「10円で特急に乗れる」JR北海道の新施策は是か非か。普通列車減便の救済策として理解はできるけれど

2016年3月ダイヤ改正で普通列車の大幅減便を検討しているJR北海道が、地域住民向けの救済策を提案しているようです。その内容は、普通列車に「10円」を足せば特急に乗れるというもの。対象は地元住民だけです。この施策の是非をどう考えるべきでしょうか。

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宗谷線で10円の特別乗車票を発行

北海道新聞2016年2月4日付によりますと、JR北海道は、3月のダイヤ改正で減便となる宗谷線の普通列車を利用する地元住民に対し、特急列車の特定区間を普通運賃に10円上乗せした料金で利用できる特別乗車票の発行を提案しているとのこと。

次回のダイヤ改正で、稚内14時12分発の普通列車が廃止される予定で、稚内~幌延間は6時間余りにわたって上り普通列車がなくなります。そのため幌延町は「稚内に通院する町民らの帰りの足がなくなる」と訴えていました。これに対しJRは、稚内を13時台と16時台に出発する特急2本(サロベツとスーパー宗谷4号)を、幌延まで特別料金10円の上乗せで乗れるよう提案したそうです。対象となる住民は幌延町の住民だけです。

毎日新聞2016年2月4日付けによりますと、同じ提案を豊富町も受けており、豊富町民に限り、豊富~稚内を特別料金で乗ることができるようになるようです。

稚内駅

駅では販売されない?

同様に、天塩中川駅に停車する特急列車全6本を、名寄~天塩中川間について、特別料金10円の上乗せで利用できる方向で調整を進めているとのこと。名寄~中川間には路線バスなど代替の公共交通機関がないためで、これも対象は中川町の町民だけです。

販売方法は検討中で、JR北海道は「特別乗車票の販売を各町に委託する契約を結ぶことを提案している」とのこと。つまり、駅や車内では販売しない方針のようです。

末端区間の快速化はよくあるが

特急列車の末端区間を普通列車扱いにして普通列車の本数を削減する、という方法は、かつて国鉄でよく行われていた気がします。最近でも、外房線の「わかしお」の一部列車などでそうした運行が行われています。

宗谷線に関しても、幌延~稚内間に限り普通列車や快速列車にしてもいいのでは、という気がします。しかし、普通や快速になると、全乗客から特急料金を取ることができなくなりますから、JRにとっては減収要因になります。また、名寄~天塩中川のような中途区間では、この手法は使えません。そのため、「地元住民のみ事実上特急料金を免除する」という手法になったのでしょう。

他の自治体も要求する?

とはいえ、全旅客が平等に同区間を10円で特急に乗れるのならともかく、特定居住地域の住民だけを優遇する施策には違和感も覚えます。地元自治体が一部費用を負担したうえで施策を行うなら理解できますが、JRの負担のみで実施することには異論も出てきそうです。

さらにいえば、特急の本数は多いのにローカル線の普通列車が少ない地域は他にもありますから、こんなことを始めたら、各地の自治体が同じような施策を求めてくるでしょう。

一方で、普通列車減便の救済策として理解はできますし、諸事情を勘案すると仕方ないかな、という気もします。都市間輸送と地域輸送を両立させ、地域の足を守りつつ赤字額を抑えようという目的ですから、ローカル幹線維持の一つの方法といえるかもしれません。みなさんはどうお考えでしょうか。(鎌倉淳)

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