「青春18きっぷ」で、金沢駅、福井駅へ行くことができなくなります。北陸新幹線敦賀開業により、並行在来線が第三セクターに移管されるためです。全国のJR都道府県庁所在地駅で、青春18きっぷを使って到達が不可能になるのは、両駅が初めてです。
北陸新幹線敦賀開業で
「青春18きっぷ」は、全国のJR線の普通・快速列車が乗り放題のきっぷです。利用できるのはJR在来線だけで、私鉄や第三セクター路線には原則として乗車できません。
金沢駅、福井駅へは、現在、北陸本線を利用すれば行くことができます。しかし、2024年3月16日に北陸新幹線金沢~敦賀間が開業すると、北陸本線金沢~敦賀間は並行在来線として第三セクター鉄道会社に移管されます。
これにより、同区間で「青春18きっぷ」が利用不可能になります。結果として、金沢駅、福井駅へは青春18きっぷで行けなくなります。当然のことながら、金沢駅、福井駅から青春18きっぷで旅行することもできません。
長野、富山は利用可能
これまでも、新幹線開業にともなう並行在来線への移管はありました。ただ、都道府県庁所在地駅には、並行在来線以外のJR在来線が残っていて、新幹線開業後も「青春18きっぷ」を利用できます。
たとえば、長野駅。北陸新幹線開業により、信越本線は分断されて第三セクター鉄道会社に移管されましたが、篠ノ井線と接続する篠ノ井~長野間がJR線として残されたため、長野駅はいまも松本方面からアクセスできます。
富山駅も、北陸新幹線開業により、「青春18きっぷ」では北陸本線によるアクセスができなくなりました。しかし、高山本線を使えば、岐阜方面から到達できます。
いっぽう、金沢駅と福井駅は、北陸本線の他にJR在来線ありません。同線が第三セクターに移管されることで、「青春18きっぷ」によるアクセスルートを完全に失います。
特例適用もなく
「青春18きっぷ」では、JR在来線全線に到達できるルートを確保するため、一部並行在来線に乗車できる特例を設けています。しかし、2024年1月23日に公表された、新幹線開業後の特例内容によると、福井駅、金沢駅へは、特例を使っても訪問できません。
新たな特例は二つで、一つ目は北陸方面の越美北線へのルートとして、敦賀~越前花堂間の第三セクターに乗れるというもの。もう一つは、七尾線へのルートとして、富山~津幡間の第三セクターに乗れるというもの。いずれも、福井駅、金沢駅を特例区間上に含みません。
越美北線特例を用いれば、福井駅の隣駅の越前花堂駅まで行くことはでき、同駅で途中下車もできます。ただし、ルール上は越美北線に乗り継ぐ場合のみ、「青春18きっぷ」を利用できると定められています。福井駅訪問のみを目的として、越前花堂駅で途中下車することはできません。
ということで、金沢駅と福井駅は、どうやっても「青春18きっぷ」のみで到達することは不可能になります。他のエリアから「青春18きっぷ」で訪れる場合は、富山駅もしくは敦賀駅から、第三セクターの運賃を別途支払う必要があります。
金沢駅、福井駅へ「青春18きっぷ」で訪問できる最終日は、2024年3月15日です。(鎌倉淳)