小湊鐵道の「あり方」調査。上総牛久以南の廃止検討も

補正予算で調査費を計上

市原市が小湊鐵道のあり方について検討を開始します。調査費を計上した補正予算を可決しました。

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調査費2674万円

市原市は、2023年4月28日開催の臨時議会で、小湊鐵道に対する経営支援に向けた調査費を計上した一般会計補正予算案を可決しました。

補正予算では、「地域公共交通網形成計画推進事業費」として2674万円を計上。政府の改正地域公共交通活性化再生法(以下、公共交通再生法)が4月21日に成立したことを受け、「国の新たな支援策の展開を踏まえ、小湊鐵道線の今後のあり方について検討する」としています。

小湊鐵道

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小湊鐵道が支援要請

これに先だって、小湊鐵道は4月20日に市原市に支援を要請しました。

NHK4月28日放送によりますと、要請文では「線路やトンネルなどの設備、それに車両の維持や補修にかかる安全運行のための費用に今後10年間でおよそ60億円が必要」と、近い将来に巨額の設備更新費用がかかることを説明しました。

そのうえで、「今後の沿線人口減の傾向等もふまえると、鉄道事業部門の経営状況が今後も厳しいことが予想され、特に乗降人口が少ない上総牛久駅以南については、こうした安全投資を考えると、廃線も含めた検討が必要と考えています」と訴えたそうです。

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鉄道再構築へ向けて

整理すると、小湊鐵道は、近い将来に60億円の設備更新費用が必要と訴え、市原市は改正公共交通再生法に基づいて、国からの支援を引き出せないか調査をする、ということです。

日刊建設タイムズ4月27日付によりますと、調査は、「小湊鐵道線が廃止された場合の代替施策に要する費用と、小湊鐵道線の運行に対して市が負担している費用の比較による多面的な効果(クロスセクター効果)を明らかにするほか、今後の設備改修に係る費用を積算」するそうです。

クロスセクター効果の調査については、公共交通再生法の改正を検討した国交省の有識者会議で提言されていた手法です。

公共交通再生法では、再構築協議会での議論を経て「再構築方針」を作成した場合、設備更新に対して国が補助をする仕組みです。

つまり、市原市としては、同法施行を背景に、国の求める内容で調査をおこない、国の補助金を獲得し、小湊鐵道の設備更新を支援する姿勢であることが察せられます。

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上総牛久以南の廃線は?

気がかりなのは、小湊鐵道が要請文で「上総牛久駅以南の廃線」について触れていたことです。

鉄道統計年報によれば、小湊鐵道(全線)の2020年度の輸送密度は745。コロナ前の2018年度で1,082です。

小湊鐵道は、起点の五井付近が都市近郊で多くの利用者がいますが、上総牛久以南は山間部の閑散線区です。全線の輸送密度が1,000前後ならば、上総牛久以南は500を下回るとみられ、大量輸送という「鉄道特性」を発揮できていない可能性があります。

となると、再構築の議論のなかで、上総牛久以南のバス転換が浮上しても不思議ではなさそうです。

市原市の調査は2023年度中に終わる予定です。その結論を基に、来年のいまごろから、「小湊鐵道のあり方」をめぐる議論が本格化しそうです。(鎌倉淳)

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