JR北海道、特急列車で収入増。全車指定席化、イールドマネジメントで成果

室蘭線特急は利用者減

JR北海道が、2024年度の第一四半期の利用状況と収入概況を明らかにしました。中長距離収入が前年度より6.9%も増えていて、特急列車の全車指定席化やイールドマネジメントの成果が出ているようです。

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室蘭線特急は前年度比減

JR北海道は2024年6月の収入・利用状況を公表しました。4月~6月の累計では、主要3区間の特急列車で、室蘭線特急(東室蘭~苫小牧)の利用者数が前年度比98.7%となり、前年度の数字を割り込みました。

一方、石勝線特急(南千歳~トマム)は107.1%、函館線特急(札幌~岩見沢)は104%と、いずれも堅調な数字となりました。主要3線区の平均は102.6%で、前年度を上回っています。

特急すずらん

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中長距離収入は大幅増

おもに特急列車の収入を示す「中長距離収入」は78億4700万円で、前年より5億800万円の増。対前年比106.9%という結果となりました。

おおざっぱにいえば、特急の利用者は3%増、収入は7%増という結果になっています。利用者は主要3線区、収入は同社全体の数字のようなので、正確な比較ではありませんが、傾向としては利用者増を上回る収入増を実現していることがみてとれます。

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「全車指定席化」と割引きっぷ改定

JR北海道は、2024年3月ダイヤ改正から、主要3線区を走る特急「北斗」「すずらん」「おおぞら」「とかち」を全車指定席化し、「カムイ」「ライラック」の指定席を拡大しました。

また、駅で発売する割引きっぷを終了し、インターネット予約「えきねっと」の割引きっぷ「トクだ値」に統一。需要に応じて価格が変動するイールドマネジメントも導入しました。

結果として、利用者増以上の収入増を実現したわけで、全車指定席化と割引きっぷ改定は、一定の成果をあげているとみてよさそうです。

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普通列車への転移も

ただし、主要3線区のうち、室蘭線東室蘭~苫小牧間では、利用者数が前年度を下回っています。とくに特急「すずらん」の利用状況が芳しくないようで、JR北海道では、割引きっぷの縮小により、利用者が普通列車に転移していると分析しています。

札幌~室蘭は、普通列車の本数が比較的多い区間です。節約志向の利用者は、割引きっぷが買いにくくなった特急を避けて、当日簡単に乗れる普通列車利用に切り替えているのでしょう。

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快速格下げも

こうした状況でも、JR北海道では、駅発売の割引きっぷの復活は考えていないようです。

JR北海道の綿貫泰之社長は6月11日の前回会見で、「すずらん」について「安くご利用というニーズが強いのであれば、特急でなくてもいいと思う」と発言し、快速などへの格下げを検討していることを示唆しました。

価格重視の利用者が多いのであれば、特急券の安売りで対応するのではなく列車種別を変えたほうがよい、と考えているようです。(鎌倉淳)

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