熊本空港(阿蘇くまもと空港)の新旅客ターミナルが2023年3月23日にオープンします。また、熊本空港アクセス鉄道について、熊本県が、2034年度末を開業目標とするスケジュール案を示しました。
新ターミナルが3月23日オープン
熊本空港の新旅客ターミナルが、2023年3月23日に開業します。
新ターミナルは、熊本城の黒漆・漆喰をイメージした陰影のあるデザイン。石垣や加藤清正の家紋「蛇の目の紋」などをモチーフとしたエントランスなどが特徴です。
注目は、フードコートや食物販エリアなど。20店舗が入り、空港利用者以外も楽しめるスポットになります。もちろん、旅行者にとっても便利になるでしょう。
新しい熊本空港は、2段階に分かれてオープンします。新旅客ターミナルビルは1期開業部分にあたり、2期の広場などは2024年秋頃に開業する予定です。
アクセス鉄道も準備期間へ
一方、2023年3月20日には、熊本県が空港アクセス検討委員会の第6回会合を開催。空港アクセス鉄道建設の今後のスケジュール案を示しました。
熊本県が公表した資料によると、2022年度中に鉄道概略設計事前調査や環境アセスメント、都市計画決定の準備に入ります。2026年度までを「準備期間」とし、同年度末に工事施工認可を得て工事着手にこぎ着けたい構えです。
2027年度から用地取得など、本格的な工事期間に入り、2034年度の開業を目指します。
肥後大津ルートで正式決定
熊本空港アクセス鉄道は、JR豊肥線と熊本空港(阿蘇くまもと空港)を結ぶ鉄道新線計画です。蒲島郁夫熊本県知事が2018年12月の県議会本会議で建設を進めることを表明し、2019年2月にJR九州と基本合意しました。
当初は三里木駅から分離するルートでの検討を進めてきましたが、JR九州が難色を示したのに加え、台湾の半導体企業TSMCが原水駅近くに進出するという環境の変化も重なり、熊本県がルートを再検討。2022年9月に、肥後大津ルートの事業効果が高いという試算結果を明らかにしました。
結果を踏まえ、2023年12月の県議会で蒲島知事が、肥後大津ルートで事業化する方針を正式に表明していました。
補助率変更も目指す
熊本空港アクセス鉄道の肥後大津ルートは、肥後大津~熊本空港間の約6.8kmを結びます。
熊本駅から所要時間は普通列車で約44分、快速で約39分です。1日4900人~5500人の利用を見込みます。
費用便益比は30年で1.03、収支採算性は国と県が3分の1を負担した場合に36年としました。
現行の補助制度(「空港アクセス鉄道等整備事業費補助)では、国の負担は18%ですが、熊本県はこれを3分の1に変更するよう働きかけていく方針で、その前提で収支採算性の基準(40年)を満たすとしています。
この「補助率変更」についての具体的な動きは見えていませんが、「関係機関との協議・調整」を経て実現を図っていくようです。
空港アクセス鉄道が新旅客ターミナルに接着すれば、より便利で使いやすい空港になりそうです。(鎌倉淳)