JR北海道は3月29日、2019年度の事業計画を発表しました。その内容を読み解いて、JR北海道がどう変わるかをみていきましょう。
3線区のバス転換進める
JR北海道の2019年の事業計画で筆頭にあげられたのが「持続可能な交通体系の構築」。利用者の極端に少ない路線に関して、バス転換を進めます。
4月1日に石勝線夕張支線(新夕張~夕張)をバス転換しましたが、2020年5月7日には札沼線・北海道医療大学~新十津川間についてもバス転換が決定しています。
輸送密度が157と低迷する留萌線については「バス等への転換について地域のご理解が得られるように協議」します。
不通が続く日高線・鵡川~様似間については、JR北海道として復旧を断念しており、「他の交通機関との代替も含めた協議を推進」します。
同じく不通区間を含む根室線・富良野~新得間については「最適な公共交通ネットワークに関するご相談を継続し、地域の皆様のご理解が得られるよう取り組む」としています。
この3線区に関しては、いずれも鉄道廃止、バス転換を前提とした取り組みを進めるということです。
残る路線についても、沿線住民の利用を増やす取り組みと、観光利用の促進、出張利用の促進に取り組むとしています。一方、利用者の少ない駅や踏切の見直しもおこないます。
H100形量産車を新製
車両については、老朽車両の更新をすすめます。国鉄時代から使い続けているキハ40形気動車の更新として、2018年2月に試作車が登場したH100形気動車量産車を新製します。
2018年12月5日付交通新聞によれば、H100形は5年間で40両程度が投入される見込みとのことで、2019年度は8両程度が製造されるとみられます。
さらに、261系特急型気動車の新製投入、731系電車の重要機器置き換えを実施します。新型ラッセル気動車も新製します。
新幹線IC乗車サービスも開始
北海道新幹線では、「新幹線IC乗車サービス」を導入します。これは、JR東日本が中心となって開発している新たなサービスで、「えきねっと」において新幹線の指定席や自由席を予約した際に、交通系ICカードを登録すれば、自動改札機をタッチして通過できるというものです。詳細は未発表ですが、2019年度末の導入を予定しています。
北海道新幹線の販売促進策としては、開業3周年及び青函トンネル160km/h運行開始を契機としたキャンペーンを実施します。「えきねっとトクだ値」の設定や、「大人の休日倶楽部」会員を対象とした販売促進をおこないます。
新幹線の設備面では、青函トンネルでの200km/h走行に必要な軌道整備、運行管理システム改修などを実施。北海道新幹線の札幌延伸に向け、長万部駅、倶知安駅における支障移転工事や、札幌駅ホームの設計をすすめます。
快速「エアポート」毎時5本化
在来線では、札幌圏の増強に重点をおきます。目玉は快速「エアポート」の毎時5本化で、次のダイヤ改正となる2020年3月実施が濃厚です。
観光列車については「富良野・美瑛ノロッコ号」や「くしろ湿原ノロッコ号」を引き続き運転。7~9月にはJR東日本からトロッコ列車「びゅうコースター風っこ」を借り受けて宗谷線で運行します。
キハ40系を改造した観光列車「紫水」「山明」も、9月頃に登場予定です。さらに、観光列車として使用できる多目的車両キハ261系5000番台(仮称)の新製に着手します。この運行開始は2020年秋になります。
QRコード決済にも対応
2019年10月に予定されている消費税増税にあわせ、運賃値上げも実施します。値上げ幅は、消費税の運賃転嫁分を除いて、平均7%前後とする方針と報じられています。増税分とあわせて10%近い値上げになりそうです。
エレベータの整備などのバリアフリー化、トイレの洋式化といった、施設の改善も実施します。快速「エアポート」では車内Wi-Fiサービスも開始します。
駅窓口などではQRコードを活用した乗車券類の発売を開始します。これは、QRコード決済の多い、訪日外国人の増加に対応するためとみられます。
北海道在住の利用者向けの施策としては、「えきねっと」で道内や道内発の鉄道利用旅行商品の発売を開始します。「びゅう」旅行商品の道内ラインナップが充実し、利用しやすくなりそうです。(鎌倉淳)