東急の「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)」とJR東日本の「びゅうコースター風っこ」が、JR北海道を走ることが正式発表されました。「THE ROYAL EXPRESS」は、ディーゼル機関車重連に電源車を付けて道東を走ります。
観光列車の走行プロジェクト
これら観光列車の走行は、JR北海道が、JR東日本、東急電鉄、JR貨物の協力を得て実施します。北海道胆振東部地震の影響を受けた北海道支援の一環で、観光振興と地域活性化を目的としています。JR北海道などは「観光列車の走行プロジェクト」と題しています。
各社発表によりますと、JR北海道は2019年と2020年の夏に、JR東日本と東急電鉄の観光列車を使用し、道東、道北に運行させます。
実施にあたっては、JR北海道が全体を統括し、運行に関わる業務、着地での受け入れ体制に協力します。JR東日本と東急電鉄は、既存の観光列車の提供、運営等に携わります。JR貨物は車両を北海道まで回送運搬することで協力します。
「風っこ そうや」
最初に運行をするのは、JR東日本の観光列車「びゅうコースター風っこ」です。キハ48形を改造した車両で、主に陸羽東線や左沢線を運転しています。
この車両を、JR北海道がJR東日本から借り受けて、2019年夏に宗谷線で観光列車として運転します。概要は以下の通りです。
○列車名称 : 「風っこ そうや」号
○運転日 : 2019 年7月27 日(土)~9月8日(日)の土・日・祝日(15日間を予定)
○運転区間 : 運転日により「稚内~音威子府間」または「旭川~音威子府間」で運転。
○時刻表:
稚内08:00→12:00音威子府13:10→17:00稚内
旭川07:15→12:20音威子府13:00→17:45旭川
※おおよその時刻です。詳細な運転日、運転時刻等は5月頃に発表します。
○運転編成 : JR北海道の「北海道の恵み」シリーズ車両を連結して、合計4連で運転。
「風っこ そうや」は、JR北海道がJR東日本から借り受けた車両で運行し、商品造成、販売等を行います。商品の発売時期は2019年春です。
「THE ROYAL EXPRESS」
つづいて、2020年夏に運転するのが、東急電鉄の観光列車「THE ROYAL EXPRESS」です。伊豆急行2100系「アルファリゾート21」を改造した8両編成の直流電車で、2017年7月に「THE ROYAL EXPRESS」として運転を開始しました。ふだんは、横浜駅~伊豆急下田駅間を中心に臨時列車として運転しています。
この車両を北海道に運んできて、2020年5~8月の間の約1ヶ月間、週4日程度、札幌~道東間を運転します。概要は以下の通りです。
○列車名称 : THE ROYAL EXPRESS
○運転日 : 2020年5~8月の約1ヶ月、週4日程度を想定
○運転エリア : 札幌~道東エリア
○時刻表 : 未定
○運転編成 : 北海道内での運転にあわせた編成について今後検討
「THE ROYAL EXPRESS」は直流電車のため、道内に自走できる区間はなく、ディーゼル機関車の重連に電源車を付けて運転します。JR北海道が所有する機関車ならば、DE10が使用されるとみられますが、機関車の形式についての発表はありません。
いずれにせよ、「THE ROYAL EXPRESS」をディーゼル機関車が重連で牽くという、なかなかレアな光景を見られそうです。
運転区間は「札幌~道東」とのみ発表されていて、詳細は不明です。有力なのは石勝・根室線方面でしょうか。釧網線などを走る可能性もありそうです。
北海道版「THE ROYAL EXPRESS」は、東急電鉄が旅行商品の造成、販売、車内サービス等を行い、JR北海道が列車の運行に協力します。商品発売は2019年冬を予定しています。
車両を借りる、線路を貸す
「風っこ そうや」はJR北海道が営業主体なのに対し、「THE ROYAL EXPRESS」は東急が営業主体ということになります。
JR北海道が2019年から2020年に運転する二つの観光列車は、おおきなテストケースになりそうです。車両を借りて自社で観光列車を運転する方法と、他社に線路を貸すビジネスモデルを試行するわけです。
それにしても、機関車牽引で「THE ROYAL EXPRESS」を走らせるとは、思い切った施策で、楽しみです。(鎌倉淳)