「ローカル路線バスの旅W 第2弾 湯野浜温泉→龍飛崎」の正解ルートを考える【2】最適解を探してみた

おもしろいくらい道の駅のせい

【最初から読む】
「ローカル路線バスの旅W 第2弾 湯野浜温泉→龍飛崎」の正解ルートを考える。あのときの判断は?

ローカル路線バスの旅W第2弾
Ⓒテレビ東京

広告

浪岡ルート

「ローカル路線バス乗り継ぎの旅W第2弾」のルート検証、話を薬師山スキー場に戻します。

薬師山スキー場発のバスに乗り遅れた一行は、結局、鷹巣駅前まで11kmを歩き、バスに乗り継いで大館に泊まります。

4日目は弘前に出て、青森空港を経由して青森駅に至り、後潟に16時42分着。そこから蟹田まで12kmを歩く粘りを見せたものの、その先のバスはなく、ギブアップに追い込まれました。

では、3日目に大館に泊まって挽回するルートはないのでしょうか。

たとえば、実際ルートで弘前バスターミナルで乗車した11時15分発の青森空港へのバスを、途中の浪岡で降りていれば、以下のようにゴールできます。

▽4日目
大館駅前07:27→07:54上陣馬→徒歩5.8km→09:15岩渕公園前09:20→10:20弘前バスターミナル11:15→11:48浪岡12:51→13:28上古川13:46→14:26後潟→徒歩2.7km→蓬田村役場前15:05→15:30蟹田駅前市場ウェル蟹前/蟹田16:20→17:15三厩駅18:30→19:02龍飛埼灯台

ポイントとなるのは、浪岡から青森駅に向かうバスを、途中の上古川で降りることです。いわゆるショートカットで、青森駅から後潟に向かうバスを捕まえることができます。

実際ルートで一行は、青森駅で後潟行きのバスが出たばかりであることを知ります。そのバスを、上古川で捕まえることができたのです。

弘前バスターミナルでこのルートを発見できていたら、一行はゴールできていたことになります。とはいえ、弘前~浪岡間は弘南バス、浪岡~上古川~後潟は青森市営バスなので、この情報を弘前で得ることは難しかったでしょう。

可能性があったとすれば、弘前を11時30分に出る浪岡行きバスに乗った場合でしょうか。その場合も、浪岡で青森行きのバスに乗り継ぐことができ、上古川で後潟行きを捕まえられます。

▽4日目
弘前バスターミナル11:30→12:16浪岡12:51→13:28上古川13:46→14:26後潟

逆説的ですが、青森空港ルートに気付かず、とりあえず浪岡まで北上するという選択をした場合に、ゴールの可能性があったかもしれない、という話です。

広告

五所川原ルート

一行は、弘前のバスターミナルで、五所川原方面のルートも尋ねています。弘前から五所川原方面に向かう乗り継ぎとしては、以下のような形が考えられます。

▽4日目
大館駅前07:27→07:54上陣馬→徒歩5.8km→09:15岩渕公園前09:20→10:20弘前バスターミナル11:50→13:25五所川原駅前14:00→15:13今泉→徒歩14.2km→大平駅19:12→19:52三厩駅19:57→20:22龍飛漁港

五所川原から小泊方面のバスに乗り継ぎ、途中の今泉で降車します。そこから大平駅までの約14kmを4時間で歩くことで、三厩を経て、20時22分に龍飛漁港まで到達できます。しかし、その先、龍飛埼灯台へ行くバスは終わっています。

そのため、この乗り継ぎでは、ギリギリの失敗かとも思えます。しかし、インターネット配信の答え合わせ座談会では、一行が逃した蟹田駅18時57分発の津軽線代行バスに乗れれば、ゴールできる設定であることが明かされています。

大平駅19時12分のバスは、その蟹田18時57分発の津軽線代行バスです。したがって、今回は龍飛漁港まで行ければゴールと見做すという設定だったようで、五所川原から今泉に抜けるルートでもゴールできたことになります。

ちなみに、龍飛漁港と龍飛埼灯台の位置関係は下図の通りです。龍飛漁港バス停から歩いて600mほど坂を登れば灯台です。

広告

最終乗り継ぎ

では、ここで、ゴールから逆算して、最終乗り継ぎを見てみることにします。

▽2日目
鶴岡駅前07:25→07:56イオンモール三川07:59→08:41酒田駅前→徒歩14.3km→遊佐駅前14:52→15:29女鹿→徒歩2.2km→三崎公園前16:00→16:21象潟駅前16:50→17:40由利振興局前17:43→18:50秋田駅西口19:00→20:11五城目バスターミナル

▽3日目
五城目バスターミナル08:20→08:34八郎潟駅前08:48→09:17ホテルサンルーラル大潟前→徒歩4.7km→五明光停車場11:00→11:50八竜ふれあいセンター12:00→12:28能代ステーション13:06→14:04二ツ井駅14:16→14:25道の駅ふたつい→徒歩11.1km→鷹巣駅前18:21→19:24大館駅前

▽4日目
大館駅前07:27→07:54上陣馬→徒歩5.8km→岩渕公園前09:20→10:20弘前バスターミナル11:15→11:48浪岡12:51→13:28上古川13:46→14:26後潟→徒歩2.7km→蓬田村役場前15:05→15:30蟹田駅前市場ウェル蟹前/蟹田駅18:57→19:52三厩駅19:57→20:22龍飛漁港

見ていただければわかるとおり、2日目に遊佐駅14時52分発のバスに乗れれば、時刻表上はゴール可能です。酒田駅~遊佐駅間の約14kmを5時間で歩くと見積もれば、酒田駅を2日目10時頃に出発すればゴールできたことになり、逆算すれば2日目の朝に鶴岡駅を出発しても間に合います。

仮に1日目に新庄に向かったとしても、新庄で宿泊し情報収集のうえ、2日目朝に酒田行きのバスで引き返せば、やはりゴールは可能です。

▽2日目
新庄駅06:00→07:32酒田駅

制作側としては、酒田から遊佐への苦戦を想定して、1日目を棒に振っても挽回できるよう、余裕のある時間設定としていたことがわかります。

広告

好事魔多し

2日目は、夜に五城目まで到達しているのが必須条件となっています。一行はこれをクリアしていましたので、ゴールの芽を残していました。その後、道の駅ふたついで乗り遅れたことで、青森空港経由でのゴールはできなくなりましたが、浪岡ルートならゴールの可能性がありました。

しかし、4日目、弘前からのバスを青森空港まで乗ってしまったことで、ゴールの可能性はほぼ潰えてしまいました。青森空港からのバスが青森駅に早着すれば、青森駅13時37分発の後潟行きに乗り継げた可能性もありましたが、情報収集の時間を考慮すれば難しかったと言えます。

現実問題として、浪岡ルートは難しいので、事実上の最終乗り継ぎは青森空港ルートと考えるのが妥当でしょう。その場合は、3日目に矢立ハイツまで到達している必要があります。

そう考えると、道の駅ふたついでの寄り道が、やはり悔やまれます。寄り道をせず、薬師山スキー場14時15分発のバスに乗れていれば、後の乗り継ぎは難しくなかっただけに、もったいないことでした。

とどのつまり、一行が道の駅ふたついで買い物をせず、鷹巣方面へ急いでいれば、ゴールできていたわけです。寄り道の後、失敗してしまったという点では、オリジナルシリーズ第7弾(青森~新潟)の「蛭子さんのパチンコ」を思い起こします。

序盤の酒田市での苦戦を乗り越え、2日目から3日目にかけて順調に乗り継いだタイミングだっただけに、好事魔多し、というところでしょうか。

広告

最適解は?

では、ここで、今回の最適解を考えてみましょう。実現可能な範囲で、まともな宿に泊まり、なるべく早くゴールする、という前提で組んでみると、たとえば以下のような乗り継ぎが考えられます。

▽1日目
湯野浜温泉09:00→09:46鶴岡駅前10:52→11:24イオンモール三川11:55→12:37酒田駅前13:14→13:38古湊→徒歩12.7km→遊佐駅17:35→17:51吹浦駅前→徒歩0.8km→鳥海温泉

▽2日目
鳥海温泉→徒歩7.2km→三崎公園前09:30→09:51象潟駅前10:10→11:21栄町一丁目(羽後本荘)11:31→12:47秋田駅西口13:00→14:11五城目バスターミナル14:52→15:10八郎潟駅前16:00→16:29ホテルサンルーラル大潟前

▽3日目
ホテルサンルーラル大潟→徒歩4.7km→五明光停車場07:10→07:45八竜ふれあいセンター08:00→08:28能代ステーション09:06→10:04二ツ井駅前10:31→10:40道の駅ふたつい→徒歩2.2km→薬師山スキー場12:30→12:51鷹巣大町12:58→13:52大館駅前15:37→16:08矢立ハイツ→徒歩3.2km→岩渕公園前17:20→18:20弘前バスターミナル18:45→19:40青森空港20:15→20:50青森駅前

▽4日目
青森駅前07:05→07:50後潟08:30→09:22外ヶ浜中央病院11:30→12:20三厩支所13:19→13:47龍飛埼灯台

1日目は酒田駅から遊佐駅まで歩き、遊佐駅からのバスを捕まえて吹浦に至り、鳥海温泉「遊楽里ゆらり」に宿泊。2日目は八郎潟から大潟村に入り、「ホテルサンルーラル大潟」に宿泊。3日目は能代から大館ルートを取って青森泊。4日目の午後早い時間にゴールという形です。

この場合の総徒歩距離は約31km。ラクな道のりではありませんが、2日目以降は1日10km以下の徒歩にとどまります。空室があれば、きちんとしたホテルに泊まれますし、宿泊時のインターバルも長いので、休憩も取りやすいでしょう。

最適解といっても所詮は机上論です。ただ、1日目に吹浦付近まで到達することは、おそらく制作側も想定していたはずでしょう。そうなると、2日目以降のルートに多少の違いはあれど、4日目午後にゴールすることは、そう難しいとはいえない気もします。

広告

難易度は?

結局のところ、今回のお題は、酒田~遊佐間が非常に難しいだけで、その後はほぼ一本道です。深浦方面へチャレンジしてもゴールできる設定でした。その点で、1日目の酒田で早めに腹をくくり、躊躇せずに先を急いでいれば、難しいお題ではありませんでした。

現実には酒田で逡巡して停滞を招いてしまったのですが、それでも2日目朝に鶴岡を出てもゴールできるくらい、日程には余裕がありました。その点からも、ルート選択という視点でみれば、平易なお題だったと判断せざるを得ません。

ただ、最適解でも約30kmも歩かなければならないので、体力的な厳しさは求められています。さらに、1日目に滞ると、2日目以降はミスがあまり許されない乗り継ぎとなっています。道の駅ふたついで、そのミスをしてしまったことが、ゴール失敗につながりました。まとめると、「難しくはないが、容赦ない」お題だったと言えそうです。

番組の集計では、全区間で68kmも歩いたそうです。歴代のバス旅を含めて、最大距離を歩いた回だったかもしれません。そのうえ、宿泊施設にも苦労しました。

これだけ過酷だと、今回のメンバーが次回も出てくれるのか、心配になってしまいます。赤江リーダーは「ちょっと私は考えたいな」とぼやいていましたが、お三方とも、懲りずにまた出てくださることを、いちファンとして期待しております。(鎌倉淳)

広告
前の記事「ローカル路線バスの旅W 第2弾 湯野浜温泉→龍飛崎」の正解ルートを考える。あのときの判断は?
次の記事2024年3月ダイヤ改正「注目ポイント」ランキング【3】まさかの増発も