鉄道混雑率ランキング2020年度版。新型コロナで通勤ラッシュはどう変わったか

ワーストは都営三田線

国土交通省がまとめた、鉄道各社の混雑率が発表されました。新型コロナウイルス感染症の影響で、各路線とも混雑は大幅に緩和しています。3大都市圏について、最新データを見てみましょう。

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最低を記録

国土交通省が、2020年度の東京、大阪、名古屋の3大都市圏の鉄道主要区間における朝のピーク時の混雑率を発表しました。

いずれの都市圏も、前年度と比べ混雑率が大幅に低下。東京圏は前年度比56ポイント減の107%、大阪圏は同23ポイント減の103%、名古屋圏は同28ポイント減の104%で、各地とも調査を始めた1975年度以降で最低を記録しました。

2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、時差出勤や在宅勤務が進んだことで、混雑率が低くなったととみられます。

都営三田線6300系

東京圏の混雑率ランキング

まずは、東京圏の主要区間の混雑率をランキング形式で見てみましょう。

2020年度の混雑率で順位付けし、参考までに2019年度の数字と、対2019年度(前年度)比を記載しています。

東京圏鉄道混雑率ランキング2020年度版
順位 路線名 区間 2019年度
混雑率
(%)
2020年度
混雑率
(%)
対前年度比
1 都営三田線 西巣鴨→巣鴨 161 129 80%
2 東急田園都市線 池尻大橋→渋谷 183 126 69%
3 東急東横線 祐天寺→中目黒 172 123 72%
3 メトロ東西線 木場→門前仲町 199 123 62%
5 小田急小田原線 世田谷代田→下北沢 158 118 75%
5 都営新宿線 西大島→住吉 159 118 74%
5 メトロ千代田線 町屋→西日暮里 179 118 66%
5 JR京浜東北線 川口→赤羽 173 118 68%
9 JR横須賀線 武蔵小杉→西大井 195 117 60%
10 JR中央線快速 中野→新宿 184 116 63%
11 西武新宿線 下落合→高田馬場 164 113 69%
12 京王線 下高井戸→明大前 167 112 67%
13 メトロ半蔵門線 渋谷→ 表参道 169 111 66%
13 JR総武線緩行 錦糸町→両国 194 111 57%
15 メトロ日比谷線 三ノ輪→入谷 158 110 70%
16 西武池袋線 椎名町→池袋 158 109 69%
16 メトロ有楽町線 東池袋→護国寺 165 109 66%
18 JR総武線快速 新小岩→錦糸町 181 105 58%
19 東武伊勢崎線 小菅→北千住 150 104 69%
20 JR東海道線 川崎→品川 193 103 53%
21 メトロ丸ノ内線 新大塚→茗荷谷 159 101 64%
22 都営浅草線 本所吾妻橋→浅草 131 100 76%
23 京王井の頭線 池ノ上→駒場東大前 150 99 66%
24 メトロ銀座線 赤坂見附→溜池山王 160 98 61%
25 京成本線 大神宮下→京成船橋 127 97 76%
26 東武東上線 北池袋→池袋 135 94 70%
27 JR常磐線緩行 亀有→綾瀬 149 93 62%
28 京成押上線 京成曳舟→押上 148 91 61%
28 京急本線 戸部→横浜 143 91 64%
29 JR常磐線快速 松戸→北千住 150 91 61%
31 JR中央線緩行 代々木→千駄ヶ谷 99 60 61%
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都営三田線がワーストに

東京圏で混雑率ワーストを記録したのは都営三田線。メトロ東西線や東急田園都市線といった、居並ぶ混雑路線を押しのけて首位に立ちました。といっても、混雑率は129%で、「広げてラクに新聞を読める」水準(150%)に収まっています。

前年度首位の東京メトロ東西線は、199%が123%にまで減り、3位となりました。武蔵小杉駅の混雑で知られる横須賀線は、195%が117%に減り、2位から9位にまで後退しています。

対前年度比が小さい路線、つまり、混雑が大きく緩和した路線として、対前年度比50%台の線区を挙げると、総武線緩行(57%)、総武線快速(58%)、東海道線(53%)が挙げられます。横須賀線(60%)なども含めて、JR線は総じて混雑が大きく緩和しています。

混雑があまり緩和しなかった路線として、対前年度比80%に達したのは都営三田線のみ。都営三田線が混雑率ワーストに立ったのは、沿線で時差通勤や在宅勤務があまり進まなかったからかもしれません。

混雑率が低かったのは

混雑率が低かったのは、中央線緩行。「代々木→千駄ヶ谷」という山手線内ではあるものの、60%という低い数字になりました。

そのほか、常磐線快速・緩行、京急本線、東武東上線、京成本線・押上線、メトロ銀座線、京王井の頭線が、混雑率90%台で、ラッシュ時の平均で「定員乗車」を達成できたことになります。

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大阪圏の混雑率ランキング

つづいて、大阪圏の主要区間の混雑率をランキング形式で見てみましょう。

大阪圏は、国土交通省が「主要区間」として、継続的に混雑率の統計をとっている区間のほか、そこに含まれないものの「最混雑区間の混雑率」として調査結果を公表している区間も一部掲載しました。

統計上、「主要区間」に含まれていないのは、JR神戸線、JR宝塚線、JR大和路線、JR阪和線緩行です。

大阪圏鉄道混雑率ランキング2020年度版
順位 路線名 区間 2019年度
混雑率
(%)
2020年度
混雑率
(%)
対前年度比
1 JR学研都市線 鴫野→京橋 139 120 86%
2 メトロ御堂筋線 梅田→淀屋橋 148 116 78%
3 近鉄奈良線 河内永和→布施 135 114 84%
3 阪急神戸線 神崎川→十三 149 114 77%
5 近鉄大阪線 俊徳道→布施 134 112 84%
6 阪急宝塚線 三国→十三 146 110 75%
7 JR大阪環状線 鶴橋→玉造 108 109 101%
7 南海本線 粉浜→岸里玉出 136 109 80%
9 JR宝塚線快速 伊丹→尼崎 102 106 108%
10 メトロ谷町線 谷町九丁目 →谷町六丁目 124 103 83%
10 南海高野線 百舌鳥八幡→ 三国ヶ丘 125 103 82%
12 近鉄京都線 向島→桃山御陵前 127 102 80%
13 阪急京都線 上新庄→淡路 119 100 84%
14 近鉄南大阪線 北田辺→河堀口 127 99 78%
15 JR京都線快速 茨木→新大阪 98 98 100%
16 JR神戸線快速 尼崎→大阪 99 97 97%
16 京阪本線 野江→京橋 122 97 80%
18 JR阪和線緩行 茨木→新大阪 103 95 92%
19 JR大和路線緩行 東部市場前→天王寺 106 94 92%
20 JR神戸線緩行 塚本→大阪 108 90 83%
21 阪神本線 出屋敷→尼崎 111 88 79%
22 JR阪和線快速 堺市→天王寺 106 87 82%
23 JR京都線緩行 茨木→新大阪 105 85 81%
24 JR大和路線快速 久宝寺→天王寺 94 84 89%
25 メトロ堺筋線 日本橋→長堀橋 104 83 80%
26 メトロ四つ橋 難波→四ツ橋 113 82 73%
27 JR宝塚線緩行 塚口→尼崎 74 78 105%
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対前年度比100%超の路線も

大阪圏のデータで目を引くのは、混雑率が前年度より高くなっている路線があることです。いずれもJR西日本の各線で、たとえばJR宝塚線快速は、2019年度の混雑率が102だったのに、2020年度は106に増えています。

JR宝塚線が、新型コロナ禍で旅客を増やしているわけではありません。じつは、調査時間帯の変更があり、同区間はこれまで7時30分~8時30分の調査だったのが、7時10分~8時10分に変更になっているため、その影響とみられます。

調査は「最混雑時間帯」に実施されるのですが、その時間帯を見直したわけです。対前年度比100%超の大阪環状線やJR京都線も同じように最混雑時間帯を見直しています。新型コロナの影響かは不明ですが、最混雑時間帯が以前より早まっているのでしょう。

在宅勤務が進んでいない?

大阪圏は、対前年度比80%前後の混雑率になっている路線が多く、東京圏より10ポイント程度高い様子です。つまり、東京圏よりは、関西圏のほうが、新型コロナによる時差通勤や在宅勤務が進んでいない、ということを示唆しています。

大阪圏での混雑率トップはJR学研都市線です。対前年度比86%で、新型コロナにもかかわらず、混雑率の緩和はわずかでした。同線の調査時間帯は変わっていないので、沿線で時差通勤や在宅勤務があまり進まなかったのでしょうか。

前年度のトップ2だった阪急神戸線、宝塚線は、3位以下に下がりました。両線とも対前年度比70%台で、大阪圏では低い方です。阪急神戸線や宝塚線の沿線では時差通勤や在宅勤務が進んだ、ということでしょう。

関連記事

名古屋圏の混雑率ランキング

最後に、名古屋圏の主要区間の混雑率をランキング形式で見てみましょう。

名古屋圏鉄道混雑率ランキング2020年度版
順位 路線名 区間 2019年度
混雑率
(%)
2020年度
混雑率
(%)
対前年度比
1 地下鉄名城・名港線 金山→東別院 135 120 89%
2 名鉄本線 栄生→名鉄名古屋 147 109 74%
2 JR中央線 新守山→大曽根 120 109 91%
3 名鉄本線 神宮前→金山 149 108 72%
4 地下鉄東山線 名古屋→伏見 141 104 74%
5 近鉄名古屋線 米野→名古屋 137 100 73%
6 地下鉄鶴舞線 塩釜口→八事 116 92 79%
7 JR東海道線 枇杷島→名古屋 100 85 85%


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名鉄がワーストを譲り渡す

名古屋圏の2019年度は名鉄本線の2区間が140%台の混雑率でしたが、2020年度は100%台に低下。ワーストを地下鉄名城・名港線120%に譲り渡しました。

対前年度比では、名鉄本線と近鉄名古屋線、地下鉄東山線が72~74%と低く、新型コロナでラッシュ時の旅客の減少が大きいことを示しています。

JR中央線や、ワーストになった地下鉄名城・名港線は対前年度比90%程度で、混雑の減少率は小さくなっています。

深刻な混雑は解消

全体をまとめると、新型コロナ感染症の影響で、朝ラッシュ時の深刻な混雑は全国的に解消されたといっていいでしょう。上記主要区間で混雑率130%を越えた路線はひとつもなく、120%台も東京圏4路線、大阪圏、名古屋圏が各1路線のみです。

もちろんこれは一時的な状況で、新型コロナ感染症の収束後にリバウンドが起こるのは間違いありません。というよりも、最近の混雑をみると、ラッシュ時の旅客はかなり戻っていることが察せられます。

新型コロナの最終的な収束後、混雑がどの程度まで復活するのか。今後の設備投資にも大きく影響するだけに、鉄道各社とも慎重に見守る状況が続きそうです。(鎌倉淳)

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