「ローカル路線バスの旅Z 第18弾 輪島→御前崎」の正解ルートを考える。「史上最難関」は本当か

実績ある安定のこっち

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中津川ルート

「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」第18弾、輪島~御前崎のルート検証、話を2日目に戻しましょう。神岡営業所で平湯方面に向かわずに、11時25分に出るバスで高山に向かったら、どのようになっていたでしょうか。

〔中津川ルート〕
▽2日目
富山07:00→07:56猪谷09:15→09:57神岡営業所11:25→12:45高山バスセンター13:05→14:30下呂バスセンター16:01→16:40加子母総合事務所16:45→17:47中津川駅前

このように、2日目に中津川駅まで到達できます。

実際の一行は、神岡営業所では十分な検討の時間がないまま、先発の平湯方面行きのバスに乗ってしまいました。そこはやむを得ないとして、案内所で聞き込みするだけの時間があった平湯温泉で、熟考してから高山に向かったら、どうなるでしょうか。

〔中津川ルート・平湯乗換〕
▽2日目
神岡営業所10:10→10:33双六口10:33→11:44平湯温泉12:30→13:31高山バスセンター14:05→15:30下呂バスセンター16:01→16:40加子母総合事務所16:45→17:47中津川駅前

このように、下呂で神岡乗り換えと同じバスに収束します。つまり、神岡か平湯のどちらかで決断すれば、2日目に中津川に到着することは可能でした。

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中津川・奥三河ルート

中津川から先、恵那へは17時40分が終バスで、惜しくも間に合いません。そのため2日目は中津川泊となり、3日目、恵那方面に向かった場合、以下のように乗り継げます。

〔中津川・奥三河ルート〕
▽3日目
中津川駅前07:40→08:10東鉄恵那車庫09:30→09:50恵那駅前12:05→12:23小野川→徒歩9.1km→岩村駅前14:20→15:03押山16:36→16:52どんぐりの湯前19:20→20:03田口

▽4日目
田口06:02→06:41本長篠駅前06:52→07:35山王→徒歩7.8km→伊平10:22→11:24浜松駅11:32→12:28磐田営業所→徒歩5.3km→袋井駅南口15:03→15:42大東支所16:17→16:37浜岡営業所17:43→18:10御前崎海洋センター

このように、4日目の18時すぎに御前崎にゴールできます。長距離の徒歩は3日目に9km、4日目に8kmと5kmがありますが、それぞれ乗り継ぎ時間に余裕がありますので、無理はありません。

3日目の田口で泊まれるかという問題がありますが、設楽町の中心部でもあり宿泊施設は存在します。つまり、ルートを発見できれば現実的にゴール可能です。

岩村方面へ進めるか

中津川・奥三河ルートで難しいのは、恵那で情報収集をしたうえで、岩村から押山方面へ進むという決断ができるかという点です。

一行が中津川から恵那に到着した際、選択できるのは上記の岩村方面(小野川)か、西へ向かう瑞浪方面(上野)だけです。瑞浪方面については後述しますが、上野バス停で降車後、少なくとも8kmの徒歩が待っていて、乗り継ぎもよくありません。何より大回りです。

こうした情報を恵那で得て判断すれば、「岩村のほうがマシ」と選択できる可能性はあるでしょう。

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「253号線」という道筋

中津川・奥三河ルートで最も難しそうなのは、田口からのバスを本長篠で降車する点かも知れません。

本長篠から豊川方面に抜けてしまうのではなく、再び山間部に入って浜松市北部の伊平方面へ越える区間です。田口から本長篠にかけては、深夜・早朝なので情報収集の機会も限られます。

情報収集をするために、4日目、田口からのバスを本長篠で降車後、時間がかかったと仮定すると、以下のような乗り継ぎとなります。

▽4日目
田口06:02→06:41本長篠駅前09:30→10:14竹平→徒歩5.0km→伊平11:22→12:24浜松駅13:32→14:28磐田営業所→徒歩5.3km→袋井駅南口16:03→16:42大東支所16:57→17:17浜岡営業所17:43→18:10御前崎海洋センター

このように、本長篠駅で聞き込みをして9時半まで滞在しても、浜岡で先発ルートに追いつき、ゴールは可能です。

ちなみに、中津川、田口、伊平とつなぐ奥三河ルートは、恵那から浜松まで国道257号線をたどっています。天下の国道に沿って進むルートですから、「257号」という道筋を見つけてこだわれば、情報収集に手を掛けながら進んでも成功のチャンスはあったといえそうです。

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豊橋ルート

仮定の話を重ねますが、田口からのバスを本長篠で降車せず、終点の新城市民病院まで乗ってしまった場合はどうなるでしょうか。

〔豊橋ルート〕
▽4日目
田口06:02→07:04新城市民病院07:18→08:47豊橋駅前10:40→11:16嵩山→徒歩6.6km→三ヶ日車庫13:16→14:40浜松駅15:32→16:30磐田営業所→徒歩5.3km→袋井駅南口17:40→18:19大東支所19:36→19:56浜岡営業所20:01→20:28御前崎海洋センター

このように、豊橋駅10時40分発のバスに乗れればゴール可能です。豊橋駅、浜松駅での情報収集の時間も十分にあり、実現可能性が高そうです。

そのほか、中津川・奥三河ルートにはいくつかバリエーションがありますが、長くなるので省略します。

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名古屋に向かったら

話を恵那に戻し、3日目に瑞浪から名古屋方面に向かった場合についても検討してみます。マドンナ松井の本拠地を目指すルートです。

名古屋近郊はバス路線が豊富なので、とても全てを検証しきれていませんが、一例を挙げてみます。

〔名古屋ルート〕
▽3日目
中津川駅前07:40→08:10東鉄恵那車庫09:30→09:50恵那駅前12:05→12:23上野→徒歩7.8km→白狐温泉前14:19→14:39瑞浪駅前15:20→16:14多治見駅前→徒歩6.4km→内々神社17:45→18:16高蔵寺18:30→18:44中志段味19:06→19:39藤が丘→徒歩1.3km→本郷20:14→20:51地下鉄平針→徒歩1.2km→赤池駅21:30→22:17豊田市

▽4日目
豊田市07:03→07:21松平橋07:47→08:35東岡崎駅09:00→09:30美合駅11:05→11:40本宿駅→徒歩3.7km→名電長沢13:37→14:04国府駅→徒歩2.6km→豊川市民病院14:27→15:02豊橋駅前

前述したように、恵那駅から西へ向かうのが難しく、8kmを歩いて瑞浪駅へ乗り継ぐため時間がかかってしまいます。

そのため、3日目にはがんばっても豊田市まで着くのが限界のようです。4日目に岡崎経由で乗り継いでも、豊橋に到着するのは15時頃。これでは御前崎まで遠く及びません。

恵那で2時間以上も待つなら瑞浪まで歩いた方が早い、と先を急ぐかもしれませんが、その場合も瑞浪15時20分発多治見行きのバスで収束します。このバスに乗ってゴールできる方法は見つかりませんでした。

つまり、恵那から名古屋方面に向かってしまった場合、ゴール失敗となった可能性が高そうです。

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まとめてみると

全体を振り返ってみると、今回のお題は、大きく分けて「甲府ルート」と「中津川ルート」の二つがあり、いずれも時刻表上はゴールが可能でした。しかし、甲府ルートは机上論のきらいがあるので、実現可能性が高いのは中津川ルートでしょう。すなわち、正解は中津川ルートと考えられます。

中津川ルートのうち、ゴール可能な「中津川・奥三河ルート」は、恵那と本長篠で選択の難所がありました。

重要なポイントとなるはずだったのは恵那でした。ここで岩村方面を目指すのは勇気が要りそうですが、瑞浪方面への乗り継ぎも悪いので、消去法的に岩村を選ぶことが難しいとまではいえません。岩村まで行けば、情報収集により押山を経て稲武方面への乗り継ぎは探せるでしょうから、そこで飛び込む勇気さえあればゴールへの道筋は開けます。そう考えると、中津川・奥三河ルートは第一印象ほどの難しさはなさそうです。

むしろ難しいのは本長篠から伊平へ向かう乗り継ぎに思えますが、こちらは迂回が可能で、より易しい豊橋ルートでもゴールできました。そう考えると、今回は、平湯温泉で高山行きのバスに乗るという決断をしていれば、ゴールできていた可能性は小さくなかったように思えます。

「史上最難関」はともかくとして、全体として難易度の高いお題であったことは間違いありません。ただ、念入りに検証してみると無理難題とまではいえないようです。

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三度目のカド番に

田中・羽田チームは、山間部に分け入るのを避けたがる一方で、経験済みの慣れたルートを好む傾向があります。今回は、未経験のルートを進んで山間部に分け入れば乗り継ぎに余裕がある一方で、慣れたルートはかなり急がなければゴールできないという設定でした。

うがった見方をすれば、制作側は田中・羽田チームの傾向を見抜いた上で、陥穽を仕掛けたようにも感じられます。そして一行は見事に嵌まってしまいました。

思えば、マドンナがSKEの松井であったことからも、愛知県方面への道筋は暗示されていました。平湯温泉の足湯で松井がつぶやいた「愛知に行きたい気持ち」に、田中と羽田が寄り添っていればと悔やまれます。

奥三河ルートなら、これまでの「ローカル路線バスの旅」シリーズには出てこなかったエリアの風景を放送できただけに、その点からもチャレンジして欲しかったところです。

これで、Zチームは通算9勝9敗の五分となり、負け越したらチーム解散というカド番を迎えます。カド番は過去2回あり、いずれも脱出していますが、三度目ともなると、横綱級のお題が出されても不思議はありません。

土俵際に追い詰められた田中・羽田チームは、底力で粘り腰を見せられるでしょうか。次回も楽しみです。(鎌倉淳)

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