JR東日本などは、新幹線・特急指定席のシーズン別特急料金を2022年4月から改定します。新たに「最繁忙期」を設定する一方、閑散期の期間も増やします。
シーズン別指定席特急料金
JR東日本とJR北海道、JR西日本は、新幹線や特急列車のシーズン別指定席特急料金について、2022年4月1日乗車分から改定すると発表しました。
現在、JRのシーズン別特急料金は全社共通(不適用列車もあり)で、基準となる通常期と、200円増となる繁忙期、200円減となる閑散期の3段階です。JR東日本などはこの共通制度を改め、2022年4月より、400円増の「最繁忙期」を加え4段階とします。
JR東日本などが設定した新たなシーズン別指定席料金は、最繁忙期が930円、繁忙期が730円、通常期が530円、閑散期が330円となります。
公表された2022年度の適用日カレンダーによりますと、最繁忙期は年間30日。ゴールデンウィークやお盆、年末年始に適用します。繁忙期は年間41日で、春休みと8月上旬、3連休がらみに適用します。
閑散期は106日で、おもにオフシーズンの月~木曜日に適用。残りが通常期で188日に適用します。
1日違いで600円差
注目点としては、夏休み期間の7月下旬や8月下旬が通常期に分類されることでしょうか。8月上旬からお盆にかけての「夏の旅行のピーク」前後について、特急料金を抑えめにすることでピークを平準化させようという意図とみられます。
ゴールデンウィークの前後の日程も特徴的です。4月25、26日が閑散期で、27日から最繁忙期となっていて、1日の違いで特急料金に600円の差をつけることになります。ゴールデンウィークの最繁忙期は5月6日まで続きますが、5月7日、8日はいきなり2段階下の通常期にしています。5月9日、10日はさらに下の閑散期にしていて、11日から通常期に戻るというのも、ゴールデンウィークのピークをなだらかにするためでしょう。
このように、「最繁忙期」や「閑散期」は、必ずしも実際の利用予測を反映しているわけではなく、利用の平準化を目指した戦略的な設定になっていることがうかがえます。
減額期間が増える
最繁忙期と繁忙期を合わせた増額期間は合計73日で、現在の繁忙期の84日より11日減少します。閑散期は現在の82日が106日となり24日増えます。
日数でいえば、減額期間が増えて増額期間が減ることになるわけです。このことからも、JR東日本としては必ずしも増収を意図したものではなく、利用の平準化を狙ったことがうかがえます。
適用列車は?
新しいシーズン別特急料金の対象となる列車は、東北・山形・秋田・北海道・上越・北陸の各新幹線と、JR東日本の特急「つがる」「いなほ」「しらゆき」「草津」「成田エクスプレス」「わかしお」「しおさい」「さざなみ」などです。従来型のシーズン別特急料金を適用しているJR東日本の全ての特急列車とみていいでしょう。
一方で、「あずさ」「ひたち」など「新たな着席サービス」を実施している列車は、通年同額の料金制度となっていて、変更ありません。また自由席特急料金も変わりません。
「リゾートしらかみ」「はまゆり」などの快速列車の指定席も、新たな適用日カレンダーとなりますが、最繁忙期・繁忙期の適用はなく、通常期と閑散期のみの扱いになります。
JR東海、JR四国、JR九州にはこの新料金は適用されません。北陸新幹線以外のJR西日本、北海道新幹線以外のJR北海道の列車にも適用されません。(鎌倉淳)