JR北海道、特急「全車指定席化」進める。24年3月改正「北斗」「おおぞら」など

「ライラック」「カムイ」も指定席主体に

JR北海道が特急列車の全車指定席化を進めます。2024年3月改正で、「北斗」「おおぞら」など4列車が全車指定席となる見通しです。北海道新聞が報じました。

広告

函館線、根室線特急

JR北海道が運行する在来線特急列車には、現時点で全て自由席が連結されています。

北海道新聞2023年11月11日付によりますと、このうち函館線特急の「北斗」「すずらん」と、石勝・根室線特急の「おおぞら」「とかち」の4列車について、2024年3月のダイヤ改正で全車指定席される方針が固まったそうです。

キハ261系おおぞら・とかち

広告

利用者への影響大きく

全車指定席化される4列車の基本編成の車両構成は、現状で以下のようになっています。

・「北斗」=グリーン車1両、指定席2両、自由席2両
・「すずらん」=指定席2両、自由席3両
・「おおぞら」「とかち」=グリーン車1両、指定席2両、自由席1両

「おおぞら」「とかち」はすでに指定席主体の編成ですが、「北斗」は普通車の半分、「すずらん」は自由席が多いので、全車指定席化による利用者への影響は大きそうです。

広告

「ライラック」「カムイ」も自由席削減

函館線特急「ライラック」「カムイ」についても、自由席を現在の4両から2両に削減します。

両列車の現在の車両構成は、以下の通りです。

・「ライラック」=グリーン車半室、指定席1両半、自由席4両
・「カムイ」=指定席1両、自由席4両

両列車とも自由席主体の列車ですが、2024年3月改正で自由席を大幅に削減し、指定席主体の列車とします。こちらも利用者への影響が大きそうです。

広告

全車指定席化の流れ強く

JRの在来線特急では、近年、全車指定席化の流れが強まっています。

JR東日本では、すでに首都圏の多くの在来線特急を全車指定席としています。2024年3月ダイヤ改正では房総特急を全車指定席化する方針で、これにより、首都圏の在来線定期特急列車は全て全車指定席となる見通しです。

JR西日本も、2022年3月のダイヤ改正で近畿圏の主要特急列車を全車指定席にしています。

全車指定席化は、自由席利用者からすれば、実質的な運賃値上げの側面があります。ただ、利用者側に着席保証を求める需要が高まっていることが背景にあるため、これまでのところ、全車指定席化に対する大きな不満の声は聞かれません。

広告

イールドマネジメント

北海道の場合、インバウンド利用者の急増という背景もあり、外国人旅行者に混乱なく乗ってもらう必要も生じていると推察します。

実質的な値上げになりますが、ライバルの高速バスが運転手不足に陥っていて、運行規模を急速に縮小しつつあります。こうした状況下で、特急が値上げをしても、乗客減小につながらないと判断している可能性もありそうです。

北海道新聞によると、イールドマネジメントを取り入れ、インターネット販売による閑散期の割引施策を拡充させるようで、時期によっては特急券を安く買えるようになるとのことです。

広告

フリーパスの扱いは?

利用者として気になるのは、フリーパスの扱いでしょう。道内の鉄道フリーパスは特急自由席が乗り放題の設定になっているものが多いですが、全車指定席化が進むと、乗り放題というわけにはいかなくなります。

すでに布石は打たれていて、飛行機利用者に対して販売される「ひがし/きた北海道フリーパス」は、2023年10月利用開始分から、値上げのうえ、普通車指定席が回数限定で使用できるようになっています。JR北海道全線に乗れる「北海道フリーパス」も、指定席は6回まで利用可能です。

ただ、北海道の広さや、普通列車の運行本数の少なさを考えると、将来的に全ての特急列車が全車指定席化された場合、6回程度の指定席利用では間に合いそうにありません。

当面は宗谷線や石北線方面の特急で自由席が残るようですが、今後、全道に全車指定席化が拡大した場合、フリーパスの魅力低下につながってしまわないか、心配も残ります。(鎌倉淳)

広告
前の記事新大阪~小倉を新幹線で格安旅行する方法【2023年秋版】格安チケット、割引きっぷを全網羅
次の記事『全国鉄道地図帳』改訂版が発売へ。森林鉄道、未成線が充実