成田空港に行ってみた。国際線旅客98%減の厳しすぎる現実

静まりかえり人影も少なく

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、発着便が激減した成田空港。お盆休みの8月9日に、その様子を見てきました。

広告

前年同期比2%

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、国際線旅客便の運航は世界中でほぼストップ。成田国際空港株式会社が発表した同空港の2020年6月の航空旅客数は142,259人にとどまり、前年同月比4%という少なさを記録しました。

国際線に限ると76,888人で、前年比3%。さらに通過客を除く旅客数に限ると42,634人にまで減り、前年比2%(98%減)となります。1日あたりわずか1,421人と計算してみると、国際線の利用者がいかに減ったかがわかります。

夏休みに入り、国内線旅客には多少回復がみられますが、成田空港は国際線主体の空港だけに、あまり状況は変わっていなさそうです。

現状を見てみようと、お盆休み2日目とされる8月9日(日)、成田空港第1ターミナルに行ってみました。

成田空港第1ターミナル

立体駐車場は閉鎖

成田空港にクルマで到着したのは12時過ぎ。駐車場はガラガラで、ターミナルに近い「P1」でも好きな場所に停め放題です。立体駐車場は閉鎖されていました。

成田空港駐車場

地下道に降りて成田空港駅の改札口へ。閑散としていて、旅客らしき人影は見えません。

現在、JRの特急「成田エクスプレス」は日中時間帯に運休しています。また京成「スカイライナー」も運転本数を半分に減らしています。それもあってか、開店休業のような雰囲気が漂います。

成田空港駅

広告

「Nintendo Check In」もお休み中

エスカレーターで1階の到着ロビーへ。本来なら日本に到着した外国人旅行者が、レンタカーカウンターやツーリストインフォメーションに並んでいるものですが、人影はまばら。旅行者らしき人は見当たりません。

成田空港到着ロビー

「Nintendo Check In」もお休み中。空港内でNintendo Switchやニンテンドー3DSなどを体験できるスペースですが、オープンしていたとしても使う人は少なそう。向かいにあるWi-Fiレンタル店も、開いているのは1店舗だけでした。

成田空港ニンテンドー

広告

スカイチームは4便だけ

エスカレーターで4階の出発ロビーへ上がります。スカイチームが使用している北ウイングは、人の気配がほとんどありません。というのも、この日の北ウイングの出発便は以下の4便しかないからです。

10:20 KLM(アムステルダム)
10:35 エールフランス(パリ)
12:15 エアカラン(ヌメア)
21:55 エディハド航空(アブダビ)

エアカランのヌメア行きまでの3便は出発済みだったので、深夜のアブダビ行きまでチェックインできる便はありません。そのため、人がほとんどいなかったわけです。

ただし、銀行など空港の基本的な機能を担う店舗は営業しています。

成田空港北ウイング

スターアライアンスは13便

南ウイングに回ってみると、ANAを中心とするスターアライアンス陣営のカウンターだけあって、人の気配があり、チェックインが行われています。といってもこの日の南ウイング出発便も多くはなく、13便だけです。

09:30 ANA(上海)
10:10 シンガポール航空(シンガポール)
10:35 LOT(ワルシャワ)
13:20 アシアナ航空(ソウル)
15:40 深セン航空(深圳)
16:00 ユナイテッド航空(サンフランシスコ)
16:40 ANA(ニューヨーク)
17:00 ANA(ロサンゼルス)
17:00 ユナイテッド航空(グアム)
17:10 ANA(シカゴ)
17:10 ユナイテッド航空(ニューアーク)
17:55 エア・カナダ(バンクーバー)
17:55 ANA(ジャカルタ)

昼過ぎに訪れたので、アシアナ航空のソウル行きの搭乗手続きはおおむね終わり、16時頃に出発する深セン航空とユナイテッド航空の旅客が来るには早すぎる、という時間帯でした。そのため旅客は少なく、照明を絞っているわけではないでしょうが、薄暗い雰囲気すら漂います。

成田空港南ウイング

訪れた8月9日は、本来なら東京オリンピックの閉会式があるはずでした。競技を終えて帰国の途に就く選手の姿もみられたことでしょう。そうした情景を想像すると、航空業界が失ったものの大きさを痛感します。

出発案内にはそれなりの便数が表示されていますが、大半が赤い字で「欠航」と表示されています。

成田空港出発便

ちなみに、今回は寄りませんでしたが、この日、第2ターミナルの出発便は8便、第3ターミナルは68便でした。第3ターミナル発着のLCCだけは運航本数が多いですが、ほとんどが国内線で、国際線は春秋航空の中国方面2便だけです。

広告

フードコートには利用者が

北ウイングと南ウイングをつなぐショッピングモールに入ってみます。こちらも、休業中の店が目立ち、開店しているマクドナルドが輝いて見えます。

成田空港ショッピングモール

貼り紙を見ると、4月の緊急事態宣言直後に休業したままの店もあれば、7月の日付で休業を告知している店もあります。夏休みの需要を当て込んだものの、当てが外れたのかもしれません。

旅客の少なさ、休業中の店の多さ。想像はしていたものの厳しいなあ、と思いつつ、5階のエアポートモールに上がってみます。すると、このフロアだけは、少しばかり活気がありました。

通路では子どもがはしゃいでいて、フードコートの座席はそれなりに埋まっています。といっても、もちろん、本来は満席でなければならない時間帯に空席だらけではありますが、ゴーストタウンみたいな空港内を見続けてきただけに、店が開いていて、人が食事をしている風景を眺めるだけでもほっとしました。

ただし、フードコートに出店している店も、開いているほうが少なかったですし、食事している人の多くは空港職員や関係者と見受けられました。

成田空港スカイフードコート

広告

展望デッキには見学客

フードコートの奥から展望デッキに出られます。ここも意外に人がいて、ファミリーや数人のグループが目立ちます。旅行に行くというよりは、見学に来た様子です。

「意外に人がいた」といっても、その数はわずかで、数えられる程度です。ただ、そのわずかな客の姿に安堵を覚えたのも確かです。

成田空港展望デッキ

展望デッキから搭乗ゲートは目と鼻の先ですが、そこに飛行機の姿はありません。ボーディングブリッジが、所在なげに途切れています。

成田空港搭乗ゲート

停まっているのは、出発準備中のアシアナ航空機1機が見えるだけです。滑走路も望めますが、離発着はほとんどなく、たまにやってきたと思うと貨物機です。

フェデックス

この日の成田の最高気温は34度。気が遠くなるような暑い日でしたが、駐機場にジェットエンジンの熱気はなく、滑走路の陽炎は望めません。

いったい、いつまでこんな状況が続くのか、そして続けられるのか。深いため息をつきつつ、平穏に旅ができる日々が戻ることを願うほかありませんでした。(鎌倉淳)

広告