京王線の笹塚~仙川駅間の連続立体交差化事業で整備される7駅の駅舎外観デザインが決定しました。立体化で明大前、千歳烏山の両駅は2面4線となり、ダイヤも大きく変わりそうです。
京王線連続立体化事業とは
京王線の連続立体化事業は、笹塚駅付近から仙川駅付近までの約7.2kmを高架化し、25カ所の踏切を廃止するものです。工区は8つに分かれていて、2018年度中に4工区が着工、残りも2019年度には着工し、2022年度の事業完了を目指します。
立体化で高架化される駅が、代田橋、明大前、下高井戸、桜上水、上北沢、芦花公園、千歳烏山の7駅で、いずれも世田谷区です。八幡山駅はすでに高架駅となっています。
7駅のうち、明大前、桜上水、千歳烏山の3駅が2面4線となります。下高井戸、芦花公園の2駅は対向式ホームの2面2線。代田橋駅と上北沢駅は島式の1面2線です。
各駅舎の外観デザインも決定し、各駅の工事の手順なども公表されています。順に見ていきましょう。
代田橋駅
代田橋駅は、現在駅のほぼ上に高架駅を構築します。そのため、いったん北側に仮線と島式の仮ホームをつくり、一時的に駅を移します。その後、下り線、上り線の順番で高架駅化します。
駅舎は、レンガ調や透明感のある素材を組み合わせ、近隣の歴史的な建築物や玉川上水の流れを感じさせるデザインとしました。
代田橋駅西側で線路と平行する井の頭通りは拡幅し、交差する踏切は解消します。
明大前駅
明大前駅は現在の2面2線を2面4線とします。まず、現駅舎の南側に高架の下り線を構築。現下り線を使って高架の上り線を作ります。上下線が移設した後、現在の線路用地を使って高架駅を拡大し、2面4線の新駅が完成します。
駅舎デザインは、透明感のある素材をリズミカルに組み合わせることで、街の賑やかさと移り変わりが間近に感じられる形としています。
下高井戸駅
下高井戸駅は現在のホーム上に高架駅を建設します。上下線の高架橋を構築、下り線、上り線の順に高架に切り替えていきます。
高架化後の世田谷線との乗り換えがどうなるかが気になりますが、現段階では工事手順や竣工後の詳細は公表されていません。世田谷線駅は高架下に接する形になりそうなので、現在よりも乗り換えが便利になるでしょう。
駅舎は、温かな色彩の大庇を街へ向けて広げ、賑わいのある商店街との繋がりを表現したデザインとしました。
桜上水駅
桜上水駅は、2面4線のホームに車庫線も備える広い駅です。高架化では、線路南側にある道路のさらに南側に、鉄道付属街路を整備。現況道路の位置に下り線高架橋を構築し、下り線を先に高架に切り替えます。一時的に、下り線の待避設備はなくなるようです。
その後、下り線と上り線を高架に移設。このときは、上り線が一時的に待避設備がなくなるようです。最終的に、上り外側線と車庫線の高架橋を構築し、車庫線を高架に切り替えます。
駅舎は、木質調など自然と調和する質感や柔らかな配色とし、静かな住宅街と共存するデザインとしました。
上北沢駅
上北沢駅は、1面2線の島式ホームを備える駅です。高架化にあたっては、現況道路の南側に鉄道付属街路を整備。
現況道路の位置に下り線部分の高架橋を構築し、下り線を高架に切り替えます。その後、上り線を高架に切り替えて、高架化します。線路北側には鉄道付属街路を整備します。
駅舎は、落ち着いた色合いと透明感のある素材を組み合わせ、地元のシンボルである桜並木が映えるデザインとしました。
芦花公園駅
芦花公園駅は、現在は2面2線の対向式ホームです。高架化にあたり、現駅よりやや南側に駅を移設します。現在は橋上駅ですので、高架化にあたり撤去します。それに先立ち下り線と上り線のそれぞれに仮駅舎を建設。地下通路で南北を結びます。
仮駅舎完成後、高架駅舎を撤去し、現駅南側に高架線を構築。下り線を先に移設します。その後、現下り線に高架上り線を構築し、上り線を移設します。
駅舎のデザインは、木質調の縦格子を連ねることで書架を表現し、文学にゆかりのある街を感じさせるデザインとしました。
千歳烏山駅
千歳烏山駅は、現在は対向式2面2線です。高架化にあたり、2面4線に拡張します。まずは、駅南側にある道路をさらに南側の鉄道付属街路に移設。現況道路に下り線の高架橋を構築し、下り線を高架に切り替えます。
その後、上り線の高架橋を構築し、上り線を高架に切り替えます。最後に、現在の上り線位置まで高架を拡大し、4線化します。
駅舎は、温かみのある配色と開放感のある粗目の格子により街との一体感を演出し、賑わいのある街に溶け込むデザインとしました。
京王線の笹塚~仙川間の高架化事業は、2022年度に完成予定です。新駅のデザインも各駅によって個性があり、町の雰囲気も大きく変わるかもしれません。(鎌倉淳)