「路線バスで鬼ごっこ」第5弾 茨城~福島を少しだけ分析する。別ルートはあったのか?

格闘技やってそう

「ローカル路線バスで鬼ごっこ」の第5弾が放送されました。太川陽介と松本利夫がチームを率いて対戦する番組です。バスの乗り継ぎ部分について、少しだけ分析してみました。

なお、以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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横山由依VS山之内すず

テレビ東京の「路線バスで鬼ごっこ」は、「ローカル路線バスの旅」シリーズの企画の一つ。2022年2月2日に放送された第5弾では、ルイルイこと太川陽介とEXILEの松本利夫がそれぞれチームを率い、茨城県日立市~栃木県那須塩原市~福島県郡山市で対戦しました。太川チームには横山由依、木本武宏が参加。松本チームには山之内すず、DJ KOOが参加しました。

「鬼ごっこ」のルールは、ミッションをこなしながら逃げるチームを鬼チームが追いかけ、写真を撮れば攻守交代するというもの。2日間の勝負で、先にゴールしたチームが勝者となります。

第5弾では新たに「宝箱」というアイテムが登場し、置いてある場所へ行けばタクシー代が得られるようになりました。バスの路線網に乏しい地方でのロケという事情を勘案したとみられます。

第4弾で廃止されたGPSは今回もなく、逃げたり隠れたりしながら、バスをいかに乗り継ぐかがポイントです。気になった局面について、少しだけ乗り継ぎを検証してみましょう。

路線バスで鬼ごっこ5
Ⓒテレビ東京

路線バスで鬼ごっこ5
Ⓒテレビ東京

水バラ ローカル路線バス対決旅 路線バスで鬼ごっこ第5弾 茨城~栃木~福島
【出演】太川陽介、横山由依、木本武宏(TKO)、松本利夫(EXILE)、山之内すず、DJ KOO(TRF)
【放送日】2022年2月2日(水) 18時25分~21時54分(テレビ東京系列)

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1日目は一本道

「路線バスで鬼ごっこ」は、鬼と逃げ子が途中で入れ替わり、入れ替わった際に鬼は「ロック」され、その場にとどまらなければならない、というルールがあります。そのため、全体の乗り継ぎを検証することに意味はありません。

ここでは、局面ごとに、他の乗り継ぎ方法がなかったかを検証してみます。以下、実際ルートは「▼」、検証ルートは「▽」で示します。表示している時刻は定刻で、番組ではっきり表示されなかった乗り継ぎは筆者による推測です。☆はチェックポイント、★は宝箱、金額は獲得金額です。

1日目に関してはほとんど一本道の設定で、道筋で深く悩む局面はありませんでした。新型コロナウイルス感染症の影響が残るなか、制作側として両チームの行動範囲の想定を狭くしておきたかったのでしょう。

沓石と黒田原はどちらが有利か

そのため、今回のゲームの実質的なスタートは2日目からでした。最初に気になったのは、2日目朝、沓石と黒田原の2つの「宝箱」のどちらを狙いにいったら有利だったか、という点でしょうか。

このときの逃げ子は松本チームです。晩翠橋から沓石を目指したものの、バス乗り場を見つけられずに黒田原を目指し、以下のような乗り継ぎとなったようです。

▼松本チーム(逃げ子)
晩翠橋07:22→07:43一軒茶屋10:18→10:39黒田原駅(★3,000円)→タクシー5,000円+徒歩、15.8km→ライフパーク入口11:39→12:00白河駅前12:00→12:06中田→徒歩0.4km→太鼓のぼお(☆)

これに対し、出発が30分ほど遅れた太川チームは以下のような乗り継ぎでした。

▼太川チーム(鬼)
晩翠橋07:56→08:40沓石(★1,000円)→タクシー2,800円、5.9km→白河の関→徒歩9.2km→太鼓のぼお(☆2,000円)

第5チェックポイントの「太鼓のぼお」到着は太川チームがわずかに早く、攻守入れ替えとなりました。

この結果だけをみると、徒歩距離が長かったものの、時間的には沓石ルートが有利だったように感じます。ただ、そう単純な話ではありません。

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黒田原ルートの検証

晩翠橋から「太鼓のぼおへ」の道筋を検証してみましょう。

先に出発できるのは、松本チームがたどった黒田原ルートです。順調に乗り継ぐと以下のようになります。

▽黒田原ルート
晩翠橋07:22→07:43一軒茶屋07:48→08:09黒田原駅→12.7km→白坂11:25→12:00白河駅前

晩翠橋07時22分発は、松本チームが実際に乗車したバスです。現実には遅延が生じ、一軒茶屋到着が07時54分頃となり、黒田原駅方面のバスを一本乗り逃してしまいました。一軒茶屋バス停に時刻表が掲示されていなかったので当人たちは気付かなかったようですが、じつは痛恨の乗り逃しだったのです。

このバスに乗れていれば、黒田原駅に08時09分に到着できます。ただ、その先、白河駅前の到着時刻は実際ルートと同じです。上記の検証ルートの白坂11時25分発は、実際ルートで一行がライフパーク入口から乗車したバスです。

つまり松本チームは、一軒茶屋の乗り逃しで2時間半のハンディを負っていました。ところが、黒田原の宝箱でタクシー代3,000円を引き当て、これを惜しみなく投入することで挽回しました。宝箱で3,000円を引き当てられなかったら、太鼓のぼおへの到着が遅れ、その後のゲーム展開に大きな影響が生じるところだったでしょう。

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沓石ルートの検証

一方の沓石ルートも検証してみましょう。最適解を探しましたが、以下のようです。

▽沓石ルート
晩翠橋07:56→08:40沓石→5.9km→白河の関→9.2km→太鼓のぼお

太川チームが実際にたどった乗り継ぎと同じです。白河の関から白河駅へのバスは、07時16分発の次が16時16分発ですので、どうがんばっても乗れません。その先、白河市街地まで他にバスはありませんので、白河の関から太鼓のぼおまで9kmを歩くことは制作側の想定内とみられます。

太川チームが沓石の宝箱で獲得したタクシー代は1,000円でした。もう少し高額を得られていれば、そのぶん歩く距離を減らせたに違いありませんが、どのみち「太鼓のぼお」で逃げ子である相手チームを待たなければなりませんでした。

どちらも大差なく

黒田原ルートと沓石ルートの最適解を比べると、バスがつながらない区間は黒田原ルートが12.7km、沓石ルートが15.1kmで、黒田原ルートが有利です。

ただ、黒田原ルートは12時に白河駅前に到着し、そこから太鼓のぼおまで約2kmあり、本来なら歩かなければなりませんでした。実際には同時刻発着のバスに間に合って歩かずに済みましたが、その幸運を差し引けば、どちらのルートの徒歩距離も似たようなもので、到着時刻にも大差がなさそうです。

宝箱には両チームの経路を分散させる意味がある一方で、有利不利が明確に生じるものではありませんでした。そこで得られる金額次第で歩く距離が変わり、状況により乗り遅れを救済する設定になっていたようです。

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最終局面の検証

つづいて、最終局面の検証です。「太鼓のぼお」でのミッション終了後、両者駆け引きの末、松本チームが逃げ子となって、最終となる第6チェックポイント「安心館」に向かいます。

▼松本チーム(逃げ子)
中田12:51→13:28石川駅前→徒歩0.1km→安心館(☆2,000円)→徒歩0.1km→石川駅前15:30→16:27須賀川商工会館前→徒歩0.6km→須賀川市役所(★2,000円)→タクシー7.3km、4,000円→17:26守山中町

守山中町に到着したのは17時26分頃。しかし、郡山行きのバスは出たばかりで、間に合いませんでした。仮に乗れていた場合は、以下のようになります。

▽松本チーム(逃げ子)
守山中町17:19→17:50郡山駅前

番組でも紹介されましたが、18時前にゴールできていました。守山中町の次発は20時26分発で、松本チームはこれを待たずにギブアップしたようです。

太川チームの乗り継ぎ

鬼の太川チームは、ゴール直前まで写真撮影をせず「攻守交代カード」を残す方針をとりました。

▼太川チーム(鬼)
中田14:36→15:13石川駅前→徒歩0.1km→安心館(☆)→徒歩0.1km→石川駅前15:15→16:14須賀川駅前→タクシー2.0km、1,130円→須賀川市役所(★2,000円)→タクシー2.0km→16:59須賀川駅17:14→17:52郡山駅前

須賀川市役所では松本チームを冷やかす余裕を見せ、須賀川駅前17時14分のバスに乗車。多少の遅れがあったものの、18時ごろにゴールの郡山市ふれあい科学館に到着し、勝利しました。

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蓬田ルート

現在の鬼ごっこのルールでは、鬼も逃げ子もゴール可能で、先に到着した方が勝利です。そのため、最終局面で鬼に先行されたら、逃げ子としては鬼と接触しない形で逆転するしかありません。守山中町ルートはそれを実現するために有効でしたが、タッチの差で間に合いませんでした。

他に逆転する方法はないかと検討してみますと、以下のようなルートが見つかりました。

▽蓬田ルート
石川駅前16:10→16:45上蓬田16:50→17:50郡山駅前

このように、石川から蓬田方面を経由すれば郡山駅前に17時50分に到着できます。この上蓬田からのバスは、一行が守山中町で乗れなかったバスと同じです。

石川の攻防

ここで、石川駅前の攻防を振り返ると、須賀川行きのバスが15時15分発と30分発の2本続きます。鬼の太川チームが石川駅前に到着するのは15時13分。このタイミングで撮影されると、松本チームは足止めをくらい、15時30分発にも乗れなくなる可能性がありました。

それを避けるために、松本チームは隠れて太川チームをやり過ごしました。それで足止めは避けられたものの、太川チームに先行を許してしまいます。現在のルールでは、最終盤で鬼に先行されると逃げ子は著しく不利になるので、このやり過ごしが結果的に致命傷になったといえます。

とはいえ、やり過ごさずに逃げて須賀川へ先行する方法も見当たりません。となると、太川チームが15時15分のバスに乗った時点で松本チームは逆転されるほかなく、ロックされて鬼になるか、されずに逃げ子のままでいるか、の二択だったことになります。

実際には、逃げ子のままで逆転を許したわけですが、もし松本チームが石川駅前でロックされたらどうだったでしょうか。15時30分のバスに乗れないことで情報収集の時間ができ、蓬田ルートを探すことができたかもしれません。そうすれば、最終的にゴール直前で再逆転して勝利した可能性があります。勝負のアヤですが、惜しいことでした。

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清陵情報高校ルート

もう一つの可能性として、須賀川市役所から清陵情報高校に向かうという方法もありました。

▽清陵情報高校ルート
須賀川市役所→タクシー5.9km→清陵情報高校17:20→17:55郡山駅前

須賀川市役所から清陵情報高校までの距離は、守山中町までより近いので、17時20分発に間に合う可能性は高いです。ただ、時刻表上は、17時52分に郡山駅前に到着する太川チームに、僅かな差で追いつけません。

いずれにしろ、須賀川市役所の宝箱のタクシー代は、後発チームが郡山駅へ追い上げるための資金という位置づけだったようです。

手札をちらつかせ

まとめると、今回は、郡山駅に17時50分に着く上蓬田発のバスと、17時52分に到着する須賀川発のバス、さらには17時55分着の清陵情報高校発のバスが、最終局面で競う設定になっていました。

松本チームは、17時50分着のバスに乗るチャンスが石川駅前と須賀川市役所の2箇所でありました。しかし、前者では気付かず、後者では挑戦したものの間に合いませんでした。

太川チームは、終盤に鬼になってから、「撮影してロックする」という鬼の手札をちらつかせながら温存し、先行することに成功。そのまま逃げ切っています。終盤、自らに傾いた形勢を手放しませんでした。

マドンナも好演

これまでのバス旅の番組を見ると、太川チームは、ともすればリーダーの独り相撲になりがちです。しかし今回は、太川が苦手なクイズで横山、木本のメンバー2人がアシストするなど、チームワークが機能しました。

一方の松本チームも最年少マドンナの山之内がフットワークの軽さをみせ、DJ KOOも落ち着いた存在感を放ちました。どちらのチームも安心して見ていられ、勝敗も最後までわからず、番組として佳作に仕上がっていたと思います。

最後に松本チームが守山中町で間に合っていれば意外な結末で、ラストシーンが盛り上がったと思いますが、こればかりは仕方ありません。太川チームが接戦を制し、「バス旅のプロ」の称号を取り戻しました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)

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