JR北海道がローカル線で利用促進事業。「総括的な検証」見据え

黄線区8区間で

JR北海道は、輸送密度2,000人未満のローカル線8線区について、新たな調査・利用促進事業をはじめると発表しました。「総括的な検証」を見据えたものです。

広告

黄線区が対象

事業の対象となるのは、JR北海道が「単独で維持するのが困難」としたローカル線のうち、輸送密度が200人以上2,000人未満の、いわゆる「黄線区」です。

黄線区とは、宗谷線名寄~稚内間、石北線新旭川~網走間、富良野線旭川~富良野間、根室線滝川~富良野間、同釧路~根室間(花咲線)、釧網線釧路~網走間、室蘭線沼ノ端~岩見沢間、日高線苫小牧~鵡川間の8区間です。

JR北海道黄線区、赤線区
JR北海道「単独で維持することが困難な線区について」(2016年11月)より
広告

共通時刻表を制作

今回新たに実施される利用促進策として、まず、これらの全線区で鉄道とバスの共通時刻表を制作します。6月以降に駅やバスターミナルで配布します。

さらに、観光利用の促進策として、釧網線では「くしろ湿原ノロッコ号」を10月に臨時運行します。花咲線では、8月に海側座席に指定席を導入します。

くしろ湿原ノロッコ号

広告

「フラノラベンダーエクスプレス」が富良野線に

富良野線では、「フラノラベンダーエクスプレス」を、7月の土休日に快速列車として富良野~旭川間で延長運転します。臨時駅のラベンダー畑駅には、7月15日~23日に、「富良野・美瑛ノロッコ号」以外の普通・快速列車が停車します。

石北線では、JR利用者が北見や網走地区のバスのフリーパスを購入しやすくする取り組みを実施します。オホーツク地区の住民が、片道JR、片道バスを使って札幌を往復しやすくする取り組みもおこないます。具体的には運賃を補助する施策のようです。

フラノラベンダーエクスプレス
画像:JR北海道ニュースリリース
広告

「一日散歩きっぷ」でバスに乗れる

札幌圏がフリーエリアになっている「一日散歩きっぷ」は、日高線がエリアに含まれていますが、7月から9月には、日高線沿線のバスにも乗車可能になります。

花咲線では、沿線の高校や病院へ直通するバスの実証運行をおこないます。

そのほか、全線で公共交通利用実態調査をおこないます。

日高線
画像:JR北海道ニュースリリース
広告

国と道の補助で

これらの事業は国と道の補助を活用して実施します。

国の補助率が2分の1、道の補助率が4分の1で、JR北海道は4分の1を負担することになります。

「総括的な検証」見据え

JR北海道は、2018年7月に国土交通省から監督命令を受け、2031年度に経営自立するための経営改善を求められています。

監督命令を受け、黄線区については2019年度から2023年度を集中改革期間と定め、最終年度となる2023年度末に「総括的な検証」をおこなう予定です。

今回の利用促進策は、この「総括的な検証」を見据えたもので、「データに基づき有効な改善方法を調査・検証するための調査事業・実証事業」と位置づけられています。

JR北海道は、黄線区について、地域の支援を前提に存続する方針を示しています。しかし、「総括的な検証」の結果によっては、厳しい条件を示される線区が出てくる可能性もありそうです。(鎌倉淳)

広告