JR美祢線は復旧できるか。大雨で橋梁流出、廃線懸念も

2010年は復旧

JR美祢線が大雨で橋梁を流出し、復旧が危ぶまれています。山陰線や久大線にも被害が出て運休が続いています。

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大雨で橋梁流出

JR美祢線は厚狭~長門市間46kmを結ぶローカル線です。

2023年6月30日からの大雨で厚狭川が増水し、四郎ヶ原~南大嶺間に架かる「第6厚狭川橋梁」が流出。他にも盛土流出など複数箇所で線路の被害が確認されています。

現在は全線で運転を見合わせていて、運転再開のめどは立っていません。

美祢線は2010年7月の大雨でも湯ノ峠駅~厚保駅間の第3厚狭川橋梁を流出する被害を受け、1年2ヶ月にわたり運休しました。このときは、復旧事業費約13億3,400万円の約半分を地元自治体が負担して復旧しました。

美祢線
画像:JR西日本

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年4億円の赤字

今回も橋梁流出であり、復旧には10億円規模の事業費が見込まれます。

一方、JR美祢線は2019年度から2021年度の3年間で、平均4億6000万円の赤字を計上しています。2021年度の輸送密度は「366」にとどまります。

2010年とは違い、現在のJR西日本はローカル線を整理する経営姿勢を明確にしています。巨費を投じて赤字ローカル線を復旧するのは、経営方針に矛盾が生じることもあり、美祢線の復旧は見通せません。

村岡嗣政山口県知事も7月3日に、現場を訪れ「必ず存続していかなければならない。復旧していくことを求めていきたい」と危機感をあらわにしました。

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山陰線、久大線にも被害

このほか、JR山陰線も長門粟野~阿川間で橋梁が傾く被害が出ていて、復旧の見通しは示されていません。

JR久大線も豊後森~由布院間で大雨による線路脇の斜面崩壊などが起きていて、JR九州は7月下旬まで運転を見合わせると発表しています。(鎌倉淳)

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