JR東海が、品川~名古屋間に建設予定のリニア中央新幹線の詳細なルートや駅の位置を発表しました。品川駅と名古屋駅は東海道新幹線の既存駅と直結。中間の4県に設ける駅のうち3駅は、在来線の駅に近接した場所に設置されることになりました。
環境アセスを送付
JR東海は2013年9月18日、環境影響評価(アセスメント)準備書を沿線7都県と39の市区町村に送付しました。この準備書に駅の位置などが盛り込まれています。準備書をもとに自治体や一般から意見を募り、11月をめどに最終的な評価書をまとめます。開業予定は2027年です。
JR東海はこれまでルートを3キロ幅、駅を直径5キロの大まかな位置で示してきました。詳細な位置を公表したことで、工事実施計画の申請・認可や用地取得などの手続きに着手します。工事は来年度にスタートします。
既存交通との接続を重視
注目の駅の位置については、既存の鉄道駅や高速道路のインターチェンジからの近さが重視されました。品川駅と名古屋駅は東海道新幹線のホーム直下に作ります。品川駅は地下40メートル、名古屋駅は地下30メートルとかなり深いですが、在来線とは3~9分で乗り換えられるとのこと。
神奈川県は横浜線・相模線・京王線の橋本駅に接続します。山梨県は身延線との接続はありませんが、近くを走る中央自動車道にスマートインターを設置して接続するようです。長野県は飯田線の伊那上郷駅と元善光寺駅の間付近にリニア駅が設置され、飯田線の新駅を作る方向で地元と調整しています。岐阜県では中央本線の美乃坂本駅に接続します。美乃坂本駅は、恵那駅と中津川駅の間にあります。中間駅のうち橋本駅は地下、残り3駅は地上駅となります。
車両基地は神奈川県相模原市と岐阜県中津川市の2カ所に設けられます。
総延長286km
全体のルートは直線に近く、品川~名古屋間の総延長は286kmになります。東海道新幹線の同区間より20%の短縮です。全体の86%は地下やトンネル内を走行します。
所要時間は品川~名古屋間が最短40分。現在の東海道新幹線の「のぞみ」では1時間30分ほどかかりますので、その半分以下です。中間駅に停車する場合、1駅停まるごとに8分ずつ所要時間が延びるそうで、各駅停車の場合、70分~80分程度になりそうです。JR東海は運行本数を「1時間あたり5本」を計画しています。東海道新幹線は最大で1時間あたり15本ですので、本数はだいぶ少なくなります。
運賃は、品川~名古屋間で東海道新幹線「のぞみ」の運賃に700円程度上乗せすることが想定されています。大阪まで全面開業した際も、上乗せは全線で1000円程度にとどまる見込みです。全車指定席で、事前にきっぷを買っておかないと乗車できないシステムも検討されており、在来線からは完全に分離した運賃体系になる可能性もあります。
品川~名古屋間の開業予定は2027年。大阪までの全面開業は2045年を目指しています。総工費は約9兆円で、全額JR東海が負担します。