渋谷駅前再開発の施設名が「渋谷スクランブルスクエア」に決まりました。国道246号線と明治通りの角に建つ地上47階建ての高層ビルです。スクランブル交差点とは離れた場所でなぜこの名称なのか、と思った方もいるでしょうが、実は将来、この建物はハチ公前広場横まで伸びてくるのです。
渋谷再開発の中心
2013年3月の東急東横線の地下化の後、渋谷駅周辺ではあちこちで再開発工事が行われています。その中心となるのが「渋谷駅街区開発計画」で、東京急行電鉄、JR東日本、東京メトロが携わる大規模プロジェクト。この施設の名称が、「渋谷スクランブルスクエア」と決定しました。
渋谷スクランブルスクエアは、東棟、中央棟、西棟の3つに分かれています。
このうち東棟が2019年度に開業します。高さ約230m、地上47階、地下7階建の超高層ビルで、国道246号線と明治通りの角に建設されます。渋谷ヒカリエと明治通りを挟んで向かい側です。
西棟はJR渋谷駅を挟んだ反対側です。現在の渋谷駅西口バスターミナルの国道246号線に沿ったエリアに建設されます。
東棟と西棟の間に位置する中央棟は、JR山手線・埼京線の渋谷駅の真上に建設され、線路の上をJRハチ公口まで建物が伸びてきます。つまり、「渋谷スクランブルスクエア」は、中央棟がハチ公口まで伸びてくることによって、渋谷スクランブル交差点に近接するわけです。
スクランブル交差点を見下ろせる
2019年度に開業するのは東棟だけで、中央棟と西棟の開業は2027年度が予定されています。つまり、渋谷スクランブルスクエアが渋谷スクランブル交差点と近接するのは、いまから10年後の話です。それまでは、渋谷に「2つのスクランブル」が離れて存在することになり、旅行者の混乱のタネになるかもしれません。
ただ、渋谷スクランブルスクエアの東棟の高層部には展望施設が設置され、渋谷スクランブル交差点を見下ろせます。そのため、国内外から観光客を集める名所になるのは間違いなさそうです。
渋谷再開発の中心
2019年度開業の渋谷スクランブルスクエア東棟は、延べ床面積が18万1000平米あります。渋谷スクランブルスクエア全体が開業したときの延べ床面積が27万6000平米ですので、東棟だけで全体の65%の床面積が開業するわけです。つまり、渋谷スクランブルスクエアの主力棟が東棟です。
東棟は下層部が商業施設、中高層部がオフィスです。東棟商業施設の売場面積は約3万平米で、全体完成時には約7万平方メートルになります。東急本店の延べ床面積が約6万5000平米ですので、東棟でその半分程度、全体でほぼ同じ広さの商業施設ができる、ということです。
ちなみに、JR渋谷駅上に立てられる中央棟は高さ約61mで、地上10階、地下2階建て。西棟は高さ約76mで地上13階、地下5階建てです。超高層ビルとなるのは東棟だけです。
銀座線、埼京線ホーム移設も同時期に
東棟が完成する2019年度には、東京メトロ銀座線渋谷駅の移設も行われます。現在位置より130mほど表参道寄りにホームを移し、構造も対面式から島式に変更されます。
また、2020年春には、埼京線ホームが山手線ホーム隣に移設されます。2020年春とは、2019年度末ですので、銀座線ホーム移設とほぼ同時期に、埼京線ホーム移設も実現するわけです。JRでは山手線ホームの1面2線化も計画していますが、その完成はもう少し後になるようです。
銀座線、埼京線ホーム移設と、渋谷スクランブルスクエア東棟開業により、2020年春頃には、渋谷駅改良工事はひとつの山を越えると考えて良さそうです。
最終的に工事が終わるのは、2027年度の予定です。そのとき、渋谷駅構内は以下のような形になります。
渋谷川沿いには「渋谷ストリーム」が
渋谷スクランブルスクエア東棟から国道246号を挟んだ反対側にも超高層ビルができます。高さ約180m、地上35階、地下4階建ての「渋谷ストリーム」です。
こちらは渋谷川沿いの東横線跡地を利用していて、開業は一足早い2018年秋の予定です。渋谷スクランブルスクエアと、渋谷ストリームの開業により、2020年春頃には、渋谷駅南東部の雰囲気が一変することでしょう。(鎌倉淳)