搭乗率保証制度を採用しているANAの羽田~能登線が、70%に迫る高搭乗率を記録しました。ANAから石川県に対し、12年ぶりに協力金が支払われる予定です。
搭乗率保証制度
能登空港が開港したのは2003年7月7日。計画段階では羽田、小牧、伊丹の3路線が想定されていましたが、実際にはANAが羽田線を運航するのみとなっています。そのANAも開港前は、需要を見極めるとして1日1往復での運航を提案していましたが、石川県など地元自治体は、1日2往復として利便性を高めたい意向がありました。
そこで、年間平均搭乗率が70%未満の場合は、石川県が2億円までの損失補填を行うという、全国初の「搭乗率保証制度」が導入されました。
機材の変更などで、その後条件が変わり、開港4年目からは目標搭乗率を62%と定め、実際の搭乗率が58%を下回った場合は石川県がANAに保証金を支払い、66%を上回るとANAが石川県に協力金を支払う仕組みになっています。
協力金は2000万円
開港15年目(2017年7月7日~18年7月6日)の旅客数は16万2684人(速報値)で、過去最高を記録しました。2017年秋に珠洲市で奥能登国際芸術祭を開催したことなどが旅客増につながったようです。
これにより、搭乗率は69.1%と前年度を3.5ポイント上回り、開港初年度の79.5%に次ぐ結果となりました。基準となる66%を上回ったため、ANAより石川県に協力金が支払われることになり、その額は2,000万円程度が見込まれるそうです。一方で、過去、石川県がANAに対し保証金を支払ったことはありません。
多額の利用促進策
石川県は、能登空港の利用促進策に多額の予算を組んでいます。2018年度予算では、「需要拡大等強化事業費補助金」として1億6745万円が計上されています。今回ANAから支払われる協力金も、空港の利用促進に充てられる見通しです。
空港利用者は自治体から助成を受けられます。たとえば、地元自治体の七尾市では、団体で羽田~能登線を利用した場合、1人につき5,000円の助成があります。また、個人で利用した場合は地元商品券2,000円をもらえます。穴水町では、個人利用で片道1,500円、団体は2,500円の助成があります。能登地区の住民が、羽田~能登線を10名以上で利用して首都圏等で研修等を行うと、片道1,500円の助成が受けられるという制度もあります。
こうした補助金を考えれば、2,000万円がANAから還元されたとしても、実際のところ、たいした金額ではありません。それでも、せっかく作った空港を、きちんと地域振興に活用しているとして評価する声も多いようです。(鎌倉淳)