湯沢高原スキー場の「布場ゲレンデ」が2019年3月末で閉鎖される方針が固まりました。湯沢町の町議議会全員協議会で明らかになったものです。隣接する布場ファミリーゲレンデと高原ゲレンデは、営業を続けます。
大正4年の開設
日本にスキーが伝えられたのは、1911年。オーストリアの軍人が現在の新潟県上越市の金谷山でスキー指導をしたのが始まりとされています。
その2年後の1913年、陸軍高田歩兵連隊の士官が行った「試演」に、越後湯沢から2名が参加しました。この2人によって、越後湯沢にもスキーの技術が伝わったそうです。その2年後、1915年(大正4年)に湯沢スキー場が開設。これが現在の湯沢高原スキー場布場ゲレンデとなりました。
つまり、湯沢高原スキー場は越後湯沢で最も古いスキー場であり、布場ゲレンデはその草分けなのです。当初は軍事目的だったスキーでしたが、すぐにレジャーとして楽しまれるようになり、1931年に清水トンネルが開通し上越線が全通すると、関東からスキー客が多く訪れるようになりました。
湯沢高原スキー場公式ホームページより
山麓の初心者コース
現在の湯沢高原スキー場は、越後湯沢駅から最も近いスキー場で、徒歩わずか8分です。湯沢温泉街とも接していて、温泉&スキーを気楽に楽しめるスキー場として知られています。
布場エリア、高原エリアの2つのエリアで構成されていて、高原エリアは山麓からロープウェイで上がらなければなりません。温泉街に隣接しているのは布場エリアで、布場ゲレンデと布場ファミリーゲレンデの二つがあります。
このうち、布場ゲレンデは駅から少し遠く、リフトは1本だけ。広々とした緩斜面のコースです。標高差70m、滑走距離250m、最大斜度18度、平均斜度12度。数字を見ればわかるとおり、いまとなっては平凡な初心者向けのコースです。
越後湯沢の標高が低いエリアですから、雪質がいいとはいえず、滑っている人はあまり多くない、という印象もありました。
新潟日報2016年3月23日付によりますと、湯沢町の田村正幸町長は、「地元からは存続を求める要望があったが、収支の面から存続は困難と判断した」と話したとのこと。
本当に2019年に閉鎖されれば、大正時代開設の古いスキーコースが、104年の幕を閉じることになります。「まだ行ったことない」という方は、ぜひ一度、歴史あるゲレンデを滑ってみてはいかがでしょうか。(鎌倉淳)