北海道のスキー場で、これからもっとも変わる可能性を秘めているのがサホロリゾートでしょう。現在の規模は86ヘクタール。北海道のスキー場としては中規模ですが、2015年に約24ヘクタールのコースを新たに造成、総面積が約110ヘクタールに拡大されます。コース数は22になり、バリエーションでは富良野に匹敵する数字になります。そのサホロスキー場に2014年の年始に取材で訪れてみました。
緩斜面が少ないスキー場
サホロのゲレンデの特徴は、メリハリのあるコース取り。すり鉢状の地形を活かしてコースが巧く配置されており、ダラダラとした緩斜面は少なく、適度に強い斜度のバーンが揃います。オフピステも滑ることができますし、いわゆる「玄人好み」のゲレンデといえます。
ただ、訪れている人が必ずしも「玄人」かというとそうでもなく、ゲレンデサイドの「ホテルメッド」のスクール参加者が目立ちました。白人インストラクターが多く、日本人さえも英語でレッスンを受けています。それだけ外国人スキーヤー・ボーダーの集客に力を入れているのでしょうが、雪に慣れていない東南アジア方面からの旅行者が増えてきたとき、このゲレンデで楽しめるのだろうか、と心配にもなりました。現状のサホロリゾートスキー場は、初心者・初級者向けのゲレンデには思えないからです。
なにより、初級者に優しいコースは少なく、20度くらいの斜面を滑れる腕前がないと、あまり楽しめないでしょう。ベース近くの緩斜面にTバーが配置されていますから、Tバーを使いこなせるくらいのレベルでないと、滑るところに困るかもしれません。
レンタル用品はいまひとつ
初心者には大切なレンタル用品の質も今ひとつ。筆者も使ってみましたが、スキー板もブーツも古く、その割にレンタル料金は高額で驚きました。最近はレンタル用品の高品質化に力を入れているスキー場が増えていますが、こんな中古まがいのレンタル品しか選択肢がないのでは、遠方からやってくるスキー初心者にはちょっとかわいそうな気がします。
ということで、現時点でのサホロリゾートは、初心者向けではありませんし、自前のスキー板を持って滑る中上級者向けです。あるいは、白人インストラクターからレッスンを受けたい人には向いているかもしれません。外国人イントラによる日本語のレッスンもあります。インターナショナルなスキー場にはまちがいありません。
2015年シーズンのゲレンデ拡張では、山頂付近からのダイナミックなコースなどが増えるようです。つまり、今後も中上級者がメインターゲットのゲレンデ構成の様子。であるなら、利用者のターゲットはやはり「玄人」ということになるのでしょうが、アジアからの集客も今後のリゾート運営には欠かせません。「玄人好みのゲレンデ」に「アジアからの初心者」をどう馴染ませるか。運営する加森観光の手腕に注目したいところです。