間にも設定されていて、新大阪~鹿児島中央間でも差は490円に縮まります。
いっぽう、「スーパー早特21」は、割引率が縮小したとはいえ、定価より3割近く安いので、依然としてお手頃感があります。
航空運賃と足並み揃え
値上げの背景について、JRは明確にしていませんが、航空運賃の価格水準が切り上がっていることが理由に挙げられそうです。
大手航空会社の運賃は、2週間前で伊丹~福岡が14,000円台、伊丹~熊本が17,000円台くらいが相場になっているようです。その価格帯が相手なら、「スーパー早特きっぷ」の新価格でも十分勝負になる、ということでしょう。
振り返れば、「スーパー早特きっぷ」は、かつて新大阪~博多10,000円というぽっきり価格が魅力でした。消費税増税による価格改定はありましたが、それでも2022年3月までは、10,480円という「ぽっきり価格」の名残が感じられる価格水準でした。
それがわずか2年で13,000円台になってしまったわけで、利用者には厳しい話です。(鎌倉淳)