東急目黒線とメトロ南北線、埼玉高速線が8両編成に。相鉄線乗り入れを見据え

品川地下鉄構想も

東急目黒線と東京メトロ南北線、埼玉高速鉄道線の8両化が発表されました。2022年度に開始される相鉄線との相互直通運転を見据えたものです。

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新型車両3020系も導入

東京急行電鉄は、目黒線の車両を6両編成から8両編成に、2022年度上期から順次変更します。また、2019年秋から新型車両3020系の導入を開始することも発表しました。東急保有の全26編成(3020系の3編成含む)を6両編成から8両編成に順次変更します。

東京メトロも、南北線において、2022年度より、8両編成の列車を走らせると発表しました。現在6両編成の車両を順次8両編成とします。

埼玉高速鉄道も、埼玉スタジアム線において、2022年度上期から8両編成列車を走らせると発表しました。6両編成の車両を8両編成に順次変更していきます。

各線とも、駅施設は8両に対応しています。8両編成化の実施にともない、ホームドアの増設など、施設改修を行います。

東急3020系
画像:東急電鉄

都営三田線も8両化

東急目黒線、メトロ南北線、埼玉高速線の各線が一斉に8両化に踏み切る背景として、2022年度下期に予定されている、相鉄線との直通運転が挙げられます。東急新横浜線と相鉄新横浜線が開業し、両線は新横浜で接続し相互直通運転が行われます。

神奈川県中央部から都心を抜けて埼玉県に至る列車が運行されるわけですが、これが6両編成では輸送力不足のため、直通運転開始を機に、関係各線が一斉に8両化するわけです。

東急目黒線と直通運転している都営三田線も、同時期に8両化することが、すでに明らかになっています。

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埼玉高速鉄道の経営問題

目黒線・南北線系統の8両化に関しては以前から計画されていて、前述したように駅施設も対応可能な形で作られています。

ただ、埼玉高速線の利用者数の伸び悩みが、カゲを落としていました。同線の利用者数は1日11万人ほどで、東急目黒線の1日約38万人に比べて3分の1以下。

ラッシュ時の混雑率(2017年)でみても、東急目黒線(不動前~目黒)の171に対し、埼玉高速線(川口元郷~赤羽岩淵)は123で、差があります。埼玉高速線線内だけなら6両編成で十分です。

実際、同線は2018年と2019年のダイヤ改正で、日中の区間運転列車の減便を実施しているほどで、8両化を急ぐ必要はありません。

埼玉高速鉄道は経営難で、2015年に事業再生ADRによる私的整理を行っており、現在も約500億円の有利子負債を抱えています。こうした事情から、経営効率を落とす8両化には後ろ向きでした。

しかし、相鉄直通により利用者が増える東急目黒線の8両化は不可避です。運行系統を維持するなら、埼玉高速線のみ6両で運転しつづけるわけにもいきません。

そうした事情で、埼玉高速線も含めた目黒線・南北線系統全体で8両化が実施されることになりました。

品川地下鉄でどう変わるか

メトロ南北線は、将来的には白金高輪~品川に建設される地下鉄新線に乗り入れる可能性があります。その際に、南北線系統を全て品川に乗り入れさせる措置が行われれば、目黒線側と埼玉高速線側の需要のアンバランスの問題は解決します。

品川地下鉄は遠い将来の構想段階の話ですが、実現した場合に運転系統がどう変わるかも、興味深いところです。

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