久留里線、廃止時期はいつ? 久留里~上総亀山間、JR「できるだけ早く」と表明

地元も受け入れ表明済み

JR東日本が、久留里線の久留里~上総亀山間の廃止方針を正式に表明しました。実際の廃止時期は未決定ですが、早い時期に廃止される可能性がありそうです。

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地元は廃線受け入れ済み

JR久留里線は木更津~上総亀山間を走るローカル線です。末端部である久留里~上総亀山間9.6kmの利用状況が悪いことから、JR東日本が2023年3月に地元自治体に対して協議を要請していました。

沿線自治体はJRの要請に応じ、沿線地域交通検討会議を設置。2024年10月28日に「自動車中心への交通体系への移行」を提言する報告書を公表しました。地元自治体が、事実上、廃線受け入れを表明した形です。

久留里線上総亀山駅

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JRが廃止方針を正式表明

これを受け、JR東日本は2024年11月27日に、JR久留里線久留里・上総亀山間について、鉄道廃止の方針を正式に表明しました。

「バスなどを中心とした新たな交通体系へのモードチェンジを図ることが必要」とし、バスやタクシーなどへ転換する方針を明確にしました。

つまり、地元自治体とJRが「新たな交通体系への移行」で合意したことになります。したがって、同区間の廃止が事実上決定しました。

災害での被害を受けていない路線としては、JR東日本で初めての廃止区間となります。

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営業係数も輸送密度も低く

久留里~上総亀山間の営業係数(運輸収入100円を得るための経費)は、2023年度で13,580円となっていて、JR東日本で最も悪い数字です。

また、輸送密度は64で、全国のJRで5番目に低くなっています。

現実問題として、久留里~上総亀山間は、沿線住民にほとんど利用されていないことがわかります。そのためか、地元も廃止に強い抵抗を示しませんでした。

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協議が順調に進んだ理由

とはいえ、2023年3月にJRが協議を申し入れ、わずか1年半での決着となったわけで、鉄道の廃止協議としては、きわめてスムーズでした。

その理由として、当該区間の全域が単一自治体(君津市)だったため、自治体間の調整がほとんど必要なかった、という点が挙げられるでしょう。

当事者の君津市としては、「協議に応じる」という形を利用して、地域公共交通の維持のため、JRの協力を仰ぐのに、いい機会と捉えたのかもしれません。

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廃止時期はいつ?

沿線地域交通検討会議の報告書では、新たな交通体系について、「地域の関係者で構成される君津市地域公共交通会議(法定協議会)において」決定する方針を示しています。

法定協議会で、JRが具体的なバスの運行ルートなどを提示し、議論のうえ結論を出すということです。

では、具体的な廃止時期は、いつ頃になるのでしょうか。JR千葉支社長は記者会見で「できるだけ早く」と述べるにとどめていて、具体的な時期については触れていません。

これから法定協議会を控えているので、先走った発言を避けたのでしょう。実際、協議会の決定に、どれほどの時間がかかるかは見通せません。

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2026年春が有力か

ただし、ここまでの議論にはスピード感があります。

さすがに2024年度末(2025年春)の廃止は難しいとみられますが、順調にいけば、24年度のうちに協議がまとまることはありえます。となると、あくまで筆者の予想ですが、2025年度のうちに廃止される可能性は小さくありません。

実際にいつ頃になるかはわかりませんが、1年もあれば、協議が整って、廃止の準備も進むでしょう。

「できるだけ早く」というJRの姿勢と、年度がわりという自治体の都合を考慮すれば、2025年度末(2026年春)ごろが、路線廃止の時期としては有力ではないでしょうか。(鎌倉淳)

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