JR各社から2017年ゴールデンウィークの利用状況が相次いで発表されました。2018年は前半3連休、後半4連休とバランスが良く、有給を使えば9連休の人もいて、多くの路線で前年度比で利用者を増やしています。
JR在来線特急の利用者数の詳細をランキング形式で見ていきましょう。一部快速列車も掲載しました。
JR在来線特急利用者数ランキング2018年大型連休版
1 あずさ、かいじ(八王子~相模湖)30.4万人(104%)
2 ひたち、ときわ(我孫子~土浦)28.5万人(94%)
3 ひたち、ときわ(土浦~水戸)26.3万人(94%)
4 かもめ、みどり(鳥栖~肥前山口)25.4万人(101%)
5 サンダーバード(京都~敦賀)22.6万人(105%)
6 ソニック(小倉~行橋)15.7万人(102%)
7 マリンライナー(児島~宇多津)15.4万人(102%)
8 成田エクスプレス(東京~千葉)15.1万人(101%)
9 ひたち、ときわ(水戸~高萩)11.5万人(97%)
10 しおかぜ、南風、うずしお(岡山~児島)10.4万人(100%)
11 はるか(日根野~関西空港)9.2万人(112%)
12 しらさぎ(米原~敦賀)8.5万人(108%)
13 踊り子等(横浜~熱海?)8.2万人(105%)
14 カムイ、ライラック、オホーツク、宗谷(札幌~岩見沢)8.0万人(98%)
15 北斗、すずらん(東室蘭~苫小牧)7.1万人(102%)
15 しおかぜ、いしづち(多度津~伊予三島)7.1万人(99%)
15 しなの(名古屋~多治見)7.1万人(104%)
18 しおかぜ(児島~宇多津)6.7万人(99%)
19 くろしお(和歌山~簑島)6.6万人(104%)
20 きのさき、まいづる、はしだて(二条~亀岡)5.4万人(105%)
21 わかしお(東京~蘇我?)5.3万人(101%)
22 ひたち(高萩~いわき)5.0万人(105%)
23 やくも(岡山~新見)4.6万人(98%)
24 ひだ(美濃太田~下呂)3.9万人(101%)
25 南風(児島~宇多津)3.8万人(99%)
26 南風、しまんと(多度津~阿波池田)3.6万人(100%)
27 いなほ(新潟~村上?)3.4万人(104%)
27 こうのとり(大阪~三田)3.4万人(101%)
29 しおさい(東京~千葉?)3.3万人(101%)
30 おおぞら、とかち(南千歳~トマム)2.9万人(104%)
31 宇和海(松山~宇和島)2.8万人(96%)
32 しらさぎ(名古屋~大垣)2.7万人(103%)
33 スーパーはくと(姫路~上郡)2.4万人(101%)
34 うずしお(高松~徳島)2.3万人(95%)
35 スーパーはくと(智頭~鳥取)2.1万人(101%)
36 草津(高崎~渋川)1.7万人(103%)
37 さざなみ(東京~蘇我?)1.3万人(101%)
37 南風、しまんと、あしずり(高知~窪川)1.3万人(97%)
39 ふじかわ(富士~富士宮)1.2万人(108%)
40 つがる(弘前~青森)1.1万人(91%)
40 南紀(松阪~紀伊長島)1.1万人(99%)
42 ふじさん(御殿場~山北)1.0万人(109%)
43 スーパーいなば(智頭~鳥取)0.8万人(99%)
44 はまかぜ(姫路~寺前)0.7万人(98%)
44 スーパーいなば(上郡~岡山)0.7万人(99%)
46 いなほ(酒田~秋田)0.6万人(89%)
46 スーパーおき(新山口~益田)0.6万人(104%)
46 サンライズ出雲・瀬戸(静岡~浜松)0.6万人(104%)
46 リゾートしらかみ(秋田~青森)0.6万人(98%)
50 うずしお(児島~宇多津)0.3万人(87%)
50 サンライズ出雲(岡山~新見)0.3万人(106%)
52 伊那路(豊川~本長篠)0.2万人(109%)
53 はまかぜ(岩美~鳥取)65人(98%)
あずさ、かいじが首位奪還
2018年のゴールデンウィークの利用者は、全体として西高東低です。天候などが影響したのでしょうか。
そのなかで、トップに立ったのは「あずさ、かいじ」。前年2位から「ひたち、ときわ」を抜いての首位奪還です。「あずさ、かいじ」は前年比4%増と好調でしたが、新型車両E353系の効果もありそうです。E353系は利用者の評判も良く、当面は中央線特急の快走が続くかもしれません。
増加率トップは「はるか」です。前年比12%増で、9万人台に乗せました。この統計を取り始めた2014年は6.4万人でしたので、4年で4割も増やしたことになります。LCCとインバウンドで賑わう関西空港の好調をそのまま「はるか」が享受している形です。
列車名を変更した「ふじさん」も、前年比9%増と好調でした。こちらは、小田急複々線化の好影響を受けたのかもしれません。
「開花時期」が影響を及ぼす
利用者を大幅に減らしたのは「ひたち、ときわ」です。前年比6%減で、首位の座を「あずさ、かいじ」に明け渡しました。利用者減の理由は、国営ひたち海浜公園のネモフィラの開花が例年より約2週間早く、ゴールデンウィークには見頃を過ぎてしまった影響が大きかったようです。
「つがる」も前年比9%減と落ち込みました。ゴールデンウィークの「つがる」の利用者数は、弘前城の桜の見頃の影響を受けます。2017年は見頃がゴールデンウィークと重なったため「つがる」も混雑したのですが、2018年は開花が早く、ゴールデンウィーク後半には見頃が過ぎてしまい「つがる」の利用も伸び悩んだようです。
混雑区間をまとめてみると
さて、上位列車の最混雑区間だけをまとめてグループ化してみると、以下のようになります。
1 湖西・北陸線(サンダーバード、しらさぎ)*31.1万人
2 中央東線(あずさ、かいじ)30.4万人
3 常磐線(ひたち、ときわ)28.5万人
4 瀬戸大橋線(しおかぜ、南風、うずしお、マリンライナー)25.8万人
5 長崎線(かもめ、みどり)25.4万人
6 総武線(成田エクスプレス、しおさい)18.4万人
7 阪和・紀勢・関西空港線(はるか、くろしお)**15.8万人
8 日豊線(ソニック)15.7万人
9 東海道線(踊り子)8.2万人
10 函館線(カムイ、ライラック、オホーツク、宗谷)8.0万人
11 室蘭線(北斗、すずらん)7.1万人
12 中央西線(しなの)7.1万人
13 山陰線(きのさき、まいづる、はしだて)5.4万人
*京都~敦賀間と、米原~敦賀間の合計
**日根野~関西空港間と、和歌山~簑島間の合計
常磐、中央、北陸が3強
ご覧のように、「サンダーバード」と「しらさぎ」を合算すれば、「あずさ、かいじ」を凌いで日本一の輸送量となる特急区間になります。「敦賀~福井」で正確な統計を出せば中央東線や常磐線と互角でしょう。
この「常磐線、中央東線、北陸線」が、ゴールデンウィークの利用者数30万人前後で、日本の在来線特急の「3強」といえます。
マリンライナーを含めた「瀬戸大橋線」と「長崎線」が、それに続く25万人グループで、3強とあわせて「5強」に入ります。
続く「総武線、阪和・紀勢・関空線、日豊線」が15万~18万人グループで、5強とあわせて「8強」といえます。8強の下はかなり差が開き、「東海道線、函館線、室蘭線、中央西線」が、7~8万人グループとなっています。
新幹線が必要な区間は?
これらの路線のうち、1位の北陸線、2位の中央東線で、それぞれ新幹線、リニアの建設がすすめられています。5位の長崎線も、新鳥栖~武雄温泉間の新幹線整備方式について、議論が進んでいます。
「次の整備新幹線」が話題になりはじめていますが、これらのランキングを見る限り、新幹線が次に必要なのは常磐線と瀬戸大橋線といえそうです。(鎌倉淳)