特急「くろしお」「南紀」が大幅減。JR特急利用者数ランキング・2024年お盆版

南海トラフ情報で

JR各社が2024年お盆の列車利用状況を発表しました。南海トラフ地震臨時情報の影響で、多くの在来線特急が運休した一方、運行した区間では堅調でした。詳細をランキング形式で見ていきましょう。

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2024年お盆の利用状況

JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表しています。当サイトでは、JR各社が発表した統計をまとめて、各期ごとにランキングにしています。

今回は、「2024年お盆の在来線特急利用者数ランキング」です。2024年8月9日~18日の10日間の統計です。

(配信先で表の表示が崩れる場合は、こちらからご覧ください)

くろしお287系

2024年お盆JR特急利用者数ランキング
順位 列車名 区間 利用者数(万人) 前年比
1 あずさ、かいじ、富士回遊 八王子~相模湖 34.6 112%
2 ひたち、ときわ 我孫子~土浦 25.8 106%
3 サンダーバード 京都~敦賀 21.9 108%
4 リレーかもめ、みどり 鳥栖~江北 21.8 116%
5 マリンライナー 児島~宇多津 16.1 106%
6 ソニック 小倉~行橋 14.6 111%
7 成田エクスプレス 千葉~成田空港 13.8 99%
8 はるか 日根野~関西空港 11.6 125%
9 しおかぜ、南風など 岡山~児島 10.3 108%
10 踊り子、湘南 横浜~熱海 9.3 93%
11 カムイ・ライラック・オホーツク・宗谷 札幌~岩見沢 8.6 107%
12 しなの 名古屋~多治見 8.1 119%
13 北斗、すずらん 東室蘭~苫小牧 7.4 112%
14 しおかぜ 児島~宇多津 6.7 104%
15 しおかぜ、いしづち 多度津~伊予三島 6.5 102%
16 きのさき、まいづるなど 二条~亀岡 5.4 125%
17 わかしお、さざなみ 東京~蘇我 4.7 91%
17 やくも 岡山~新見 4.7 123%
19 しらさぎ 米原~敦賀 4.1 60%
20 いなほ 新潟~村上 4.1 109%
21 南風 児島~宇多津 3.9 125%
22 ひだ 美濃太田~下呂 3.8 125%
23 南風、しまんと 多度津~阿波池田 3.5 127%
24 おおぞら、とかち 南千歳~トマム 3.3 104%
25 こうのとり 大阪~三田 2.7 114%
25 スーパーはくと 姫路~上郡 2.7 120%
27 宇和海 松山~宇和島 2.4 98%
27 スーパーはくと 智頭~鳥取 2.4 122%
27 うずしお 高松~徳島 2.4 105%
30 しらさぎ 名古屋~大垣 1.6 78%
31 くろしお 和歌山~箕島 1.4 25%
32 草津・四万 高崎~渋川 1.2 120%
33 しまんと、あしずり 高知~窪川 0.9 130%
33 しらゆき 直江津~長岡 0.9 105%
35 ふじさん 御殿場~山北 0.7 125%
35 つがる 弘前~青森 0.7 110%
35 スーパーおき 新山口~益田 0.7 127%
38 スーパーいなば 智頭~鳥取 0.6 104%
38 いなほ 酒田~秋田 0.6 103%
40 リゾートしらかみ 秋田~青森 0.5 106%
41 南紀 松阪~紀伊長島 0.3 42%
42 ふじかわ 富士~富士宮 0.2 25%
42 サンライズ出雲・瀬戸 静岡~浜松 0.2 40%
42 うずしお 児島~宇多津 0.2 84%
45 伊那路 豊川~本長篠 0.04 30%

 

上記のランキングは、JR各社から広報発表された数字をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。

ランキング下位では、百人単位の四捨五入が順位に影響している場合もあります。四捨五入の単位が発表元の各社・支社により異なることもあり、1万人以下のランキングの細かい順位の違いにあまり意味がない点も、ご留意ください。

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「あずさ、かいじ、富士回遊」が圧倒的

2024年のお盆の特急列車利用者数でトップに立ったのは、中央東線特急「あずさ、かいじ、富士回遊」です。例年、夏に利用者の多い列車で、今年も34.6万人と圧倒的な利用者数です。次いで常磐線特急「ひたち、ときわ」が25.8万人で2位につけました。この順位も例年どおりです。

3位が「サンダーバード」の21.9万人、4位が「リレーかもめ、みどり」の21.8万人です。前年の順位は逆でしたので、「サンダーバード」が「リレーかもめ、みどり」を僅差で抜きました。

北陸新幹線の敦賀開業で賑わう北陸線特急が、西九州新幹線の開業効果が一段落した長崎線特急を凌いだ、というところでしょうか。

「はるか」が「NEX」に近づく

コロナ禍からの回復局面で利用者が急増していた東西の空港特急は、「成田エクスプレス」が13.8万人で前年比99%、関空特急「はるか」が11.6万人で前年比125%となっています。

「成田エクスプレス」は伸び悩みの気配が漂う一方、「はるか」は大幅増です。かつては利用者数に大きな差のあった両者ですが、今夏は2万人程度にまで近づいてきました。

仮に来年も同じ伸び率が続けば、「はるか」が「成田エクスプレス」を逆転します。来夏は大阪で万博が開催されるだけに、あながちあり得ない話ではなさそうです。

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南海トラフ地震臨時情報の影響

2024年のお盆は、8月8日に発令された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」の影響も受けました。とくに、太平洋岸に近い区間を走る特急は、前年比で大幅減となりました。

主要特急では「くろしお」が前年比25%、「南紀」が同42%と、大きな影響を受けています。そのほか「サンライズ出雲・瀬戸」「ふじかわ」「伊那路」が25~40%に沈みました。これらの特急は、期間中に一部または全区間で運休となっているので、利用者数が激減しています。

「サンライズ」は前年夏も台風の影響で利用者数が減少しているので、お盆は2年連続の受難となりました。

首都圏でも「わかしお・さざなみ」が91%と減っていますが、これは8月16日に接近した台風7号の影響が大きそうです。

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「しらさぎ」は厳しい数字

2024年3月に敦賀まで延伸開業した北陸新幹線関連路線では、「サンダーバード」が前出の通り対前年比108%と好調でしたが、「しらさぎ」(米原~敦賀)は60%と厳しい数字になっています。

東海道新幹線から米原乗り継ぎで利用する乗客が減ったことを示しています。首都圏~福井間の流動が北陸新幹線経由に移った影響でしょう。

ただ、「しらさぎ」は名古屋~大垣間でも対前年比78%に落ち込んでいますので、名古屋~福井間の利用者が、敦賀駅での乗り換えを嫌って、他の交通機関に移ったり、旅行者じたいが減っている可能性もありそうです。(鎌倉淳)

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