スルッとKANSAIが廃止で、PiTaPaも伸び悩み。関西私鉄の新型ICカードはどうなる?

関西エリアの私鉄系の磁気カード乗車券「スルッとKANSAI」が、2~3年後に廃止される見通しとなりました。「スルッとKANSAI協議会」の加盟各社が合意したと報じられています。後継として、プリペイド式のICカード型乗車券の発行を検討しているそうです。

気になるのは、スルッとKANSAI廃止の話よりは、後継となるICカード型乗車券でしょう。関西の私鉄系ICカードとしては、すでにPiTaPaがありますが、さらに新しいICカードを作る、ということです。なぜそんなことをするのかというと、PiTaPaのルールが複雑で使いにくく、普及が伸び悩んでいる、という背景があるためです。

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PiTaPaが伸び悩んでいる理由

PiTaPaが伸び悩んでいる理由については、筆者が説明するまでもなく、関西エリアにお住まいの方ならご存じでしょう。とくに、PiTaPaではきっぷが買えない、時差回数券類と組み合わせられないなどには不満が多いようです。

いっぽうで、PiTaPaはポストペイド(後払い)式で、回数割引などの仕組みもありますし、私鉄各社が独自のサービスを繰り広げている点など、JR西日本のICOCAや関東のPASMOより優れているといえる部分も少なくありません。PiTaPaの利用者のなかには、その性能を高く評価している人も多いです。

とはいえ、PiTaPaの発行枚数は累計263万枚。ICOCAの980万枚に水をあけられていますし、Suicaの約4800万枚、PASUMOの約2400万枚には遠く及びません。九州の西日本鉄道が主体となっているnimocaですら約200万枚に達していますので、普及度からみると、PiTaPaは失敗と結論されているのかもしれません。

阪急梅田駅

新型ICカードはプリペイド式に

新しいICカードはプリペイド式になるとのことで、PASMOやICOCAと同じようなシンプルなスタイルになるのでしょうか。となると、回数割引なども行われない可能性が高いでしょう。しかし、時差回数券類が普及している関西エリアで、何の割引もないICカードがどのくらい受け入れられるのかはわかりません。とはいえ、ICOCAはかなり普及していますので、新型ICカードのほうが伸びるのかもしれません。

そして、新型ICカードが登場したときに、PiTaPaはどうなるのでしょうか。人気が伸び悩んだサービスは淘汰されていくと考えるのが普通ですが、私鉄各社がせっかく抱えた多数の会員を手放すとも考えづらく、すぐには廃止にならない可能性が高いです。しかし、二つのICサービスを抱え続けていくことができるのかは、なんともいえません。

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