新春企画として、2040年代までに開業しそうな鉄道新線計画をまとめています。
2030年代半ばになると、東京都内で計画されている地下鉄新線や、北海道新幹線やリニア中央新幹線といった大型路線が開業時期を迎えます。2030年代は、鉄道新線の開業が相次ぐ「黄金時代」となりそうです。
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2040年代までに開業する鉄道新線全計画。最新情報を総まとめ!
東京メトロ有楽町線
東京には複数の地下鉄新線計画がありますが、先行しているのは、東京メトロ有楽町線の豊洲~住吉間と南北線の白金高輪~品川間です。両線とも2024年11月に着工が発表され、2030年代半ばに開業する予定です。
このうち有楽町線の豊洲~住吉間の総延長は5.2km。途中3駅を設けます。枝川駅、東陽町駅、千石駅です。豊住~住吉間の所要時間は約9分です。
2023年に公表された環境影響評価書によりますと、開業後の運転計画は、毎時最大上下各12本。つまり、朝ピーク時に5分間隔の運転です。終日で上下各150本を運転します。
東京メトロ南北線
有楽町線延伸と並行して、東京メトロ南北線の品川延伸も進められています。有楽町線延伸と同時に着工しました。
南北線の延伸区間の総延長は、白金高輪~品川間の2.5kmです。途中駅は設置しません。
開業予定は2030年代半ばです。導入空間となる環状4号の事業期間が2032年までですので、順調にいったとして、環状4号開通の数年後に地下鉄開業という形になるでしょう。
南北線品川延伸後の運転計画は、毎時最大上下各12本。つまりラッシュ時に5分間隔の運転です。終日で上下各195本を運転しますので、日中時間帯は毎時8本程度、つまり7.5分間隔になるとみられます。
多摩都市モノレール
多摩モノレール(多摩都市モノレール)は、多摩センター~上北台間約16kmを結ぶ路線です。
全体構想は約93kmに及び、上北台~箱根ヶ崎間、多摩センター~町田間、多摩センター~八王子間などの延伸計画があります。このうち、上北台~箱根ヶ崎間の約7kmの延伸が事業化されています。
東京都都市整備局が、2022年10月に計画の詳細を公表しました。多摩都市モノレールの現在の終点である上北台駅を出ると、すぐに西方面に折れ、新青梅街道沿いに進みます。武蔵村山市を横断して、JR八高線の箱根ヶ崎駅にて同線と接着します。
途中駅は6駅。終点の箱根ヶ崎駅を含めて、計7駅を新設します。
開業時期は明確ではありませんが、2022年12月8日の都議会本会議で、小池百合子都知事は、開業予定を「2030年代半ば」と答弁しました。
多摩都市モノレールには、下図のように多数の構想路線がありますが、現時点で開業の見通しが立っているといえるのは、上北台~箱根ヶ崎間のみです。
このほか、多摩センター~町田間についても、都道47号線を中心に全体の半分の約7kmで導入空間が確保されていて、実現へ向け準備が進んでいます。ただ、残り区間では道路計画がない部分もあり、事業化にはもう少し時間がかかりそうです。
ルート案は決定していますので、2040年代には町田延伸が実現するかもしれません。
リニア中央新幹線
現在建設中の鉄道新線として、文句なく最大規模なのが、リニア中央新幹線です。
品川~名古屋間285.6kmの計画で、途中、相模原市、甲府市、飯田市、中津川市に駅を設置します。開業後は、品川~名古屋間を約40分で結びます。
リニア中央新幹線の品川~名古屋間の開業予定は2027年とされてきましたが、工事に遅れが生じており、2030年代半ば以降になりそうです。
水源問題が指摘され未着手の静岡県区間では、10年程度の工期を見込んでいるため、2025年に着工したとしても、順調にいって開業は2035年ごろになります。実際にはもう少し時間がかかり、2030年代後半になるでしょう。
その先、名古屋~大阪間に関しては、名古屋開業の10年後とされています。具体的な開業時期は示されていませんが、品川~名古屋間が2030年代後半なら、名古屋~大阪間は2040年代後半になる計算です。
北海道新幹線
整備新幹線で、現在着工済みなのは、北海道新幹線・新函館北斗~札幌間のみです。2031年春の開業予定とされてきましたが、工事が難航し、2024年5月に、建設主体である鉄道・運輸機構が、数年の遅れが生じていることを公表しました。
さらなる工事の遅延も生じているようで、報道によれば、新たな開業予定は2038年度ごろを軸に調整されているそうです。
北海道新幹線札幌延伸の途中駅は新八雲、長万部、倶知安、新小樽の3駅です。終点札幌駅は、在来線ホームより東側に設置されます。
新幹線開業と引き替えに、並行在来線である函館線函館~長万部~小樽間がJR北海道より分離されます。このうち、長万部~小樽間はバス転換が決定済み。新函館北斗~長万部間は貨物鉄道として存続する見通しです。
函館~新函館北斗は第三セクター路線として存続します。函館駅への新幹線乗り入れ計画もありますが、具体化はしていません。
新空港線
新空港線は、東急多摩川線矢口渡駅から、東急蒲田駅、京急蒲田駅を経て、大鳥居駅に至る新線計画です。東急・京急の両蒲田駅を結ぶことから「蒲蒲線」とも呼ばれます。
このうち、矢口渡~東急蒲田~京急蒲田間を優先して整備する方針が決まっています。2022年6月に、東京都と大田区が整備について合意。上下分離による整備と費用負担の割合が決まりました。同年10月には、大田区と東急電鉄が、鉄道設備を保有する第三種事業者として「羽田エアポートライン株式会社」を設立し、事業化に向けて動き出しました
着工予定や開業時期は未定ですが、大田区では、京急蒲田までを2030年代の開業目標を掲げています。都市計画決定から着工まで3年程度、着工から開業まで10年程度がかかるとすれば、早くても2030年代後半の開業になりそうです。
運行形態は明らかではありませんが、3両編成の多摩川線が多摩川~京急蒲田間を各駅停車で運行することがベースになりそうです。
都営地下鉄大江戸線
都営地下鉄大江戸線にも延伸計画があります。大江戸線放射部の終点光が丘駅~大泉学園町までの約4.0kmです。
導入空間となる道路として都市計画道路補助230号線の整備が進んでいます。途中駅として、土支田、大泉町、大泉学園町の3駅を設置します。大泉学園町駅は、西武池袋線大泉学園駅から北2kmほど離れた位置です。
事業着手が確実視されている路線ですが、現時点では明確な開業見込みは示されていません。環境アセスに3年、建設に10年かかるとすれば、順調にすすんでも2030年代後半の開業になりそうです。
大江戸線には、大泉学園町~東所沢間8.6kmの延伸計画もありますが、こちらは事業化のメドが立っていません。
臨海地下鉄
都心部・臨海地域地下鉄(臨海地下鉄)は、東京駅や銀座地区と晴海・有明地区を結ぶ新線計画です。2022年11月25日に東京都が事業計画を発表しました。
臨海地下鉄の区間は東京駅~有明・東京ビッグサイト間の約6.1kmです。途中に新銀座、新築地、勝どき、晴海、豊洲市場の5駅を設けます。
東京駅をつくばエクスプレスと共有し、同線と直通運転する計画もあります。東京都では2040年までの開業を目指しています。
2024年には、整備主体として鉄道建設・運輸施設整備支援機構、営業主体として東京臨海高速鉄道が参画する方針が決まりました。これにより、臨海地下鉄は、りんかい線(新木場~大崎)と同一事業体で運営されることが、事実上決まっています。
つくばエクスプレス
つくばエクスプレスは、開業以来、東京駅への延伸構想があります。
かつて計画だけの話でしたが、臨海地下鉄と東京駅を共用する構想が浮上して、ようやく実現への動きが出てきました。2024年12月には、東京駅までの延伸を目指す期成同盟が、沿線1都3県の11自治体で結成されています。
具体的に決まった計画はありませんが、臨海地下鉄と東京駅を共用するのであれば、東京駅は日本橋付近に設置されます。その先、臨海地下鉄に乗り入れて、有明方面へ直通する形になるでしょう。
計画の詳細が固まっていないので、開業時期は見通せません。臨海地下鉄計画が順調に進めば、東京駅は2040年頃にできるので、つくばエクスプレスの東京駅延伸も、2040年代には実現できるかも知れません。
つくばエクスプレスには、つくばから先、土浦方面への延伸計画もあります。ただし、こちらは事業性に難があり、実現へのハードルは高そうです。
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2040年代までに開業する鉄道新線全計画【3】