シルバーフェリーを運航する川崎近海汽船は、2018年6月に岩手県宮古港と北海道室蘭港を結ぶフェリー航路を開設すると発表しました。宮古発が昼便、室蘭発が夜便の1日1往復です。
326kmを10時間で結ぶ
この航路は、川崎近海汽船が全く新たに開設する新ルートです。2018年6月に1日1往復で就航し、宮古~室蘭326kmを10時間で結びます。
なんでこんな区間にフェリーが就航するのか? については、「宮古~室蘭にフェリーが就航へ」記事に掲載しています。簡単にいうと、国の基準としてトラック運転手は連続して10時間の休憩時間が必要で、それに対応する本州・北海道航路として開設が決まった、ということです。
宮古~室蘭航路ダイヤ
注目の運航時刻表は以下のように発表されました。
宮古08:00→室蘭18:00
室蘭20:00→宮古06:00
宮古発が昼便、室蘭発が夜便となりました。前回掲載記事では、宮古発を夜便と予想していましたが、まったくの反対で外れてしまいました。失礼しました。
盛岡~室蘭をワープ
さて、この航路はトラック向けですが、青春18きっぷユーザーにも使い道がありそうです。
青春18きっぷは盛岡~青森間の第三セクターが使えませんし、北海道新幹線開業で青函トンネル区間の在来線が廃止されるほか、2016年3月ダイヤ改正では函館本線の列車本数も削減されます。そのため、青春18きっぷで本州~北海道間を移動するのがますます困難になります。しかし、このフェリーを使えば、盛岡~室蘭がワープできるのです。
発表されたダイヤでは、鉄道利用で宮古発の昼便に乗る場合、宮古に前泊しなければならず、青春18きっぷユーザーにはあまり使いやすくありません。
しかし、室蘭発の夜便に乗った場合、宮古港に午前6時に着けば、宮古駅9時34分発の快速「リアス」に間に合います。現ダイヤでたどると、乗り継いで東京駅に22時40分に着くことができます。
要するに、宮古→東京は青春18きっぷで同日着できるので、このワープルートは使い道がありそうです。
発着埠頭は駅徒歩圏内
宮古・室蘭航路には、「シルバークイーン」が投入されます。1997年就航の船体で、総トン数7,005トン、全長134m、航海速力20.7ノット、旅客定員は600人です。現在は八戸・苫小牧航路に使用されていますが、転用されるようです。
発着埠頭は、宮古港が藤原埠頭、室蘭港が室蘭港フェリー埠頭です。藤原埠頭は宮古線磯鶏駅に近いですが、同駅を含む宮古~釜石間は津波被害で運休しており、三陸鉄道への移管復旧が決まっています。鉄路復旧は2018年度とされていますので、フェリー運航開始の少し後になるでしょう。現駅が移転しないなら、フェリー乗り場は磯鶏駅から徒歩圏です。
室蘭港フェリー埠頭は室蘭駅から1kmほどで、こちらも鉄道駅から歩ける範囲です。
宮古・室蘭どちらの発着埠頭とも駅徒歩圏で、その意味でも鉄道旅行者には使いやすい航路となりそうです。