京阪電鉄はどう変わるか。中之島線延伸、プレミアムサービス拡大

インバウンドの強化狙う

京阪ホールディングスが、2026年度までの長期経営戦略を発表しました。京阪電鉄をはじめとする同グループが、今後8年でどう変わるか。利用者に身近な運輸部門を中心に、詳しく見ていきましょう。

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インバウンドを意識

京阪ホールディングスが発表したのは、2026年までの「長期経営戦略」と、2020年までの「中期経営計画」です。長期経営戦略で主にビジョンを語り、中期経営計画で具体策を明らかにしています。

長期経営戦略で掲げた新経営ビジョンは「美しい京阪沿線、世界とつながる京阪グループへ」。「世界」というのがキーワードで、経営戦略にはインバウンドを意識した内容が並びます。

それに付随する中期経営計画では「くらし・まち・ときめき創造」をキャッチフレーズとしました。沿線の魅力を高めたいということで、こちらはわりと平凡です。

京阪電鉄2026長期戦略
画像:京阪グループ長期戦略構想より

中之島線延伸を明記

長期経営戦略で強く打ち出したのが、「大阪東西軸復権」。淀屋橋、京橋、中之島の開発をすすめ、さらに夢洲を目指すという東西軸です。

大阪東西軸復権
画像:京阪グループ長期戦略構想

この戦略には中之島線延伸も含まれ、京阪ホールディングスの加藤好文社長は記者会見で、中之島線について、大阪メトロ中央線九条駅を経由してJR大阪環状線の西九条駅まで延ばすことを検討することを明らかにしました。

もうひとつ、長期経営戦略で打ち出したのが「えきから始まるまちづくり」。駅を中心とした再開発をすすめ、特に枚方駅周辺に力点を置きます。駅直結の社有地の再開発を、2018年度に予定される都市計画決定にあわせて本格始動させます。

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洛北~宇治のゴールデンルート化

観光面では「京都駅前・四条河原町・三条の3拠点の開発」を打ち出しました。京都駅前にホテル「THE THOUSAND KYOTO」を開業、四条河原町では複合商業施設を出店。また、三条駅前に、観光・商業・交通機能を集約し、東山観光の拠点として開発します。

さらに「京都観光のゴールデンルートを確立」を打ち出し、洛北~東山~伏見~宇治を結ぶ線についてゴールデンルート化することを目指します。上記の三条駅拠点整備のほか、出町柳、中書島の再整備を目指すとのことです。

京都新ゴールデンルート
画像:京阪グループ長期戦略構想

また、琵琶湖から淀川へ経て大阪湾に至る「水の路」を整備します。淀川の舟運活性化、琵琶湖疏水通船の本格運行などを推進します。

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プレミアムサービスの拡大

中期経営計画では、もう少し具体的な施策が示されています。鉄道事業では、インバウンドの強化を目指し、2017年度に11億円だったインバウンド収入を、2020年度に20億円にすることを目指します。

その一環として、京阪特急のプレミアムサービスも利用が好調なことから拡大します。具体的内容は不明ですが、プレミアムカーの連結編成を増やすのかもしれません。このほか、鉄道需要創造につながる「新たなサービス」の導入も検討します。

京阪プレミアムカー
画像:京阪電鉄ウェブサイト

新型ATSを京阪線全線で導入完了し、京橋駅ホームドア整備に着手。叡山電鉄貴船口駅の改修もおこないます。

バス事業では、京都市内で乗降自由な巡回観光バスを運行したり、京都・大阪と各地を結ぶ中距離バス事業を強化します。

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中之島線延伸が心配

おおざっぱにまとめてみると、インバウンドを意識しながら大阪、京都、枚方の開発に重点を置く、というのが、京阪の戦略です。沿線人口が減るなか、駅の利便性や価値を高め、訪日客など幅広い需要を取り込んでいこうという意気込みが伝わります。

ただ、具体策が豊富とはいえず、鉄道・バス利用者目線で近い将来に変化がありそうなのは、拠点駅の整備と、プレミアムカーの充実くらいでしょうか。

「京都の新ゴールデンルート」については、観光客向けの新たな列車の設定や、割引きっぷの販売、バスの新路線などがあるなら注目ですが、何が行われるのかほとんど記されていないので何ともいえません。

少し心配なのが、中之島線の延伸です。どうやら本気のようですが、あれだけ利用者の少ない路線を西九条まで延ばして、傷口を広げなければいいのですが。(鎌倉淳)

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