京阪中之島線の九条延伸の判断が先送りされることになりました。2023年度中に判断する予定でしたが、IRの開業が見通せないためです。
京都~IR間のアクセス改善
京阪中之島線は、天満橋~中之島間3kmを結ぶ路線で、終点の中之島から九条までの約2kmを延伸する計画があります。
九条には大阪メトロ中央線の駅があり、中央線は2025年に夢洲まで延伸する予定です。
夢洲では2025年に万博が開かれた後、統合型リゾート(IR)が開業する予定です。中之島線が九条まで延伸すれば、1度の乗り換えで京都とIRが結ばれます。
これにより、京都~IR間のアクセスを改善しようというのが延伸の目的です。
2023年度に判断予定だったが
夢洲IRの開業は2030年が予定されています。IR開業にあわせて延伸区間を開業するには、建設期間を考慮して2023年度中に事業化の可否を判断しなければなりません。
そのため、京阪ホールディングスでは、2023年7月に検討委員会を立ち上げて延伸の調査を進めてきました。
しかし、結局、京阪は2023年度中に事業化の可否を発表しませんでした。新年度入りした後、中之島線延伸の判断を先送りすることを公表。これにより、九条延伸が2030年に開業することは困難になりました。
解除権行使のリスク
京阪は判断先送りの理由として、IRが開業されないリスクを挙げています。
大阪市とIR事業者が締結した実施協定では、2026年9月まで、事業者が違約金なしで撤退できる権利が盛り込まれています。この解除権が行使された場合、IRが開業されないことになり、中之島線は延伸の目的を失います。
そのため、京阪としては、解除権行使の期間が過ぎるか、IR事業の確実な実施が見通せるようになるまで、延伸判断を保留するようです。
京阪も株主だが
IR事業を実施する「大阪IR株式会社」は、日本MGMリゾーツとオリックスの2社が主要株主ですが、少数株主20社のうちの1社として、京阪ホールディングスも名を連ねています。ついでに書くと、鉄道会社ではJR西日本、近鉄、南海も少数株主です。
つまり、京阪はIR事業の主体とまではいえないまでも、無関係の立場でもありません。その立場で、解除権行使の懸念から延伸を先送りしたわけですから、IRが本当に開業しない可能性もある、ということでしょう。であるならば、今回の判断は妥当というほかありません。
利用者がどれだけいるのか
京阪では、IRを訪れる観光客の多くが京都も訪れると見込んで、中之島線をIR=京都間のアクセスに活用しようとしています。
閑古鳥が泣く中之島線をよみがえらせようという試みですが、そもそも、IRが開業し、その訪問客の多くが京都を訪れると仮定しても、九条駅乗り換えで京阪線を利用する人がどれだけいるのか、という疑問もあります。
「延伸の可否判断」には、当然、その点も含まれているのでしょう。京阪中之島線延伸が本当に実現するのか、結論が示されるのはもう少し先になりそうです。