京急品川駅の改造計画まとめ。地上ホームから八ツ山橋踏切を高架線で乗り越えられるのか?

京浜急行電鉄品川駅の改良計画の概要がわかってきました。ホームを地上化し、2面4線に増やします。品川駅以南は高架化し八ツ山橋踏切を解消。駅ビルも建設するとのことです。2014年8月16日付け日本経済新聞が詳しく報じました。

京浜急行品川駅大改造の計画はすでに各メディアで報じられていて、日経記事に新たなポイントは少ないですが、これを機会に新たな京急品川駅の改造計画の全容をまとめてみましょう。

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新ホームは地上で2面4線に

まず、京急品川駅の線路を1階部分に移し、駅ホームは2面3線を2面4線に増やします。同時に駅ビルを建設し、商業施設を設けます。この商業施設は、現在の京急品川駅舎付近に建てられます。現在の品川駅以南の京急高架線は第一京浜の拡幅に利用されます。

京浜急行の線路は現在より東に移動します。現在の山手留置線が利用されます。品川駅以南の線路は新馬場駅周辺までを高架化し、八ツ山橋踏切と線路の急カーブを解消します。これにより、横浜・羽田空港方面への運行時間を短縮できます。日経によりますと、工事完了は2020年以降になる見通しで、総投資額は数千億円規模になるとのことです。

この改造計画の最大の疑問点は、品川駅を地上化して高架線で八ツ山橋踏切を越えることができるのか、という点でしょう。当初、筆者はこの区間を地下化すると考えていましたので、高架化はやや意外でした。高架化する場合、品川駅を出て一気に高架線に駈け上がらなければなりません。実現させるなら、相当な急勾配になりそうですが、これについては、ケンプラッツが都とJRに取材しており、都は「技術的には可能」と回答したとのことです。

品川駅改造
「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2014(案)」より

計算で勾配を求めてみると

昔懐かしい直角三角形の底辺と高さから傾斜角を求めてみましょう。仮にホームから高架線までの高度差を15メートルとし、平均勾配を35パーミル程度に抑えるとすると、必要な地上距離は単純計算で400メートルほどです。現在の京急品川駅ホーム南端から八ツ山橋の距離を地図上で測ると300メートルほどしかありませんので、この計算ではもう少し北にホームを設けないと無理です。

では、距離300メートルで高さ15メートルを駈け上がるにはどのくらいの勾配が必要でしょうか。計算してみると、平均50パーミルです。最急勾配が50パーミルではなく、平均勾配が50パーミルです。

つまり、現ホームの位置あたりに新ホームを作り、平均50パーミルの勾配の高架橋を作れば可能、ということになります。最急勾配は60パーミルを超えるでしょうが、現在の鉄道車両の性能からすれば不可能という数字ではありません。ただ、高架橋の高さは15メートルも要らないかもしれません。高架橋を低くすれば、そのぶん勾配を緩めることはできます。そもそも、当事者が可能と言っているのですから、可能なのでしょう。

JRとの並列ホームか

ところで、筆者は、京急新ホームは山手留置線の位置に建設されると考えていました。2面4線ホームの面積を確保するには、そこしかないとの予測からです。しかし、山手留置線跡に作ると、高架橋への傾斜が間に合いません。新馬場までを高架でつなぐことが既定ならば、京急品川駅新ホームは、南北方向でJR線とほぼ同じ位置になることが決まっているとみられます。つまり、京急とJRが並列ホームになるということです。

現在の品川駅を見る限り、JRと並列で12両編成分の2面4線ホームを新設するスペースはありません。スペースをひねり出すには、現山手線ホームのスペースを京浜急行に提供するしかなさそうです。それでも2面4線を作るには足らない気がしますが、最初に1面2線を造り、現駅舎を取り壊した後にもう1面を足すという手順なのかもしれません。

 京急電鉄のひみつ

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