ケニアの首都ナイロビと、南東部の港湾都市モンバサ間を結ぶ鉄道新線が開業しました。建設資金の9割を中国が出資した事業です。今後、ケニアを中心とした周辺諸国への鉄道網整備も計画されており、実現すれば壮大な「東アフリカ鉄道」が誕生します。
表定速度100km/h超
この鉄道は、インド洋の港湾都市でモンバサから、首都ナイロビを経て、ウガンダとの国境に面するケニア西部の都市マラバを結ぶ840kmの鉄道路線の一部です。2017年5月31日に、ナイロビ~モンバサ間の約480kmが開業しました。
ナイロビ~モンバサ間には、イギリス植民地時代に建設された鉄道がありますが、すでに老朽化。英BBCによると、今回の鉄道開業により、これまで鉄道で12時間、バスで9時間かかっていた区間が約4時間半で結ばれます。表定速度は100km/hあまりですから高速鉄道ではありませんが、在来線としては高速の路線です。
これまでのナイロビ・モンバサ鉄道が「Lunatic Express」と呼ばれていたのに対し、新路線は、「Madaraka Express」(マダラカ・エクスプレス)と名付けられました。
中国が出資から建設、運行まで
この鉄道路線は、ケニアが1963年に独立して以来、最大規模のインフラ事業だそうです。中国国営新華社通信によりますと、建設資金の9割を中国が出資し、わずか3年半の工事で完成しました。鉄道運行も5年間は中国人が担当するそうです。
今回の鉄道建設は、中国の一帯一路構想のひとつ。最終的には、南スーダン、コンゴ民主共和国東部、ルワンダ、ブルンジ、エチオピアから、インド洋を結ぶという壮大な計画があるそうです。最近になって、ビクトリア湖岸の都市キスムまでの建設資金を中国から追加で確保しました。
下記は、英BBCのウェブサイトに掲載されていた「東アフリカ鉄道」の路線計画です。
東アフリカ旅行がラクに?
本当にこんな大鉄道網が実現するのかは、いまのところわかりません。ただ、中国が本土に張り巡らせた高速鉄道網の建設スピードを見ると、あながち夢物語ではないのかも、と思ってしまいます。とにかく「量」を作ることに関しては、中国の能力には脱帽せざるを得ないからです。
これだけの鉄道網が完成すれば、東アフリカ旅行に大きな変化をもたらすかもしれません。旅行者、とくにバックパッカーの視点で見ると、「苦難のバス旅」がデフォだったアフリカ陸路の旅が、劇的にラクになりそう、と期待してしまいます。
映像をみると、車両も中国製のようで、2×3シートの普通車には中国クオリティが漂います。この車両で旅したら、アフリカなのに中国を旅している感覚に陥りそうなことが、心配と言えば心配かも。
今回の開業区間のチケット価格は普通車が約9ドル、ビジネスクラスが約30ドルとのことです。ケニアの物価水準を考えると、480kmの運賃としては高くはないようです。(鎌倉淳)