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JR佐世保線特急「みどり」の将来は? 長崎新幹線暫定開業時に高速化するけれど

将来は短距離特急に?

JR佐世保線の高速化が行われます。2020年度の九州新幹線長崎ルート(長崎新幹線)の暫定開業にあわせるもので、博多~佐世保間が8分短縮されます。しかし、その将来像ははっきりしません。

885系が佐世保線へ?

JR佐世保線の高速化について協議しているのは、佐世保線等整備検討委員会です。この委員会は、九州新幹線長崎ルートの建設が進められるなか、ルートから外れた佐世保方面への所要時間の短縮を検討するため、1993年に設立されました。

2019年3月28日に長崎県庁で開かれた会合では、長崎県の平田副知事、佐世保市の朝長市長、JR九州の担当者が出席しました。

会合は非公開でしたが、各社報道をまとめると、佐世保線の有田~佐世保間でレールや枕木を改良するのにくわえ、振り子式の新型車両も導入して、高速化する方針が決まりました。これにより、現在1時間42分かかる博多~佐世保間を8分短縮し、1時間34分で結びます。事業費は約14億円です。

佐世保線特急「みどり」には、現在、783系または787系が使われていますが、導入される振り子式車両は、「白いかもめ」で使われている885系が候補に挙げられています。

長崎新幹線開業後は、長崎方面へのリレー特急が博多~武雄温泉間を走ることになるので、その列車の一部に振り子式が使われるとみられますが、「みどり」にも導入されるということでしょう。

みどり
画像:photolibrary

複線化区間は短縮

JR佐世保線については、長崎新幹線の武雄温泉~長崎間の暫定開業に合わせ、肥前山口~武雄温泉間の複線化をする計画もありました。

しかし、新鳥栖~武雄温泉間でフリーゲージトレインの導入を断念したことを受けて、複線化区間が大町~高橋間に短縮されています。

長崎新幹線をめぐっては、2019年3月27日に与党検討委員会が開かれ、JR九州の青柳俊彦社長が出席。未着工の新鳥栖~武雄温泉間をフル規格で早期に整備するよう要請しました。委員から異論はなく、山本幸三委員長は会合後「フル規格を前提に議論していくことになるのではないか」と記者団に述べました。

複線化区間の短縮も、フル規格での長崎新幹線全線建設を視野に入れ、二重投資を避けたと見られています。地元の佐賀県の同意は得られていませんが、長崎新幹線の未開業部分は、今後、フル規格を軸に議論が進んでいきそうです。

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将来はどうなるのか?

仮にフル規格新幹線で新鳥栖~武雄温泉間が開業した場合、特急「みどり」についても博多~武雄温泉間が廃止され、武雄温泉~佐世保間の短距離運転となる可能性があります。

全線フル規格開業までは、長崎行き特急(現「かもめ」)が武雄温泉乗り換えになるのですが、全線フル規格開業となれば、「みどり」が武雄温泉乗り換えになるかもしれないわけです。

この問題について、地元佐世保市は当然危機感を抱いており、2018年4月には、新幹線がフル規格化された場合、「みどり」に与える影響について市議会に報告書が出されています。

要点は、「全線フル規格化された場合、新鳥栖~武雄温泉間がJRから経営分離され、みどりの運行が維持されない可能性がある」「みどりが直通でなく武雄温泉駅で乗り換えになったり、減便されることもあり得る」というものです。

このあたりの議論は煮詰まっていませんが、過去の事例を見る限り、新幹線の並行在来線が第三セクター化されれば、JRとの直通特急が運転される可能性はきわめて低いでしょう。

経営分離が行われなくても、並行在来線の特急列車は、一時的に残ってもいずれ姿を消していくことが多いです。となると、長崎新幹線が全線フル規格開業した場合、「みどり」の博多~武雄温泉間の運転本数が減るのは避けられませんし、最終的に廃止される可能性もあるでしょう。

長崎新幹線の将来像はいまだにはっきりしません。そして、今回高速化が決まったものの、佐世保線特急「みどり」の将来像も、やはり定かではありません。(鎌倉淳)