JR桜島線、夢洲延伸計画の記載なし。JR西日本「長期ビジョン」、IR正式決定でも

現状では白紙?

JR西日本が新たな長期ビジョンと中期経営計画を発表しました。大阪・夢洲でのIR整備が決定しましたが、桜島線延伸に関する記載はありませんでした。

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新中期経営計画を発表

JR西日本は、2023年4月28日に「JR西日本グループ長期ビジョン2032・中期経営計画2025」を発表しました。鉄道事業を活性化する一方、不動産など非鉄道事業の展開に重点を置くことなどがおもな内容です。

注目点が、大阪・夢洲での整備が正式に決まったIR(統合型リゾート)へのスタンスです。

2014年に、IR立地準備会議が、夢洲への鉄道アクセスについてJR桜島線の延伸を候補に挙げた際は、JR西日本も、IRが正式決定すれば延伸を検討する姿勢を示していました。

実際、2018年に公表された「JR西日本グループ中期経営計画2022」では、「夢洲アクセスへの検討」がなにわ筋線と同格で記載されています(下図)。

「JR西日本グループ中期経営計画2022」
画像:「JR西日本グループ中期経営計画2022」より

しかし、新型コロナ禍を経て、JR西日本の経営状況は大きく変わりました。一方、政府は、大阪・夢洲でのIRを4月14日に正式決定しました。

このタイミングで公表された新たな長期ビジョンと中期経営計画に、桜島線延伸がどう位置づけられるかは、一つの注目点でした。

桜島線323系

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「万博アクセス輸送」にとどまる

結論を書いてしまうと、新たな長期ビジョン・中期経営計画で、桜島~夢洲間は「万博アクセス輸送」と位置づけられるにとどまりました。IR正式決定を受けた記述はありません。

「JR西日本グループ中期経営計画2025」
画像:「JR西日本グループ長期ビジョン2032・中期経営計画2025」より

「JR西日本グループ長期ビジョン2032・中期経営計画2025」
画像:「JR西日本グループ長期ビジョン2032・中期経営計画2025」より

上図の「万博アクセス輸送」の記述が「万博・IRアクセス輸送」ならば、また違った推測もできるのですが、この記述を見る限り、IR輸送について、JR西日本として白紙と受け止めるほかありません。

2018年中期経営計画では、「夢洲アクセス」は、なにわ筋線と同格の記載でしたが、新中期経営計画では「万博アクセス」とされ、異なる方向性の扱いになっている点も気になります。

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未来年表にIR記載があるが

新中期経営計画でIRについて書かれているのは1箇所のみ。「観光資源が豊富な西日本各地への広域誘客」の項目で、未来年表に「IR大阪整備計画」と記されています。しかし、そこに桜島線の名前はでてきません。

「JR西日本グループ長期ビジョン2032・中期経営計画2025」
画像:「JR西日本グループ長期ビジョン2032・中期経営計画2025」より

一方、産経新聞4月14日付によると、JR西日本の長谷川一明社長は、桜島線延伸について、「一層の人流増を生み出す夢洲での街づくりや、工事に対する公共投資も必要」との立場を示しているとのこと。夢洲の開発がうまくいき、利用者が期待できるのであれば延伸を検討する、というわけです。

結局のところ、IR整備が決まっただけの現状では、桜島線の延伸を検討する段階にはない、ということのようです。(鎌倉淳)

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