今や、日本を代表するスキーリゾートとなったのが北海道のニセコです。久しぶりにゲレンデを訪れてみましたが、たしかに外国人が激増。話題のオーストラリア人だけでなく、アジア各地からさまざまな国籍の人がスキーを楽しんでいるようでした。
そうした訪問外国人の何人かに尋ねてみたところ、スキー場は素晴らしい、ということで一致。しかし、アクセスが不便、とも言います。長期滞在している人は気にならないようですが、週末3日で香港からやってきた、なんてスキーヤーもいて、そういう人にはニセコのアクセスビリティの悪さには閉口しているようです。
道外からニセコを訪れる場合の基点は新千歳空港です。そこからニセコまでのアクセスはひらふまでで2時間半。アンヌプリまでだと3時間もかかります。韓国あたりからだと、札幌へ行くよりも、札幌から千歳までのほうが時間がかかる、なんてことになっています。
そういう理由で、ニセコに憧れながらも訪問を断念する人もいるようです。たとえば、オーストラリア人向けの掲示板では「1週間の休みだけれど、ニセコと白馬、どっちがおすすめ?」なんて記事が載っていたのですが、その回答は「1週間ならニセコは避けた方が良い。白馬のほうが便利」などというもの。たしかに、白馬なら新幹線の長野駅から1時間あまりで着いてしまいます。成田空港から白馬までですと4~5時間かかりますが、札幌まで飛ぶ手間がありませんから、やはり白馬のほうが便利、ということになるようです。
では、ニセコのアクセスを改善する方法はあるのでしょうか。考えてみました。
最も期待が大きいのが北海道新幹線。倶知安に駅ができる予定ですので、そうすれば札幌からは30分程度で結ばれます。新千歳空港駅から乗り継いでも1時間強。倶知安からゲレンデまでのバスを入れても、1時間半から2時間程度に短縮されるでしょう。これができれば、ニセコは新幹線隣接の国際的リゾート地としての地位を確固たるものにできると思います。
とはいえ、北海道新幹線ができるのは2035年と言われています。あまりにも先の話で、さすがにこれは待っていられません。
次に考えられるのが高速道路。倶知安には北海道横断自動車道の建設計画があり、実現すれば余市を経て小樽、札幌につながります。これが完成すれば、ゲレンデから新千歳空港まで2時間程度でつながりますが、こちらは着工のめどすら立っていません。途中の余市までが2019年頃までに完成する予定ですが、肝心の山岳区間である余市-倶知安は、いまだ構想段階です。
となると、現実的にはいまある鉄道か道路で、時間短縮を図るしかありません。
鉄道の場合、新千歳から倶知安・ニセコまでの直通列車はありませんが、小樽で「ニセコエクスプレス」に乗り継ぐと早く行くことができます。12時49分に新千歳空港駅を出て、小樽で乗り継げば、15時19分に倶知安、15時32分にニセコに到着できます。倶知安までの所要時間は2時間半で、バスを乗り継げばゲレンデまでは3時間ほどです。
もし新千歳空港からの直行の「ニセコエクスプレス」を出せば、もう少し時間は短縮できるはずです。ただ、それでも新千歳空港から倶知安まで2時間15分ほどはかかると思われます。ゲレンデまでのバスを入れても2時間半、これなら現在のバスと大差ありません。駅での乗り継ぎの煩わしさを考えると、バスよりも利便性が高いとはいえません。
こう考えてみると、当分は、いまのままの一般道経由のバス便に頼らざるを得ない、という結論になってしまいます。
あえていえば、途中の休憩時間を削れないか、という程度でしょう。そのためには、トイレ付きのバスを導入することです。また、ひらふ→ビレッジ→アンヌプリと回るルートですと、どうしてもアンヌプリが不便です。アンヌプリ直行便を作る、などの工夫があってもいいかも知れません。
最後に、意外なダークホースが、2015年に予定されている北海道新幹線の新函館開業です。新函館から長万部までは特急で約1時間。長万部からニセコは普通列車で1時間20分ほどです。東京から新函館までは4時間程度になりますので、東京からニセコまで6時間強で結ばれます。関東地方から訪れる場合は、羽田まで出る手間を考えれば、新幹線も飛行機と大差ない時間になりそうです。特に、北関東の人にはメリットが大きいでしょう。
新函館駅からニセコまでのバスができれば、アクセスビリティの改善には役立ちそうです。この区間は、現在は一般道なので時間がかかりますが、2013年には大沼インター~黒松内インターがつながりますので、バスで2時間程度でニセコまで行けるようになりそうです。
「新幹線アクセス」は日本の旅行では大きなアドバンテージです。ぜひ新函館開業による、ニセコのアクセス改善も期待しましょう。