西武鉄道、東京メトロ、東京急行電鉄、横浜高速鉄道の4社は、有料の座席指定制直通列車を導入すると発表しました。西武鉄道の新型通勤車両40000系を使用し、2017年春からの運行開始を予定しています。東急東横線と西武秩父線を直通する列車が、本当に実現することになりました。
40000系「ロング・クロスシート転換車両」を使用
この座席指定制直通列車は、西武鉄道40000系を使用します。40000系は2017年春に導入される西武の新型車両で、ロングシートとクロスシートを転換して使用できるのが特徴。川崎重工の製造で、10両固定編成を8編成導入し、一部編成がロング・クロスシート転換車両となります。
直通列車の運転区間は平日と土休日で異なり、平日は西武池袋線から東京メトロ有楽町線へ、土休日は西武秩父線・池袋線から東京メトロ副都心線・東急東横線・みなとみらい線へ直通運転を行う予定です。
これまで、4社直通運転は西武池袋線飯能駅~みなとみらい線元町・中華街駅間が最大でしたが、座席指定制直通列車は西武秩父駅まで直通します。「西武秩父発、元町・中華街行き」という直通列車が、初めて実現することになります。
また、西武池袋線以外の各線では、初の座席指定制列車となります。西武線でも通勤車両による座席指定制列車は初めてです。
「特急」の種別は使わない?
東急東横線・西武秩父線直通列車は、副都心線・東横線直通運転が実現してから期待されていた運転系統です。しかし、こんなに早く本当に実現するとは、正直驚きました。
気になるのは、この座席指定制直通列車の種別と停車駅です。素直に考えれば「特急」ですが、西武は「レッドアロー」を特急と位置づけており、クロスシートであっても通勤車両の列車を特急と呼ぶには抵抗がありそうです。
一方、東横線・みなとみらい線には料金不要の「特急」があるため、同じ種別で料金の要・不要が分かれるのは適切と思えません。そのため、座席指定制直通列車には「Fライナー」のような、新しい呼称が新設されると予想します。
停車駅予想
停車駅は未発表ですが、日本経済新聞2016年6月16日付によりますと、「横浜駅や渋谷駅など主要駅を中心に検討している」そうです。予想すると、土休日は西武秩父、横瀬、飯能、入間市、小手指、所沢、石神井公園、小竹向原、池袋、新宿三丁目、渋谷、自由が丘、武蔵小杉、菊名、横浜、みなとみらい、元町・中華街あたりでしょうか。
西武秩父線は10両対応できる駅が限られるため、停車駅は少なくなると思われます。東横線の停車駅も、もう少し絞るかも知れません。
メトロ有楽町線に直通する平日は、西武秩父線に乗り入れず、飯能発着になるでしょう。有楽町線側は新木場発着と思われますが、豊洲発着になるのかもしれません。いずれにせよ通勤ライナー的な位置づけとみられますので、停車駅を予想すると、飯能、入間市、小手指、所沢、小竹向原、池袋、飯田橋、永田町、有楽町、豊洲、新木場あたりでしょうか。
メトロ線内の停車駅は、千代田線ロマンスカーを見る限り、数駅に絞りそうです。
西武特急も副都心線方面へ?
料金は未発表です。ただ、西武線では2016年7月に特急料金値上げを予定しています。この値上げは、「40000系ライナー」登場を見据えたものでしょうから、それよりは安くなるとして、最低価格が300円程度になると予想します。
ところで、西武鉄道では、2018年度に新型特急車両の投入を予定しています。この新型特急もメトロ副都心線方面への乗り入れが検討されている旨が報道されています。
実現すれば、西武線から副都心線方面へ2種類の座席指定列車が走ることになります。その場合は、西武線、メトロ、東急のダイヤが大きく変わるかもしれません。(鎌倉淳)