新幹線の2020年3月の利用率が、前年度比4割程度にとどまりました。JR本州3社が公表した月次情報で明らかになったものです。
JR東日本は35.6%
JR東日本が発表した「月次営業収入」によれば、2020年3月の鉄道営業収入は対前年比で59.8%となりました。定期収入は95.3%とそれほど悪くなかったのですが、定期外収入が45.9%と不振。なかでも、おもに新幹線・特急の収入を示す「中長距離」が35.6%と大きく落ち込みました。おもに首都圏近郊電車を示す「近距離」は61.6%でした。
JR東日本の2019年度第4四半期の鉄道営業収入は合計で対前年比82.9%、下半期では88.1%、年度累計では96.3%となりました。
JR東海は41%
JR東海が発表した「輸送量の推移」によれば、2020年3月の新幹線の利用状況は、対前年比で41%。内訳は「のぞみ」が40%、「ひかり」が37%、「こだま」が50%でした。また、在来線特急は42%で、名古屋近郊が73%でした。
JR東海の2019年度第4四半期では、新幹線が76%、在来線特急が76%、名古屋近郊が91%。下半期では新幹線が89%、在来線特急が89%、名古屋近郊が95%です。年度累計では、新幹線が96%、在来線特急が99%、名古屋近郊が98%でした。
JR西日本は42-43%
JR西日本が発表した「ご利用状況の実績」によれば、2020年3月の山陽新幹線の対前年比は42%でした。内訳は「のぞみ/みずほ」が41%、「ひかり/さくら」が46%、「こだま」が51%です。北陸新幹線は対前年比43%、在来線特急が39%、近畿圏が63%でした。
JR西日本の2019年度第4四半期では、山陽新幹線が76%、北陸新幹線が76%、在来線特急が73%、近畿圏が63%です。下期では山陽新幹線が89%、在来線特急が87%、近畿圏が95%。年度累計では、山陽新幹線が97%、北陸新幹線が87%、在来線特急が98%、近畿圏が95%でした。
3月に急減
JR本州3社でまとめると、2020年3月単月では、新幹線と在来線特急が対前年比で4割程度の利用状況です。三大都市圏の近郊電車は6~7割程度の利用状況でした。
各社とも2月の新幹線・特急は8~9割の利用状況だったため、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中長距離の旅行が3月に入り急減したことを示しています。
2019年度累計では、各社ともおおむね前年度比で数%減の利用状況にとどまっています。したがって、JR本州3社の2020年3月期決算はそれほど悪くなさそうです。
緊急事態宣言で1割台に
4月に入り、新幹線の利用者はさらに落ち込んでいます。JR西日本によると、4月1日から7日までの山陽新幹線の利用者数は前年度比24%、北陸新幹線は20%でした。JR東海によると、4月1日から15日までの東海道新幹線の利用者数は前年比15%でした。
JR西日本とJR東海で利用率に5~10ポイント程度の差がありますが、抽出日に起因するとみられます。新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が7都府県に出されたのが4月7日。それ以前の統計であるJR西日本の数字が2割台、それ以降の状況も含まれるJR東海の数字が15%ですので、緊急事態宣言が発出された4月7日以降、利用者は前年度比で10%程度に落ち込んだことが推測されます。前年比9割減です。
JR3社が発表したゴールデンウィークの予約状況もこれを裏付けます。前年比8-9%程度の予約状況です。4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大されたことから、今後も利用者が伸び悩み、JRの経営には大きな打撃となりそうです。