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「ローカル路線バスの旅W第6弾 車山高原→磐梯熱海」の正解ルートを検証する

「土曜スペシャル ローカル路線バス乗り継ぎの旅W」第6弾 長野県・車山高原→福島県・磐梯熱海
【放送日時】2025年8月30日(土) 18時30分~20時54分(テレビ東京系列、見逃し配信あり)
【出演】高木菜那、中村静香、原幹恵
【ナレーション】日野聡
100kmを残してリタイア
「ローカル路線バスの旅W」第6弾のルート検証、続きをみてみましょう。
2日目、一行は、信州中野駅から飯山行きのバスに乗り、さらに乗り継いで野沢温泉に達し、最後は歩いて、栄村役場にたどり着きました。
3日目は、十日町から長岡、東三条を経て、難しい乗り継ぎをこなしながら、新津駅にまで到達します。
4日目は、新津駅から阿賀野川に沿って会津方面に向かったものの、保田学校前でバスが途絶え、歩きに歩いて道の駅阿賀の里に到達します。
しかし、ここでも、先へ進むバスが見つかりません。ゴールの磐梯熱海までは、道なりで100km以上はありそうで、ゴールの見通しは持てません。厳しい暑さもあって、リーダー髙木はリタイアを決断。ゴールはなりませんでした。
道の駅から進んでいたら
仮に、ここから先、東へ進んでいたらどうなっていたでしょうか。体力が無尽蔵だったと仮定すれば、たとえば、以下のような乗り継ぎになります。
▽4日目
保田学校前08:30頃→徒歩8km→道の駅阿賀の里→徒歩16.8km→津川駅前16:16→16:28天満→14.0km→徳沢駅
津川駅までの16kmを歩き、コミュニティバスに乗り、さらに14kmを歩けば徳沢駅に達します。到着時刻は20時を回っているでしょうから、どんなに頑張っても徳沢駅が限界ということになるでしょう。
道の駅阿賀の里から東へ進んでも、路線バスはほとんど走っていません。したがって、道の駅でのリタイア宣言は、適切だったことになります。
調べた限り、今回のお題で新潟県に入ってしまうと、どういうルートを選んでも、ゴールは不可能なようです。新潟県と福島県の県境地帯には、どこを通っても路線バスがほとんどないため、乗り継ぐことができないのです。
軽井沢・高崎・尾瀬ルート
結論としては、新潟県に入ってしまったことが、間違いだったことになります。となると、ゴールするには、群馬県に向かうほかありません。
ここで、話を1日目に戻します。一行が立科町役場前で選択しなかった、佐久平駅方面行きのバスに乗っていたら、どうなっていたでしょうか。
▽1日目
車山高原11:00→11:13東白樺湖12:10→12:46立科町役場前15:54→16:39浅間総合病院16:40→16:59御代田駅前→徒歩3.9km→追分入口17:49→18:11中軽井沢駅18:35→19:15軽井沢駅
▽2日目
軽井沢駅北口06:59→07:33横川駅→徒歩5.4km→西松井田駅09:16→09:47安中市役所→徒歩7.1km→群馬八幡駅12:16→12:50高崎駅14:50→15:54渋川駅前17:02→17:25綾戸橋→徒歩2.3km→永井口18:27→18:42上之町→徒歩1.2km→沼田駅
立科町役場前を12時46分に出るバスに乗れば、浅間総合病院で御代田駅前行きのバスに乗り継げます。4kmほどを歩いて、追分入口から軽井沢町のコミュニティバスに乗れば、19時過ぎに軽井沢駅に到着します。
軽井沢に宿泊し、2日目に東へ向かい横川へ出ると、途中10キロ以上を歩きますが、13時ごろには高崎駅に到着します。そこから北へ向かえば、渋川駅を経て沼田駅に19時ごろには到着できるでしょう。
2日目に沼田駅に到着できれば、先ほど紹介した尾瀬を経由するルートでゴール可能です。「軽井沢・高崎・尾瀬ルート」です。
軽井沢・高崎・尾瀬ルートは、2日目の徒歩距離が、約15kmに達するのが難点です。それを乗りきれば、3日目以降は難しくないのですが、4日間合計の徒歩距離は35km程度で、ラクなルートではありません。
軽井沢・高崎・宇都宮ルート
軽井沢・高崎・尾瀬ルートは、2日目を乗りきればゴールしやすいルートですが、高崎駅で、沼田に向かうと判断するのは難しいかもしれません。素直に北関東を横断し、宇都宮を目指したらどうなるでしょうか。
乗り継ぎのパターンはいくつもありそうですが、一例を挙げると、このようになります。
▽2日目
軽井沢駅北口06:59→(中略)→12:50高崎駅13:55→14:30県立女子大前14:45→15:15伊勢崎駅15:50→16:18新田暁高校16:53→17:30太田駅北口18:20→18:34太田記念病院18:50→19:23カンケンプラザ西→徒歩4km→足利市駅
▽3日目
東武足利市駅07:50→08:42寺岡町→徒歩4km→佐野駅09:30→09:52佐野新都市バスターミナル→徒歩2.6km→道の駅みかも11:43→12:18栃木駅12:43→13:02イオン13:06→13:49西方ふれあいパーク→徒歩3.3km→楡木車庫前16:00→17:00宇都宮駅西口17:28→18:33塩谷町役場→徒歩9km→矢板駅
▽4日目
矢板駅→徒歩5.5km→野崎駅07:40→08:05大田原市役所08:57→09:25那須塩原駅東口/西口10:40→10:55黒磯駅11:00→11:50追分→徒歩9.5km→古関14:02→14:28白河駅前14:30→15:13石川駅前16:10→16:45上蓬田16:50→17:50郡山駅前18:45→19:31磐梯熱海駅
2日目は、県立女子大や太田駅などを経由すれば、足利市駅まで到達できます。3日目は、栃木市のコミュニティバスを活用すれば、17時頃に宇都宮駅に到着できます。そこで泊まらずに、塩谷町役場までバスに乗り、歩いて矢板駅にまで進みます。
4日目は、矢板駅を早朝に出発して5キロを歩き、野崎駅7時40分発のバスに乗れば、黒磯を経て、福島県との境の追分に11時50分に着きます。そこから9.5kmを2時間あまりで歩ければ、白河駅2分の接続を経て、石川などで乗り継いで、郡山駅に18時頃に到着。磐梯熱海にゴールできます。「軽井沢・高崎・宇都宮ルート」です。
軽井沢・高崎・宇都宮ルートは、3日目以降の接続が厳しく、実現性はあまり高くはありません。2日目に安中から高崎でうまく乗り継げば、1本早い便で進めますが、それも簡単ではありません。
いずれにしろ、軽井沢・高崎・宇都宮ルートは、机上論としてはあり得ますが、現実に高崎から宇都宮を目指したら、ゴールできた可能性はきわめて低そうです。
軽井沢・草津・尾瀬ルート
立科町役場から佐久平駅に向かうと、1日目は軽井沢泊まりとなります。翌朝は、横川駅から高崎を目指して進みたくなるでしょう。高崎に着いたら、沼田を目指すより、宇都宮を目指したくなるのが自然です。しかし、その場合、ゴールの可能性は低かったことになります。
となると、立科町役場で佐久平駅に向かう選択は正しくないようにも思えますが、そうでもありません。軽井沢駅で、違う選択をすれば、ゴールの可能性が格段に高まるからです。
▽2日目
軽井沢駅北口08:40→10:05草津温泉11:30→13:00伊香保温泉13:15→13:42渋川駅前17:02→17:25綾戸橋→徒歩2.3km→永井口18:27→18:42上之町→徒歩1.2km→沼田駅
軽井沢駅からは草津温泉に向かうバスが出ていて、それに乗れば、伊香保温泉を経由して沼田駅に19時すぎに到着できます。これまでに説明してきた通り、沼田駅に2日目に到着すれば、4日目の磐梯熱海のゴールは可能です。
これを「軽井沢・草津・尾瀬ルート」と呼びます。
軽井沢・草津・尾瀬ルートの最速解
軽井沢・草津・尾瀬ルートでは、伊香保周辺のコミュニティバスを組み合わせると、以下のようなルートも可能です。
▽2日目
軽井沢駅北口08:40→10:05草津温泉11:30→13:00伊香保温泉13:40→14:00湯中子会館/湯中子14:50→15:21日赤病院(原町)15:58→16:30中山本宿17:17→17:39沼田駅18:21→19:42尾瀬戸倉
このルートの場合、2日目は、ほとんど歩かずに沼田駅まで到達できます。沼田駅の到着時刻は18時前で、この時間に到着すると、その先、尾瀬戸倉まで進むこともできます。
尾瀬戸倉を、4日目の5時頃に出発した場合、以下のような乗り継ぎも可能です。
▽3日目
尾瀬戸倉→徒歩7.9km→大清水07:30→07:45一ノ瀬→徒歩7km→尾瀬沼山峠10:20→12:40会津田島駅14:15→14:40会津下郷駅15:00→16:00小沼崎→徒歩4.6km→大川発電所前16:47→17:54若松駅前
▽4日目
若松駅前06:48→07:53高坂→徒歩2.9km→赤津08:35→09:30御前09:50→10:20郡山駅前12:10→12:56磐梯熱海駅
3日目に、尾瀬沼山峠を10時20分に出るバスに間に合えば、その日のうちに会津若松まで到達できます。そうなると、4日目は余裕です。猪苗代湖の南岸のバス路線の本数が少ないですが、巧く乗り継げます。磐梯熱海駅に13時頃にゴールできたでしょう。
おそらくは、この時間のゴールが、最速解とみられます。
4つのゴールパターン
まとめると、今回、ゴールへの乗り継ぎは、大別すると、以下の4パターンがありました。
【①長野・草津・尾瀬ルート】
・車山高原→立科→信州中野→草津温泉→沼田→尾瀬→会津若松→磐梯熱海
【②軽井沢・高崎・尾瀬ルート】
・車山高原→立科→軽井沢→高崎→沼田→尾瀬→会津若松→磐梯熱海
【③軽井沢・高崎・宇都宮ルート】
・車山高原→立科→軽井沢→高崎→宇都宮→磐梯熱海
【④軽井沢・草津・尾瀬ルート】
・車山高原→立科→軽井沢→草津温泉→沼田→尾瀬→会津若松→磐梯熱海
このなかで、もっとも乗り継ぎの難易度が低いのは④の軽井沢・草津・尾瀬ルートでしょう。立科町役場で佐久平方面を選択し、軽井沢駅で草津方面を選択すれば、実現可能なルートです。
尾瀬越えを思いつくか
尾瀬を越えるという発想を思いつくのが難しそうですが、沼田に行ってしまうと、尾瀬に行くほか選択肢がないので、他のルートを選びようがありません。
たとえば日光を目指して、沼田に到達するという形もあり得るでしょう。沼田から日光のバスは平日運休で、ロケ日は平日だったので使えません。
日光を目指して進んだけれど、尾瀬を越えるしか選択肢がないと追い込まれれば、ゴールへの道が開ける仕掛けになっていたわけです。
ただ、最も乗り継ぎのしやすいルートが、ハイキングコース経由というのは、厳しすぎる設定にも感じられます。
理想解は?
乗り継ぎ難易度の低い④軽井沢・草津・尾瀬ルートをベースにして、理想解を考えてみると、以下のようになります。
▽1日目
車山高原11:00→11:13東白樺湖12:10→12:46立科町役場前15:54→16:39浅間総合病院16:40→16:59御代田駅前→徒歩3.9km→追分入口17:49→18:11中軽井沢駅18:35→19:15軽井沢駅
▽2日目
軽井沢駅北口08:40→10:05草津温泉11:30→13:00伊香保温泉13:40→14:00湯中子会館/湯中子14:50→15:21日赤病院(原町)15:58→16:30中山本宿17:17→17:39沼田駅
▽3日目
沼田駅08:45→10:15大清水10:30→10:45一ノ瀬→徒歩7km→尾瀬沼山峠15:10→17:30会津田島駅
▽4日目
会津田島駅06:25→07:05小沼崎→徒歩4.6km→大川発電所前08:02→09:03若松駅前バスターミナル11:46→12:51高坂→徒歩2.9km→赤津16:10→16:14湖南高校前16:20→17:05希望が丘17:26→17:52郡山駅前18:45→19:31磐梯熱海駅
途中までは先ほど紹介した最速解と同じですが、2日目に尾瀬戸倉まで行かずに、沼田に泊まる形です。
この乗り継ぎの場合、合計の徒歩距離は18km程度に収まります。1日あたり5km程度なので、近年のローカル路線バスの旅としては、穏やかなほうでしょう。
現実解は?
現実的に選びやすく、ゴールの可能性が高そうなのは、「軽井沢・高崎・尾瀬ルート」でしょう。高崎までの動線は自然ですし、高崎で日光や尾瀬方面の観光ルートに賭けるなら、選択しやすいでしょう。
したがって、現実的な最適解を選ぶとすれば、軽井沢・高崎・尾瀬ルートになりそうです。ただ、2日目に15kmを歩くので、その点が「現実的」かと問われれば、何ともいえません。
千載一遇のタイミング
より現実に即してみれば、立科町役場で3時間の待ち時間があったので、佐久平・軽井沢方面は、選びにくかったのでしょう。
そう考えると、悔やまれるとすれば、鼠踏切東での見落としでしょうか。ここで、北回りのバス時刻表を確認したり、乗車時に運転手に尋ねたりして、次便の北回りのほうが先へ進めることを突き止めれば、1日目に長野駅まで進むことができたので、違った展開になっていたかもしれません。
視聴者の目で見れば、実現してほしかったのは、①の長野・草津・尾瀬ルートです。長野から草津温泉への路線バスは、白根山に近い渋峠を越えるダイナミックな道のりで知られていますが、白根山噴火警戒の影響で、近年は運休期間が長くなっています。今回は、それに乗れる、千載一遇のタイミングでした。
長野・草津・尾瀬ルートを実現できていれば、志賀高原から草津温泉、伊香保温泉、尾瀬沼を抜けて猪苗代湖に至る、壮大なバス旅の番組になっていたでしょう。
先を急ぎすぎて
振り返ると、今回のリーダー髙木は、先を急ぎすぎていた観があります。立科町役場、鼠踏切東、信州中野駅のいずれも、発車時刻の近いバスに飛び乗ってしまい、取り返しがつかなくなっています。
これまでバス旅のパターンからいうと、複数の選択肢がある場合、「初球が絶好球」のことが多いのは確かです。その傾向通りなら、今回も髙木の判断が的中するはずでした。
しかし、今回の絶好球は、いずれも2球目でした。制作側が意図したのかは定かではありませんが、いつも同じパターンではない、ということでしょう。重要なのは好球必打であって、初級打ちの打率が高いとは限らないのです。
なんであれ、今回のルートの難易度は高かったといえます。これまで、脚力にものを言わせて突き進んでいたリーダー髙木が、次回はどんな判断で動くのか。楽しみにしたいところです。(鎌倉淳)