「太川蛭子のバス旅2019 第4弾 北海道横断」の正解を考える。選択肢は意外と豊富

104ってなんですか?

テレビ東京系列で「太川蛭子のバス旅2019」第4弾が放送されました。ルイルイこと太川陽介と、蛭子能収がローカル路線バスを乗り継ぐテレビ番組です。木曜日夜のレギュラー番組「太川蛭子の旅バラ」の企画の1つです。

「バス旅2019」第4弾のお題は北海道横断。札幌から網走まで、路線バスを乗り継いで2泊3日で到達するのが目標です。この正解ルートを検証してみましょう。

なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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相性のいい大地

「太川蛭子のバス旅2019」は、ローカル路線バスだけを乗り継いで目的地を目指すというルールの旅番組です。ただし、バスが走っていない区間では、1万円までタクシーを利用できます。

「バス旅2019」第4弾の目標は、札幌駅から網走駅まで2泊3日で到達するというもの。ゴール到着時刻のリミットは18時。途中のチェックポイントはありません。マドンナは元乃木坂46の生駒里奈。1995年生まれの若いアイドルが、3~4まわりも年上のルイルイ・蛭子コンビに同行します。

北海道は「ローカル路線バスの旅」オリジナルシリーズで2度旅をしていて、いずれもゴールに成功しています。ルイルイ・蛭子コンビにとっては「相性のいい大地」で連勝できるかが注目点となりました。

太川蛭子のバス旅2019
画像:テレビ東京

北海道横断!太川蛭子のバス旅2019第4弾 札幌駅~網走駅
【出演】蛭子能収、太川陽介
【マドンナ】生駒里奈
【ナレーター】バカボン鬼塚
【放送日】2019年8月29日

実際ルート

まずは、一行が実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。

▽1日目
札幌駅前バスターミナル08:10→08:15中央バス札幌ターミナル08:33→09:21江別駅前11:26→12:20栗山駅13:10→13:53岩見沢ターミナル14:05→14:46月形駅前15:00→15:41岩見沢ターミナル17:15→17:54美唄駅前

▽2日目
美唄駅前07:22→08:27滝川駅前08:40→09:42深川市立病院前10:10→11:05旭川駅前12:00→14:38名寄駅前14:47→16:20興部17:20→18:00紋別ターミナル18:20→19:45遠軽ターミナル

▽3日目
遠軽ターミナル10:45→11:22キララン清里→タクシー約16.3km、4,390円→留辺蘂13:06→13:51北見バスターミナル15:35→16:17女満別空港16:25→16:55網走駅前

女満別空港バスはの出発時刻は「飛行機到着後、通常10分~15分位」となっていて、上記時刻は目安です。当日も飛行機の遅延に合わせて出発し、実際の網走駅前の到着時刻は17時35分頃になったようですが、リミットの18時には間に合いゴール、成功となりました。

全体的にコース選択はオーソドックスで、途中、徒歩区間もありませんでした。したがって、一行がたどったルートは検証するまでもなく「正解」としていいと思います。当記事では、他にもルートがなかったか確認していきます。


※グーグルマップのルートは概略です。実際ルートを正確になぞったものではありません(以下同)

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栗山駅で乗り継げたら

番組の冒頭、一行は札幌駅のバスターミナルで「高速バスしか出ていない」という北海道中央バスの案内所係員の説明に従って、大通の中央バス札幌ターミナルへ移動します。そこから江別行きのバスに乗ったまでは順調でしたが、江別駅で2時間待ち、栗山駅で1時間待ち、岩見沢ターミナルで実質3時間待ちと、なかなか先へ進めません。結局、1日目は美唄までしか到達できませんでした。

惜しかったのは、栗山駅での乗り継ぎです。江別からのバスが到着したのが12時22分頃。その2分前の12時20分に、岩見沢行きが出たばかりでした。時刻表上では、江別からのバスは12時20分着なので、同時刻着発で、道路状況によっては間に合っていた可能性があります。これに乗れていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
江別駅前11:26→12:20栗山駅12:20→13:01岩見沢ターミナル13:45→14:24美唄駅前15:10→16:12滝川駅16:30→17:32深川市立病院17:35→18:30旭川駅前

このように岩見沢に13時すぎに到着できます。美唄行きの1本早いバスに間に合い、その後の接続も良くなり、当日中に旭川駅前に到達できます。

初日に旭川に着けたら

初日に旭川に到着して2日目以降で実際ルートをたどった場合、以下のようにつながります。

▽2日目
旭川駅前06:45→09:13名寄駅前10:17→11:50興部12:20→13:04紋別ターミナル14:35→16:00遠軽ターミナル17:10→17:47キララン清里→タクシー約16.3km、4,390円→留辺蘂

▽3日目
留辺蘂06:55→07:38北見バスターミナル08:00→08:41美幌駅前バスターミナル08:55→09:46網走駅前

このように、急げば3日目の午前中にゴールできます。初日に栗山駅での同時刻乗り継ぎが成功していれば、その後の展開が全く違っていたことが分かります。

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新札幌ルート

この栗山駅12時20分発のバスを掴まえる、もっといい方法はないでしょうか。調べてみると、カギは冒頭の札幌駅にありました。

札幌駅バスターミナルでは、北海道中央バスは高速バスしか発着していませんが、JR北海道バスの市内路線があり、それを活用すれば新札幌に出られます。これを「新札幌ルート」と名付けましょう。以下のように繋がります。

▽1日目
札幌駅前バスターミナル08:34→09:24新札幌駅09:40→09:51 JR厚別営業所前10:03→10:53長沼町役場/長沼ターミナル11:48→13:01岩見沢ターミナル13:45→14:24美唄駅前15:10→16:12滝川駅16:30→17:32深川市立病院17:35→18:30旭川駅前

札幌駅前08時34分発の新札幌駅行きバスに乗れば、厚別で乗り換えて長沼発岩見沢行きのバスに乗れます。これが栗山駅12時20分発のバスで、岩見沢に13時01分に到着します。

札幌から長沼までが全てJRバスなので、札幌駅でJRバスの情報を聞き込めば、ルートを見つけることは可能だったでしょう。ただ、札幌駅前バスターミナルでは、JRバスの案内所が場内になく、少し離れた地下街にあります。しかも営業時間は08時30分からとなっています。こうした事情を考えれば、「新札幌ルート」を見つけるのは困難だったかもしれません。

由仁経由も

「新札幌ルート」の別バージョンとして、以下のようなルートもあります。

▽1日目
札幌駅前08:10→09:04新札幌駅/新さっぽろ駅前09:20→10:15由仁駅前12:02→13:01岩見沢ターミナル13:45→14:24美唄駅前15:10→16:12滝川駅16:30→17:32深川市立病院17:35→18:30旭川駅前

新札幌から夕鉄バスで由仁に至り、岩見沢へ抜けるルートです。札幌駅で「とりあえず東へ」と決め打ちして市内バスで新札幌に向かった場合に、発見しうるルートでしょうか。札幌駅を実際ルートと同じ8時10分に出て、新札幌で10分程度の聞き込み時間があれば、探せないルートではなさそうです。

ただ、一行は、今回、かなり手堅く進んだので、たとえ札幌駅で新札幌行きのバスの情報を得たとしても、こういう選択をしなかった気がします。

江別ワープ

初日の停滞を打破するために、序盤でタクシーを使うという手はあったでしょうか。

前出したように、一行は江別駅での2時間待ちを筆頭に停滞が続きます。タクシーカードを切るチャンスがあったとすれば、最初の江別駅だったでしょう。

江別から二つ先のJR駅に幌向駅があり、岩見沢行きのバスが出ています。その情報を江別駅で得られたら、江別~幌向間のタクシー利用はあり得たでしょう。この区間にバス路線はないので、タクシー使用の要件を満たします。

▽1日目
札幌駅前バスターミナル08:10→08:15中央バス札幌ターミナル08:33→09:21江別駅前→タクシー10.8km、推定3,470円→幌向駅前11:40→12:09岩見沢ターミナル13:45→14:24美唄駅前15:10→16:12滝川駅16:30→17:32深川市立病院17:35→18:30旭川駅前

このように、1日目に旭川に到着できます。2日目の清里~留辺蘂間のタクシー代は残りますので、正解ルートの一つとして成立します。

ただ、「ここでタクシーを使えば待ち時間を数時間短縮できる」というのは、後からわかる結果論です。そのため、「江別ワープ」も、現実的には選択しづらかったでしょう。

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上川方面に進んでいたら

実際ルートに戻りましょう。一行の初日は、バスの接続の悪さに泣かされて美唄泊まり。ルイルイは「104」で宿の電話番号を調べ、生駒を驚かせました。たしかに「104」は最近使わなくなりましたが、マドンナとのジェネレーションギャップを感じさせた場面でした。

2日目は滝川、深川での好接続もあり、午前中に旭川駅に到着。ここで、一行は上川方面と名寄方面を検討し、道北バスの案内所で相談のうえ名寄方面を選択しました。

上川方面に進んだ場合、層雲峡~温根湯間の約60kmで路線バスがありません。タクシー代1万円で乗り切れる距離ではありませんので、上川方面を選択していたら行き詰まっていたでしょう。名寄方面を選んで正解といえます。

富良野ルート

もう一つ、一行は検討しませんでしたが、旭川からは富良野へ「ラベンダー号」というバスも出ています。仮に乗車していたら、以下のようになります。

▽2日目
旭川駅前12:15→13:57富良野駅前14:00→14:57西達布→タクシー12.8km、推定4,370円→幾寅駅17:45→18:45新得駅前

▽3日目
新得駅前07:40→09:12帯広バスターミナル09:59→12:49陸別12:55→14:29北見バスターミナル15:35→16:17女満別空港16:25→16:55網走駅前

富良野市南部の西達布までバスを乗り継いで、そこからタクシー12kmあまりで幾寅駅に着けます。幾寅~新得間は、不通となっているJR根室線の代替バスが走っていて、乗車すると新得へ到達できます。新得から帯広、陸別を経て北見に3日目の午後に到達でき、実際ルートに収斂します。

「富良野ルート」では、タクシーは西達布~幾寅間のみですので、1万円以内に収まります。

ただ、旭川から富良野、帯広を経て北見に向かうという発想は、なかなか出てこないでしょう。旭川駅で十分な情報を得られる見込みもなさそうです。したがって、これも机上論で、現実感に乏しいルートです。

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サロマ湖沿いに進めたか

実際ルートに戻りましょう。名寄から紋別へは一本道で、バスの本数も多いことから順調でした。終盤、一行が最も迷ったのは、紋別から網走へのアプローチでしょうか。一行は湧別からサロマ湖に沿って東へ進むルートも検討しましたが、バスの情報を得られず断念。遠軽経由を選択しました。

実際は、湧別町には町営バスが走っていて、国鉄時代に廃止された勇網線沿線へ路線を延ばしています。ですので、サロマ湖沿いに進むことは可能です。仮にどこかで情報を得て中湧別で下車し、翌朝町営バスに乗っていたら、以下のようになっていたかもしれません。

▽2日目
紋別ターミナル18:20→19:16中湧別文化センタートム

▽3日目
中湧別トム09:05→09:34計呂地→タクシー約5km→トカロチ浜13:46→14:17浜佐呂間→タクシー約6km→サロマ湖栄浦17:10→18:03網走駅前

このように、湧別町と佐呂間町のコミュニティバスとタクシーを組み合わせれば、何とか網走バスの走るサロマ湖栄浦まではたどり着けそうです。しかし、サロマ湖栄浦発のバスは、朝7時05分発の次が夕方17時10分までなく、網走駅到着が18時03分。タイムリミットの18時に、ギリギリ間に合いません。

サロマ湖沿岸から網走に向かうには、最終的にこの栄浦発のバスに乗るほか選択肢がないようです。したがって、湧別からサロマ湖方面へ向かったら、必然的に失敗していたことになります。

ただし、一行の3日目が火・木曜日だった場合は、佐呂間町から北見市へのコミュニティバスが走っていて利用できます。

▽3日目
中湧別トム09:05→09:34計呂地→タクシー約14km→佐呂間バスターミナル13:20→14:16北見赤十字病院→徒歩500m→北見バスターミナル15:35→16:17女満別空港16:25→16:55網走駅前

このように、火・木曜日なら、サロマ湖経由でゴールする道筋が見つかりました。

とはいえ、コミュニティバスの乗り継ぎは不安ですし、人口の少ないエリアでタクシーが掴まるかもわかりません。そう考えると、一行が遠軽へ出たのは正解だったといえます。

留辺蘂のバス路線

実際ルートに戻ります。3日目、遠軽からキララン清里へのバスの始発が10時45分と遅く、少し停滞しました。これについては、代替ルートは見つかりませんでした。

気になる点を一つあげると、キララン清里から乗車したタクシーの降車地点です。留辺蘂駅近辺には、温根湯温泉からのバスが走っていて、清里からのタクシーの経路と途中で重なります。

そのため、「バスの走っていない区間に限りタクシー利用可」というルールを厳密に適用するなら、バス路線と重なった地点でタクシーを降りなければならないことになります。最寄りのバス停は旭2号線で、その場合、以下のようになります。

▽3日目
遠軽ターミナル10:45→11:22キララン清里→タクシー約14km→旭2号線14:01→14:55北見バスターミナル15:35→16:17女満別空港16:25→16:55網走駅前

北見で実際ルートに収斂しますので、大勢に影響ありません。

現実問題として、タクシーを手配した遠軽や、乗車した清里で、留辺蘂近辺のバスルートやバス停位置を正確に把握するのは困難です。そのため、ルールはあるにしても、この程度のことは大目に見る、と考えてよさそうです。

留辺蘂以降、網走までは、見つけやすい平易なルートでした。北見での蛭子さんトイレ事件といったハプニングはあったものの、難しい乗り継ぎはなく無事ゴールとなりました。

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日高ルート

ここで、話を札幌に戻しましょう。一行は当初、中間目標地点の設定として、旭川と並んで帯広を候補に挙げていました。仮に帯広を目指していたらどうなっていたかを考えてみます。

札幌から帯広を目指すなら、まずは千歳方面へ向かうことになります。しかし、千歳から東の占冠方面へ向かう路線バスはないので、日高方面へ南下していたと想像できます。以下のようなルートです。

▽1日目
札幌ターミナル09:35→11:07千歳駅11:22→11:33新千歳空港12:19→13:20苫小牧駅前15:10→17:39静内駅前18:30→19:26役場前(浦河)20:16→20:48様似営業所前

新千歳空港で情報をしっかり集めて、日高経由で帯広に抜けられることを確認すれば、選択しうるルートでしょう。一行はオリジナルシリーズ第20弾で日高方面から襟裳岬を回るルートを経験済みですので、苫小牧へ出られれば帯広まで行ける、という計算も立つはずです。

日高方面へは、ローカル路線バスの便数は少ないですが、苫小牧から静内までの長距離便があるのが強みです。浦河からは特急「ひだか優駿号」の下道区間に乗り継いで1日目に様似まで行くことができ、2日目は以下のようになります。

▽2日目
様似営業所前06:22→07:57広尾駅/広尾08:13→10:36帯広バスターミナル11:12→14:02陸別14:25→15:59北見バスターミナル16:30→17:11美幌駅前バスターミナル17:20→18:06網走駅

なんと、2日目の夜に網走駅に着いてしまいます。タクシーも一切使わず、路線バスだけで乗り継げます。これを「日高ルート」と呼びましょう。

襟裳岬を経由するほうが圧倒的に早いとは、一行は夢にも思わないでしょうから、「日高ルート」を選択する可能性はほぼゼロだったでしょう。いわば想定外のルートですが、意外なところにも「正解」があるものです。

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難易度は?

まとめてみると、今回はゴール可能なルートが意外と豊富でした。そのなかで、一行は、オーソドックスな選択をしたといえます。初日に美唄までしか行けませんでしたが、おそらくはスタッフの想定内だったことでしょう。情報収集をしながら手堅く進んでゴールしましたので、いわば「最適解」を選んだと言って良さそうです。

実際ルートで逆算すると、2日目に名寄に到達していればゴールが可能です。さらに逆算すると、岩見沢を2日目11時20分に出るバスで間に合います。したがって、初日に札幌近辺でうろうろ迷っても、後半の挽回が可能でした。たとえば帯広を目指して千歳あたりまでいったものの、東へ抜けられなくて引き返す、といったことが生じてもゴールできたわけです。

判断に迷うような難しい選択もなく、お題としては平易だったといえます。

10月以降も継続

ハードな徒歩局面の盛り上がりこそありませんでしたが、北海道の雄大な景色と、巧みな演出で、「バス旅」本来の見どころの多い番組でした。

2部構成の3時間という枠で若干冗長感もあったものの、視聴率は好調。「バス旅2019」シリーズで最高を更新し、オリジナルシリーズ末期に近い勢いとなってきました。裏番組に野球と柔道が重なったことも追い風となったようで、19時~20時台で民放3位に躍進しています。

蛭子さんからの「重大発表」にはずっこけた人も多いでしょうが、10月以降、水曜日に放送日が変わって「旅バラ」の継続が発表されました。「バス旅2019」も続きそうです。

引き続き、太川蛭子のバス旅真剣勝負が楽しめるわけで、「バス旅2020」まで続くことを期待したいと思います。(鎌倉淳)

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