東海道新幹線の新型車両は「N700S」に。SiC素子駆動システム導入で、車内設備はどう変わるか

JR東海が東海道新幹線の次期新型車両は、「N700S」。N700Sは、炭化ケイ素(SiC)素子のパワー半導体を駆動システムに使用した世界初の車両となります。運行開始は2020年頃です。

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N700系の派生モデル

東海道新幹線で2020年頃に新型車両が投入されることは、これまでも報じられてきました。日本経済新聞2016年6月24日付が、その車両名を「N700S」と報じ、同日JR東海が正式発表しました。

東海道新幹線の新型車両は、2013年のN700A系以来7年ぶりで、初代新幹線0系から数えて7代目となります。日経によりますと「基礎技術は07年に営業運転を始めた『700系』の派生モデルと位置づける」とのこと。N700系の派生モデルとなることから「N700S」という名称が付けられたとみられます。

先頭形状は、N700A系の「エアロ ダブル ウィング形」から、新開発の「デュアル スプリーム ウィング形」になるそうです。

n700s画像:JR東海。画像はイメージで、標識灯については今後検討。

JR東海は、4年前に東芝、日立製作所、富士電機、三菱電機と共同でSiC素子のパワー半導体を駆動システムに使用する車両の開発に着手し、実用化にメドをつけています。N700Sは、SiCパワー半導体を組みこんだ世界初の高速鉄道車両になります。N700Sの「S」は、SiCの「S」から取ったようにも思えましたが、JR東海によると「Supreme」(最高の)という意味だそうです。

N700S資料:JR東海

車内設備は変わらない?

東海道新幹線を走る車両は2016年5月現在で134編成あります。JR東海では、80編成と最も多い「N700系」を改造し、最新のN700A(26編成)と同水準まで機能を高める改造工事を実施、2015年8月に完了しました。

JR東海では、引き続きN700A系を大量投入し、現在28編成ある700系をすべて置き換えます。700系は2019年度までに引退する見込みで、N700Sが登場するのは、その後です。

SiC素子を使った駆動システムは、従来のN700系の駆動システムと比べて、約20%軽量化され、小型化も可能となります。そのため、車両の機器配置の制約が緩和され、設計の自由度が向上します。

N700S資料:JR東海

車体が軽量化されるなら、新たな設備を導入することも可能になるのでは? と思えます。ですから、全席コンセント程度ではなく、これまでにないサービスを、とちょっと期待してしまいます。

でも、N700系シリーズとなるのなら、車内設備はあんまり変わらないのかもしれません。東海道新幹線ですし。(鎌倉淳)

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