新春企画として、2040年代までに開業しそうな鉄道新線計画をまとめています。
ここまで挙げてきたのは、おもに事業着手をしたか、事業着手の可能性が高い路線でした。以下では、事業化の可能性があるものの、現時点では未定の路線を見て行きましょう。
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2040年代までに開業する鉄道新線全計画。最新情報を総まとめ!
埼玉高速鉄道岩槻延伸
事業着手直前で足踏みをしているのが、埼玉高速鉄道の岩槻延伸です。2021年6月には、清水勇人市長が「2023年度中に鉄道事業者に対する要請を行う」と市議会で表明。事業化への準備を進めることを明らかにしました。
しかし、その後の調査で、建設費が860億円から1300億円に膨らむことが判明。7年とされていた工期も、18年程度となるとしました。これにより、当面の事業着手は見送られ、計画の再検討を迫られています。
事業化の方針は変わっていないようですが、仮に開業するとしても、2040年代半ばになる計算です。
小田急多摩線相模原延伸
小田急多摩線でも、相模原方面への延伸計画があります。2019年5月に公表された調査報告書で、唐木田~上溝間8.8kmの延伸計画のうち、唐木田~相模原間5.8kmを優先して事業化する方針が示されました。途中、小山田付近に駅ができる予定です。
ただ、相模原市は2027年度までを期間とする行財政改革を進めており、それが終わるまでは小田急多摩線の事業化に着手する予定はありません。となると、事業化する場合でも、開業は2040年代になりそうです。
京阪中之島線
大阪では、京阪が中之島線を九条方面に延伸する方針を明らかにしています。夢洲に建設が予定されている統合型リゾート(IR)へのアクセス路線として整備する構想です。
京阪ホールディングスの加藤好文会長は、2024年11月の決算会見で、「条件が整えば、速やかに工事して、できるだけ早く完成させたい」と述べ、延伸の実現に意欲を示しています。
距離は2km程度です。計画の詳細は明らかにされておらず、開業予定も決まっていません。距離は短いので、着工すれば10年以内で開業できそうです。
福岡市営地下鉄七隈線延伸
福岡地下鉄では、七隈線を福岡空港に延伸する構想が浮上しています。また、終点橋本から姪浜に延伸する構想もあります。
福岡市では交通基本計画の改定作業を進めていて、そのなかで、地下鉄の延伸も検討されているようです。
これとは別に、空港線の篠栗線方面への延伸構想もありますが、現時点では構想段階にとどまりそうです。
石狩市都市型ロープウェイ
北海道石狩市では、新たな軌道系交通として都市型ロープウェイの導入を計画しています。国土交通省の「先導的官民連携支援事業」に採択され、検討が進められています。
「手稲ルート」「麻生ルート」「栄町ルート」の3案がありますが、麻生ルートの事業性が高いようです。ただ、導入を想定しているシステムが開発途中ということもあり、現時点で実現性は定かではありません。
那覇市LRT
沖縄県那覇市にはLRTを敷設する計画があります。2024年3月28日に、市街地の東西と南北に2ルート3区間を整備する方針を明らかにしました。
先行整備をするのは東西ルートです。県庁北口~県立南部医療センター付近の約5kmを本線とし、県庁北口~若狭海浜公園付近の約1kmを支線とします。南北ルートは、真玉橋付近~新都心地区の約5kmです。
那覇市では、2040年度の東西ルートの先行開業を目指しています。
まだまだある?
東京圏の鉄道計画を議論する交通計画審議会の現答申(198号)は、2030年が目標期限です。2030年をメドに新たな答申が出されるとみられます。
東京圏で鉄道新線を建設する場合、答申に盛り込まれるのが、事実上の要件となっています。そのため、新答申への記載を視野に、各地で調査が活発になってきました。
調査が進んでいる路線のなかで、開業への期待が持てそうな路線を挙げると、エイトライナー・メトロセブンの一部区間や、グリーラインの鶴見延伸、東京8号線の八潮~野田間などでしょうか。
いずれも、2040年代までの開業となると難しそうですが、将来的に事業化される可能性もあり、楽しみです。(鎌倉淳)