那覇空港自動車道の建設事業が進んでいます。完成すれば、那覇空港~名護間が高速道路で直結します。開通はいつ頃になるのでしょうか?
西原JCT~那覇空港
那覇空港自動車道(那覇空港道)は、沖縄自動車道の西原JCTから分岐して、那覇空港に至る自動車専用道路です。現在、西原JCTから豊見城・名嘉地ICまでの12.1kmが開通しています。
残るのは豊見城・名嘉地IC~那覇空港間で、「小禄道路」と呼ばれる区間です。途中、瀬長ICが設けられる予定で、全長約5.7km、片側2車線、設計速度は80km/hです。
総事業費は1,240億円が見込まれています。
空港と沖縄道を直結
那覇空港道の最大のポイントは、空港と沖縄道が直結することです。
空港からいったん南下し、那覇市街を迂回する形で沖縄道に接続しますので、経路としては大回りです。それでも、渋滞の激しい那覇市内の一般道を走らずに高速道路に入れるのは大きなメリットです。
那覇市中心部から沖縄道・那覇ICまでは、ほんの5km程度ですが、一般道路を通れば渋滞により1時間程度かかることもあります。それを避けられるのですから、とくに沖縄本島中部や北部へのアクセスで威力を発揮します。
完成すれば、那覇空港から名護市中心部が63分で結ばれるということです。
那覇空港から瀬長付近も自動車専用道路でつながります。小禄バイパスの赤嶺以南の渋滞改善に役立つでしょう。
道路開通を見越してか、沖縄のレンタカー会社は、瀬長付近に広い営業所を構える店も増えています。中部や北部へ向かう観光客は、市中心部の営業所で借りるより便利でしょう。
2026年度開通予定
「小禄道路」は2011年度に事業化され、すでに12年が経過しています。
気になる開業時期ですが、2021年4月に公表された「道路の5か年対策プログラム(沖縄ブロック版)」によれば、「今後5か年程度での全線開通を目指す(関係機関協議等が順調に進んだ場合)」とされています。つまり、開通予定は2026年度です。
すでに、高架橋の橋脚の建築も進んでいて、一部では橋梁も架けられています。
難関は航空自衛隊の敷地をかすめる赤嶺トンネルでしょうか。延長が上り972.0m、下り852.0mのメガネトンネルで、「ゆいレール」基礎と最短10m程度の近さを掘削します。NATM工法を採用し、2022年から掘削を開始しています。
鉄軌道の目標を達成
沖縄では鉄軌道の計画もありますが、なかなか具体化しません。那覇~名護間を約1時間で結ぶのは、鉄軌道の目標のひとつですが、実現は見通せません。
一方、那覇空港道の開通により、高速道路を使えば那覇空港~名護間は約1時間で結ばれることになります。旅行者にとっては、レンタカーでの利便性が高まりそうです。(鎌倉淳)