「サンダーバード」敦賀分断でも利用者大幅増。JR特急利用者数ランキング2025年新春版

房総特急には減車の影響

JR各社が2024-2025年末年始の特急列車の利用状況を発表しました。今年は曜日並びが良く、大きな災害にも見舞われなかったことから、各路線ともおおむね堅調でした。

JR在来線特急の利用者数の詳細をランキング形式で見ていきましょう。一部快速列車も掲載しました。

広告

年末年始の利用状況

JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表します。このうち「2024-2025年末年始の利用状況」が発表されましたので、各社の情報をまとめて、「年末年始の在来線特急利用者数」をランキングにしてみました。

2024年12月27日~2025年1月5日の10日間の統計です。

サンダーバード683系

広告

在来線特急利用者数ランキング2025年新春版

※配信先で表が崩れる場合は、こちらをご覧ください。

順位 路線名 区間 利用者数(万人) 対前年度比
1 あずさ、かいじ、富士回遊 八王子~相模湖 32.6 113%
2 ひたち、ときわ 我孫子~土浦 26.2 109%
3 サンダーバード 京都~敦賀 22.9 115%
4 リレーかもめ、みどり 鳥栖~江北 20.7 109%
5 成田エクスプレス 千葉~成田空港 15.5 111%
6 マリンライナー 児島~宇多津 15.4 108%
7 ソニック 小倉~行橋 14.9 107%
8 はるか 日根野~関西空港 12.1 121%
9 しおかぜ、南風 岡山~児島 11.5 110%
10 カムイ、ライラック、オホーツク、宗谷 札幌~岩見沢 10.9 120%
11 踊り子、湘南 横浜~熱海 10.3 112%
12 北斗、すずらん 東室蘭~苫小牧 8.4 106%
13 しおかぜ 児島~宇多津 7.8 112%
14 しなの 名古屋~多治見 7.7 116%
15 しおかぜ、いしづち 多度津~伊予三島 7.5 113%
16 ひだ 美濃太田~下呂 6.0 124%
17 くろしお 和歌山~箕島 5.8 109%
18 きのさき、まいづるなど 二条~亀岡 5.4 113%
19 やくも 岡山~新見 5.4 117%
20 しらさぎ 米原~敦賀 5.3 66%
21 南風 児島~宇多津 4.3 113%
22 おおぞら、とかち 南千歳~トマム 4.2 102%
23 わかしお、さざなみ 東京~蘇我 3.8 86%
24 南風、しまんと 多度津~阿波池田 3.8 116%
25 こうのとり 大阪~三田 3.7 118%
26 いなほ 新潟~村上 3.7 123%
27 スーパーはくと 姫路~上郡 2.8 109%
28 スーパーはくと 智頭~鳥取 2.6 111%
29 宇和海 松山~宇和島 2.2 98%
30 草津・四万 高崎~渋川 2.2 119%
31 しらさぎ 名古屋~大垣 2.0 81%
32 うずしお 高松~徳島 1.6 99%
33 南紀 松阪~紀伊長島 1.0 103%
34 ふじかわ 富士~富士宮 1.0 110%
35 しまんと、あしずり 高知~窪川 1.0 100%
36 ふじさん 御殿場~山北 0.9 108%
37 しらゆき 直江津~長岡 0.8 127%
38 スーパーいなば 智頭~鳥取 0.8 108%
39 スーパーおき 新山口~益田 0.7 111%
40 サンライズ出雲・瀬戸 静岡~浜松 0.6 99%
41 いなほ 酒田~秋田 0.6 128%
42 つがる 弘前~青森 0.3 51%
43 うずしお 児島~宇多津 0.3 120%
44 リゾートしらかみ 秋田~青森 0.2 74%
45 伊那路 豊川~本長篠 0.2 113%

※マリンライナー、リゾートしらかみは快速列車。
※記載以外の同一路線の列車が統計に含まれていることがあります。

上記のランキングは、JR各社から広報発表された数字をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。列車によっては複数区間でランキングに入っています。

広告

中央線特急がぶっちぎり

今回の年末年始期間の調査対象日は12月27日(金)~1月5日(日)の10日間。曜日並びが良く、9連休で休める人が多かったからか、JR各線とも帰省客で賑わいました。多くの列車が、対前年度比で10%程度の利用者増を記録しています。

全列車でトップとなったのが、中央線特急「あずさ、かいじ、富士回遊」です。32.6万人は他を寄せ付けないぶっちぎりで、対前年度比113%と伸び率も高いです。年末年始の予約可能席数は39万席で、前年度比99%と微減だったので、それを乗り越えて利用者が増えたということは、全体的に利用率がきわめて高かったのでしょう。

広告

「敦賀分断」でも利用者大幅増

3位の北陸線特急「サンダーバード」も、対前年度比115%と高い伸びでした。2024年3月に北陸新幹線金沢~敦賀間が開業し、関西~北陸間の旅行では敦賀乗り換えが必須となりました。そのため、利用動向が気になりましたが、好調といっていいでしょう。

「サンダーバード」は、お盆の利用状況も堅調でしたので、「敦賀分断」でもピーク時の利用者を増やしている格好です。ただし、年末年始については、前年は能登地震の影響で1月の利用が伸び悩んだという事情があり、今年はその反動増が含まれていることを考慮する必要があります。

いっぽう、同じ北陸線特急でも、名古屋発着の「しらさぎ」は、米原~敦賀間で対前年度比66%と振るいませんでした。首都圏から福井県への旅行者が、北陸新幹線経由に移ったことが大きな要因とみられます。

広告

空港特急も絶好調

インバウンドの増加を受けて、空港特急も好調でした。関空特急「はるか」は、対前年度比121%の12.1万人と絶好調です。

「成田エクスプレス」も同108%の15.4万人と好調でした。「成田エクスプレス」は、「ソニック」をしのぎ、在来線特急としてトップ5入りを果たしています。

広告

道内特急は路線による差

函館線特急「カムイ」「ライラック」も好調で、対前年度比120%の10.9万人を記録しました。

北海道の特急では室蘭線特急「北斗、すずらん」が106%、石勝・根室線特急「おおぞら、とかち」が102%となっていて、函館線特急の数字が高くなっています。

JR北海道では、2024年3月のダイヤ改正で、室蘭線と石勝・根室線特急を全車指定席化しました。

全車指定席化した列車は、供給座席以上の伸び率を期待できないいっぽう、自由席が残された函館線特急では、高い伸び率を記録したようにも受けとめられます。

ただ、室蘭線特急「北斗、すずらん」の前年度は、航空機事故による羽田空港閉鎖の影響で利用者が多かったので、今年はその反動を乗り越えて利用者を増やしています。

また、石勝・根室線特急に関しては、道東道の阿寒IC~釧路西ICが12月に開通し、利用者の一部が自家用車利用に移った可能性もありそうです。

広告

房総特急に減車の影響

大幅な利用者減となったのが、奥羽線特急「つがる」で、対前年度比51%と落ち込みました。12月28日からの大雪の影響で、奥羽線・五能線で運休が発生したのが理由です。「リゾートしらかみ」も、同74%にとどまっています。

房総特急の「わかしお、さざなみ」も、同86%と落ち込みました。房総特急では、2024年3月のダイヤ改正で、全車指定席化を実施したほか、車両更新にともなう減車を実施しています。したがって、今回の数字も、利用者減というより供給座席減少を反映しているとみられます。(鎌倉淳)

広告