2040年代までに開業する鉄道新線全計画。最新情報を総まとめ!

通勤路線、LRTから新幹線、リニアまで

2025年が幕を開けました。新春企画として、2040年代までに開業しそうな鉄道新線計画をまとめてみました。駅名は一部仮称です。

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大阪メトロ中央線

2025年の鉄道新線は、大阪メトロ中央線の夢洲延伸で幕を開けます。コスモスクエア~夢洲間の約3kmが、2025年1月19日に開業します。

2025年4月13日に開幕する、大阪・関西万博のアクセス鉄道として機能します。

大阪メトロ400系

大阪メトロ中央線には、森ノ宮から検車場に延びる車庫用の側線を旅客化する予定もあります。森之宮検車場には新駅を設置します。

こちらの開業目標は2028年春です。

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広島電鉄駅前大橋線

2025年夏には、広島電鉄の駅前大橋線も開業予定です。広島駅電停が駅ビル2階に入り、高架線で駅前大橋へと伸びる新線です。

その先、稲荷町交差点を経て比治山町交差点までが、駅前大橋線開業後の新線区間です。新線開業後は、広島駅~駅前大橋線~稲荷町~紙屋町方面が「本線」になります。

稲荷町~比治山下は「比治山線」(皆実線)となります。稲荷町~的場町~比治山下は「循環線」に組み込まれます。広島駅~猿猴橋町~的場町間は廃止されます。

JR西日本の広島駅ビルは、2025年3月24日に開業します。作業工程の都合で、駅前大橋線は、それより数ヶ月遅れての開業となるそうです。「循環線」の開業は、さらにずれ込む見通し伝えられています。

広島電鉄駅前大橋ルート
画像:国土交通省

広島電鉄には、宇品線を出島まで延伸する計画もあります。終点の広島港から先1.2kmほど延伸し、出島地区まで新線を敷設します。

出島延伸は、千田車庫の移設にあわせた計画で、車庫の移設とともに営業線延伸がおこなわれます。開業時期は未定ですが、2030年以降になりそうです。

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岡山電気軌道

路面電車では、岡山電気軌道でも延伸が予定されています。延伸といってもわずかで、岡山駅前の停留所を岡山駅前広場に移設し、JR線との乗り換え利便性を向上させるものです。

岡山駅前電停は、JR駅ビルから市役所筋を挟んだ東側にあります。ここから軌道を岡山駅方向に約100m延ばし、東口駅前広場内に乗り入れます。

JRの駅ビル前に、2面3線のホームを備えた電停を新設。JR岡山駅東口を出て電停までの距離は現在の約180mから約40mに短縮します。2026年度末の開業予定です。

岡山駅前広場路面電車乗り入れ
画像:岡山市

岡山市の路面電車に関しては、環状化を含む7ルートの延伸計画もあります。

2020年にとりまとめられた「路面電車ネットワーク計画案」が、短期的に整備する路線として挙げたのが、大雲寺前電停から岡山芸術創造劇場を経て西大寺町電停に至るルート(下図4)です。実現時期などは未定ですが、完成すれば一部で環状(袋状)の運転となりそうです。

岡山路面電車延伸案
画像:岡山市

 
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ひたちなか海浜鉄道湊線

2020年代後半には、鉄道新線の開業計画がほとんどありません。先述の大阪メトロ森之宮検車区旅客化を除けば、2030年春ごろ開業予定の、ひたちなか海浜鉄道延伸を待たなければなりません。

ひたちなか海浜鉄道湊線は、一時は廃止も議論されたローカル私鉄です。第三セクター化されてから経営が持ち直し、阿字ヶ浦~国営ひたち海浜公園間3.1kmの延伸計画が立てられました。

阿字ケ浦駅から北上し、海浜公園の南側外周に沿って進み、公園中央口を超えて公園西口付近を終点とする計画です。当初は全区間を一気に建設する予定でしたが、経済状況の変化などを受けて、公園南口までの1.4kmを先行整備する計画に変更しました。

事業許可は2021年1月に取得済みで、2024年3月に計画変更が認可されました。開業予定は2030年春です。

ひたちなか海浜鉄道湊線延伸
画像:国土地理院地図を加工

 
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なにわ筋線

2031年春には、JR・南海なにわ筋線が開業する予定です。大阪地下駅(うめきたホーム)からJR難波、南海新今宮へ至る路線で、JRと南海が共同で営業します。総延長は7.2kmです。

途中、中之島駅、西本町駅、南海新難波駅の3駅を設けます。関西高速鉄道が鉄道施設を整備・保有し、JR西日本と南海電鉄が、それぞれ運営主体となり列車を運行します。

完成すれば、JR特急「はるか」「くろしお」や、南海特急「ラピート」がなにわ筋線経由に移管される予定です。

なにわ筋線
画像:JR西日本

阪急電鉄も大阪駅うめきたに乗り入れる予定です。うめきたから十三を経て新大阪に至る路線で、大阪うめきた~十三がなにわ筋連絡線、十三~新大阪間が新大阪連絡線です。

阪急のなにわ筋・新大阪連絡線については、詳細な計画内容が明らかにされていません。なにわ筋線との同時開業を目指す方針とされていますが、現時点で着工していないので、2031年春のなにわ筋線開業に間に合わせるのは無理でしょう。

となると、阪急なにわ筋・新大阪連絡線が、なにわ筋線より遅れて開業することになります。あるいは、なにわ筋線本体の工事にも遅延が生じていて、開業時期が全体で後ろ倒しになる可能性も、ないとはいえません。

阪急なにわ筋・新大阪線
画像:阪急阪神ホールディングス中期経営計画(2024年3月期決算説明会資料)

 
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羽田空港アクセス線

2031年度には、JR東日本が計画している大型新線・羽田空港アクセス線が開業予定です。

東海道貨物線の一部を旅客化しつつ、新線も建設し、羽田空港から東京駅、上野駅、渋谷駅、新宿駅、新木場駅などに直通列車を運行する構想です。

計画では、羽田空港の国内線第1ターミナルと第2ターミナルの間に「羽田空港新駅」を設け、東京貨物ターミナルまでアクセス新線を建設します。そこから田町駅への「東山手ルート」、大井町駅への「西山手ルート」、東京テレポート駅への「臨海部ルート」の3ルートを建設します。

このうち「アクセス新線」と「東山手ルート」12.4kmの整備事業については、すでに着工しています。開業予定は2031年度で、2032年春が有力でしょう。「臨海部ルート」も同時開業を目指しています。臨海部ルートは工事が少ないので、これからの着手でも間に合いそうです。

東山手ルートの運転本数は毎時8本、1日144本(72往復)を予定しています。おおむね15分間隔での運転を想定しています。

JR羽田空港アクセス線
画像:JR東日本

 
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熊本市電

熊本市電は、熊本市内の田崎橋・上熊本駅前~健軍町の2路線を有します。3方面5ルートの延伸計画があり、このうち「東町線」の健軍町~市民病院間1.5kmが事業化されています。

健軍町から県道熊本高森線を東へ向かい、自衛隊熊本病院や陸運支局などの横を通り熊本市民病院へ至ります。熊本市は2021年3月に基本設計を公表し、概算事業費を135億円としました。事業期間は7年を見込んでいます。

開業予定は、秋津新町までが2029年度、市民病院までが2031年度です。

熊本市電には、他にも延伸計画がありますが、現時点では、東町線以外で事業化の見通しはありません。

熊本市電延伸
画像:熊本市

 
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大阪モノレール

大阪モノレールは、大阪空港~門真市間を結ぶ路線ですが、さらに門真市~瓜生堂間の9.0kmの延伸が計画されています。2020年4月1日に工事施行認可を受け、工事に着手しています。

開業予定は2029年度とされていましたが、2024年4月に、4年の延期を発表。2033年頃に修正されました。

延伸区間では、松生町、門真南、鴻池新田、荒本、瓜生堂の5駅を設置します。軌道はおおむね中央環状線に沿って建設し、荒本~瓜生堂間では、中央環状線の未利用地を使って車庫を設置します。

門真南駅では地下鉄鶴見緑地線と接続。鴻池新田駅ではJR学研都市線と接続。荒本駅では近鉄けいはんな線と接続。瓜生堂駅では近鉄奈良線と接続します。瓜生堂に近鉄の駅はありませんが、モノレール延伸にあわせて設置される予定です。

大阪モノレール延伸
画像:大阪モノレール

 
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熊本空港アクセス鉄道

熊本空港アクセス鉄道は、JR豊肥線の肥後大津と熊本空港を結ぶ6.8kmの鉄道新線計画です。2022年11月に、熊本県とJR九州が建設に向け合意しました。

2023年3月の空港アクセス検討委員会で、2027年度から用地取得などの本格的な工事期間に入り、2034年度の開業を目指すことが明らかになりました。

完成すれば、熊本駅~熊本空港駅間を直通する列車が運行されます。所要時間は約44分を見込んでいます。

ただ、採算性に課題があり、現時点では国の補助基準を満たしません。熊本県では、空港アクセス鉄道を地域産業構造転換インフラ整備推進交付金の対象とすることを求めていて、対象となれば、2034年度開業へ向け前進することでしょう。

熊本空港アクセス鉄道
画像:国土地理院地図を加工

 
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アストラムライン

アストラムライン(広島高速交通)は、広島市内の本通から広域公園前に至る新交通システムです。西広島までの延伸事業に着手しています。

当初は2027年ごろの開業予定でしたが、大幅な後ろ倒しとなり、現在の開業予定は2036年ごろになっています。2024年10月には都市計画原案を公表しています。

延伸計画では、現在の終点の広域公園前駅から、五月が丘団地、石内東開発地を経由し、己斐中央線という道路を通り、西広島駅に接続します。

延伸区間の路線延長は約7.1kmで、「新交通西風新都線」と名付けられました。西広島駅を含めて6駅を新設します。

将来的には、平和大通りを経て本通に戻る環状線構想もありますが、現時点で事業化が決定しているのは、西広島までです。

アストラムライン延伸
画像:広島市

【続きはこちら】
2040年代までに開業する鉄道新線全計画【2】

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